学園一の美少女は、キモデブの俺から絶対に離れない【完結】 作:ドン・ドナシアン
「罰?」
真白が、わずかに首を傾げて言った。
声音は平坦だが、視線は逸れない。最初から受けるつもりで立っている。
大悟は一歩、前に出た。
距離が詰まる。
下着姿で、上半身には縄が掛かり、下着の上から股縄が喰い込んでいる。
真白の呼吸が、わずかに浅くなる。
「そうだ、罰だ」
口にしてから、少しだけ可笑しくなる。
大した意味があって言ったわけじゃない。ただ、その方が収まりがいい気がしただけだ。
それでも、視線は外さない。
「……どんな罰がいいかな」
軽く言ったつもりだった。
けれど、真白は迷わなかった。
「大悟が決めて。あたしは従う」
間がない。
最初から、それしかないみたいに言い切る。
――ああ、そういうことか。
喉の奥で、わずかに息が詰まる。
「お前、やっぱりエロいな」
思わず笑う。
「大悟も……エロい」
真白が小さく返す。
視線は外さない。
「じゃあ、もっとエロくなってもらおうかな」
そのまま手を伸ばす。
ユイが用意していたスカーフを取ると、帯状に畳む。それを真白の目元に当て、そのまま後ろで結んだ。
「……あ」
かすかに声が漏れる。
「見えない方がいいだろ」
結び目を軽く締める。
大悟はそのまま背後から、縄のかかったうなじに指先を滑らせた。
「ひゃん」
小さく身体が跳ねた。
大悟は背後に立ったまま、縄に指を掛けた。
結び目を確かめ、ゆっくりと緩めていく。
解かれていくたびに、真白の腕の位置がわずかにずれる。
張り詰めていた線が、少しずつほどけていく。
「……そのままでいい」
「……ん」
小さな返事。
最後の一巻きを外すと、腕が自由になる。だが、解いたのは腕だけだ。胸の上下と首の縄はまだ結ばれたままだ。
真白が、自由になった腕を下ろそうとはしない。言われた位置で止めたまま、わずかに指先だけが震える。
その腕に触れて、身体の横に下ろさせる。
「んんっ」
視界がないために、肌に触れられるたびに、真白が小さく反応する。
大悟は前に回った。
開いたままのブラウスに指を掛ける。
布を合わせ、最初のボタンを留める。
「……っ」
息が細く揺れる。
もうひとつ。
指先が胸元に触れた瞬間、真白の肩がわずかに強張り、そのまま力が抜ける。
呼吸が浅くなる。
目隠しの下で、唇がわずかに開いたまま閉じない。
次のボタンへ。
「ひ……」
押し殺した声──。
留めるたびに、身体の反応が遅れて返ってくる。
逃げずに受けている分、隠しきれない。
胸の上下が少し大きくなり、喉が動く。
指が触れるたびに、わずかに背が反り、すぐに元の位置へ戻る。。
膝が自然と寄る。
内腿が擦れる。
布越しに、股縄の位置がわずかに動く。
「……っ」
真白の大きな息が漏れた。
顔がわずかに傾く。
目隠しで隠れているはずなのに、表情がそのまま出ている。
整っていた線が、少しずつほどけていく。
大悟は手を止めない。
最後のボタンは嵌めない。襟から残っている首縄がわずかに覗いている。
大悟はソファに置かれていたスカートを手に取った。
そのまま真白の前に戻る。
「脚、出せよ」
「……ん」
真白が小さく応じる。
目隠しをされたまま、脚をわずかに動かす。
「……っ、あ……っ」
真白の身体が大きく揺れて、くの字に曲がる。
膝が崩れかけ、踏みとどまる。
脚をあげたことで、股間の結び玉が敏感な場所を抉ったのだろう。
「ほら、しゃんとしろ」
肩に触れて、身体を強引を押し起こす。
「んんっ」
その動きでまた刺激を受けるのか、真白はまた身体をよろけさせる。
真白は、なんとか片足を通した。
「ほら、反対側だ」
次の脚をあげることを促す。
「あっ」
またもや、真白の身体が大きく揺れた。
逃げるように、脚が引かれる。
「……ひ、ぁ……っ……」
息が一気に乱れる。
「ちゃんとしろ。これは罰だからな」
もう片方の脚を通して、スカートを腰まで上げる。
そのとき、わざと真白の腰を大きく押し動かした。
「……っ、ぁ……っ……」
抑えきれず、真白から声が崩れる。
内腿が触れ合うたびに、反応が遅れて跳ねる。
真白の呼吸が完全に崩れている。
真白の手が動く。
目隠しのまま、支えを求めるように、宙を探るように伸びる。
途中で止まるが、止まりきらない。
指先が震えたまま、少しずつ近づく。
大悟はその動きを見て、自分の手を差し出した。
真白の指先が大悟の腕に触れる。
「……っ」
息が弾ける。
そのまま指が絡むように残る。
軽く掴む。
「……ぁ……っ……ご、ごめん……」
真白がそのまま手を話して、フックに指をかけようとした。
「勝手に動くな」
大悟はわざと、声を強く落とす。
「……つっ」
真白の動きが止まる。
頬が熱を帯びた。
「……ん……」
真白が小さく、頷く。
呼吸は戻らないまま、身体だけが止まる。
大悟は指先でフックを留めた。
緊張で指が震えて、その手つきが一度だけわずかにずれる。脱がせるとき以上に、着せる方が緊張する気がする。
すぐに直し、最後まで留めきる。
真白の身体が、かすかに震えている。
脚は揃えたまま、内腿が触れ合っている。
「はあ、はあ……」
呼吸は荒く収まらない。
目隠しをされて、股縄の刺激で完全に余裕を失っている真白……。
唾を飲み込む。
大悟は半歩だけ距離を詰めた。
