学園一の美少女は、キモデブの俺から絶対に離れない 作:ドン・ドナシアン
西日が木々の間から差し込み人気のない森林公園の地面に細長い影を落としている。
どこか遠くで鳥が控えめに鳴いていた。
大悟は、この森林公園に何度も下調べに来ていた。夕方になってもこの辺りに人通りはない。公園の入口近くの遊具には子供がいるが、奥まったここには誰も来ないのだ。
「……参ったって……言わない……」
真白が膝に両手をついたまま、ゆっくり腰を浮かせる。太腿が小刻みに震えているのが、夕刻日差しの下で嫌というほどはっきり見えた。
立ち上がりかけてまた膝が笑っている。歯を喰いしばる音まで聞こえてくる気がした。
「強情だね……」
「……そうだよ……」
かすれた声だった。すでに涙目だ。その涙が滲んで午後の光を細く反射している。かなり尿意が切迫しているのか、真白の両手はしっかりとスカートの前に置かれていて、その手までも小刻みに震えている。
それでも顎だけは上げたまま、真白の目がまっすぐに据わっていた。
真白は勤勉だ。目標を立てたら、ためらいなくそこに向かって歩き出す。主席を取り続けるのも、スポーツで結果を出すのも、モデルの仕事をこなすのも、才能だけの話ではない。日々の努力を惜しまないからこそ、あの成績があるし、あの立ち居振るまいもある。
大悟の知っている人間のなかで、これほど尊敬できる相手はいない。本当に、真白はすごいと思う。
その真白を、こうして容赦なく、Sとして躾けている。真白が泣きそうな顔をさせて、脚を震えさせている。
そんなことが許されていいのか、いまだに夢の中にいるような気がする。
だが、だからといって手は抜かない。
真白もそれを望んでいない。中途半端な優しさを向けられることこそが、真白にとっては侮辱なのだ。
大悟は、手に持っていたスマホの画面に、容赦なく指を置いてずらせた。
「ひああっ、ひんっ、だ、だい……ご……」
ようやく立ったばかりの真白がまたしても、その場にしゃがみこんでしまった。
送り込んだのは、またしてもクリトリスに当たっている球体の玩具だ。スカートの中の革帯の内側で、真白のクリトリスに突起が激しいバイブレーションを送り込んでいるはずだ。
「もうゲームオーバーかな?」
「ち、違う……けど……。あっ、ああ……」
「違うけど……なに?」
大悟は、振動を切った。
真白が息を荒げたまま、静かに腰を浮かして立ちあがる。
しかし、中腰で膝を半分崩したままだ。両手は股間を押さえるように、強くスカートに押しつけられている。
その格好のまま、真白は一歩……いや、半歩ずつ前に進みだす。
大悟は、なにも言わない。ここで手を貸せば、この意地が無駄になる。
いや、そう思って動かないのではなく、動けなかった。
胸の奥が早鐘のように鳴っている。真白の脚が片方だけ浮いて、また進む。その一連の動きが、立って歩くこと自体がいまの真白には容易ではないと、はっきり語っていた。
本当にこんなことをしていいのかと、頭の片隅で激しく葛藤している。スマホを持つ指先が震えそうになるのを腹に力を入れて堪える。
そして、またもや振動を送る。
今度は花芯に埋まっているディルドに──。
「くっ」
短い吐息が漏れて、真白が硬直した。
だが、今度は座り込むことだけは耐えた。お尻を後ろに引いた中腰のまま、膝を摺り合わせるように、振動を受けたまま少しずつ歩みを進めて行く。
大悟は、スイッチを切る。
この手のハウ・ツー本を何十冊読んだだろう。
官能小説を読みあさった。エロ動画だって見た。こんなときに女を嬲るのは、決して振動を送りっぱなしにもしないというのが大事らしい。