手を伸ばしかけて、ほんの一瞬止まる。
もっと真白を苛めたい……。
ちょっと調子に乗っていると思う。
でも、手が勝手に伸びる。
真白の腰の高さ。
かなり、腰を屈めないと顔が届かない位置──。
意地悪くそこに手のひらを出した。
「手にキスをしろ。手を出すなよ。顔で探せ」
真白の呼吸が荒く揺れている。
脚は揃えたまま、内腿が小さく擦れ合う。
「……っ、ぁ……」
目隠しの下で、顔がわずかに動く。
指示された方向もわからないまま、首が探るように傾く。
身体が揺れる。
腰がわずかに引けるたび、股縄が擦れるのだろう。
「……ひ、ぁ……っ……」
息に混じる声が崩れる。
顔が前に出る。
だが届かない。
もう一歩、踏み出そうとして止まる。
脚は動かさないまま、上半身だけで距離を詰めようとする。
その動きで、さらに内腿が触れ合う。
「……っ、ん……ぁ……」
声が押し上がる。
真白はそのまま、探るように顔を動かす。
わずかに顎が上がり、次に下がる。
空を探るように、唇がかすかに開く。
大悟の手のひらが、真白の頭の先に触れた。
「……っ」
息が弾ける。
触れた位置で止まる。
真白の顔が手のひらに寄る。
唇が触れる。
ほんの一瞬、止まってから――
静かに、押し当てられる。
「……ぁ……」
小さく漏れた声が、指先に伝わる。
真白の身体が、かすかに震えている。
呼吸はまだ乱れたまま、整わない。
そして、一度、ぺろりと大悟の手を舐めた。
真白の鼻息が少し荒くなる。
また舐めた。
今度は大きく舌を出して、大悟の手の味を味わうかのように……。
その瞬間、激しいシャッター音が横から襲いかかってきた。
激しく鳴るシャッター音の嵐──。
大悟ははっとした。
しばらく、ユイの存在が頭から抜け落ちていた。
真白とふたりだけの空間に入り込んでいた感覚が、そこで一気に断ち切られる。
「すっげえ──すげえよ、お前ら。すごくエロかった。この一枚だけでいい。作品にさせてくれ──。いいだろっ」
ユイがカメラを下ろし、興奮を隠さずに声を上げる。
「お前……無粋……。いま、大悟がその気になったところだった……」
真白が、息を乱したまま言う。
「その気って、ここでおっぱじめるつもりじゃないだろうねえ。ここはあたしの家だぞ」
「それが条件。大悟がその気になったら出ていく」
「その約束そのものが無効だったろ──。まあいい。今度は文句ないな。投稿していいんだよな」
「……大悟がいいならいい……。どんな写真かわからないけど……」
真白が顔を上げる。
「真白が俺の手にキスをする写真だ」
大悟は言って、手を伸ばした。
目隠しの布をほどき、そのまま外す。
真白の視線が戻ったところで、ふたりでユイのカメラを覗き込む。
モニターには、たったいま切り取られた一枚が表示されていた。
顔の半分を隠したまま、真白が身体を折り、手のひらに口づけている。
服は着ている。乱れてもいない。
ただ、襟元から、ブラウスの下の縄がわずかに覗いている。
それだけの写真だ。
大悟は息を止めた。
「これは……」
言葉が続かない。
下着で縛った姿も、あれはあれでわかりやすかった。
けど、これは違う。
一瞬、なにが違うのか迷って、すぐにわかる。
真白の顔だ。
作っている顔じゃない。
隠そうとしても隠しきれていないものが、そのまま出ている。
さっきまでの呼吸も、動きも、そのまま写っている。
大悟はもう一度、画面を見る。
「……すごいな」
小さく呟く。
「んっ、これはいい。あたしが大悟のものなのが出てる。出していい」
真白が言う。
そのまま、小さく頷いた。
「やったね」
その声が残り、誰も言葉を継がないまま、わずかな間があく。
やがて小さく息をつく音が重なり、スタジオの中は落ち着きを取り戻していた。
時間だけが、静かに先へ進んでいた。
やがて、帰り支度が整い、大悟は真白を見た。
ブラウスは一番上のボタンだけが外れていて、襟元からわずかに縄が覗いていた。
大悟は手を伸ばす。
指先で布を合わせ、そのまま静かにボタンを留めた。
縄が見えなくなる。
「このまま帰るぞ」
大悟が言う。
「……このまま?」
真白が戸惑ったように聞き返す。
「文句あるか」
少しだけ気取った口調で返す。
「……文句は、ない……。でも掴まらせて。ひとりで歩くの……多分、無理」
「わかった」
大悟は腕を差し出した。
真白が両手でそれを掴む。
呼吸はまだ荒い。
立っているだけなのに、身体の動きがわずかにぎこちない。
「……さっきの……ちょっと……よかったかも」
真白が続ける。
「よかった?」
大悟は横目で見る。
「……大悟に……命令されるの……どきどきした」
真白が言って、わずかに腕へ寄る。
「お前ら、やっぱりお似合いだよ」
少し離れた位置から、ユイの声が飛んでくる。
「……当たり前。あたしは大悟の妻……」
真白が大悟の腕を掴んだまま答えた。
ユイはくすりと笑って、大悟に視線を向ける。
「きもダイも、やるじゃん。最後の……ちょっとエロかったぞ」
「むっ……大悟は、あたしのもの」
真白が不機嫌そうに声を出す。
「はいはい」
ユイが肩をすくめる。
「大悟に手を出したら……社会的に抹殺する」
真白が即座に言う。
「冗談だよ」
ユイが軽く言う。
「冗談は好きじゃない」
真白が短く返す。
大悟の腕を掴む指が、わずかに強くなった。