振動を中断するのは、休息ではない。罠のようなものだ。
真白をじっと観察して、ほっとひと息ついたと思ったのを見計らって、束の間の間合いのあとに、激震を送るのだ。
大悟は、振動を送る。
次もクリトリス──。これまでで一番激しい強さでだ。
「んふううっ」
真白が股間を押さえたまま、今度はしゃがみ込んでしまう。
大悟は、すぐに振動を切る。
耐えられる限界を見極める。
ぎりぎりをつくが、できるだけ長引かせる。それを際限なく繰り返すのだ。
「もう無理か?」
「……た、立てる……」
「なら、さっきみたいなみっともない格好じゃなくて、真っ直ぐに立て」
意地悪く言う。
「わ、わかった……」
そう言って、真白はゆっくりと背筋を伸ばした。
ぴんと張った姿勢は、授業中に当てられたときのようで、妙に滑稽だった。だがその横顔に、笑える余裕は微塵もない。唇を一文字に結び、前だけを見ている。頬はまだ赤く、呼吸は荒い。
「ふう……」
ようやくといった風に息を吐いて真白がこちらを見下ろした。
その目に負けん気とどこか訴えるような色が混じっている。
言いたいことは山ほどあるのに口に出せば崩れてしまいそうな、そんな顔だった。
「まだ、かなり距離があるよ」
「……知っている。歩く……」
そう言って、再び一歩を踏み出した。まだ足取りは覚束ない。
その背中を見送りながら、大悟は小さく舌を巻いた。
これだけ追い詰めても真白は「参った」を言わない。泣きそうな顔をしながら、脚を震わせてそれでも前に出る。呆れるほど頑固で、腹立たしいほど強くて──そんなところまで好きで堪らない。
普段の真白は、遠くにある。学園の誰もが振り返る美貌も、誰にも媚びない気高さも教室では決してこちらに寄りつかない。
だが、いま目の前で足をもつれさせている真白は違う。涙を滲ませ、息を乱しこちらを見下ろすこともできずに、ただ必死で脚を進めるだけだ。
いつもの完璧な像が、ここにはない。
小さくひび割れて生々しい貌をのぞかせる。
その瞬間だけ、天と地ほどもあるはずの距離が消えて、真白が大悟と同じ場所に立っているような気がした。
大悟ごときが手を伸ばして触れていい場所に,真白が降りてくる。
この時間を許されているのが、この自分だけでそれがたまらなく嬉しかった。
大悟は、またもや、真白の股間に振動を送り込んだ。
「んぐうっ」
真白が膝をついた。
最初に示した二十メートル先の檜の木──。それに向かって、よろよろと進んでは、悲鳴を噴きこぼしてしゃがみ込む。
その繰り返しだった。
「はああ……はあ、はあ、はあ……」
ようやく、檜の木に辿り着いたとき、真白の顔は桃色に上気し、淫らなまでに息があがっていた。額には汗で前髪が張りつき、うなじには無数の汗の玉が浮かんでいた。
「歩けたね。じゃあ、次の目標は、そのカーブだ」
大悟はさらに数十メートル先を示した。
樹林に挟まれる小径が少し左に曲がっている。
真白が途方に暮れるように、そこを見るのを確かめると大悟は、前側のディルドに振動を送り込んだ。
「くっ、んぐうっ」
真白が崩れ墜ちるように膝を曲げた。
しかし、なんとか耐えている。
「そうだ、忘れてたね。とりあえず、これまでの頑張った分のご褒美だよ」
大悟は、ディルドに振動を送り込んだまま、いままで一度も動かしていなかった、後ろ側にディルドを振動させてやる。
「おおっ」
真白が両眼を見開いて、お尻に手を当てて身体を弓なりに添わせた。
大悟は、さらにクリトリスに当たっている淫具を動かす、三箇所責めだ。
「んぐううっ、だめええ──。もう無理いいっ──。ま、まいっ──」
真白が絶叫した。
その声が森の木々に吸い込まれていく。大悟は指を動かして、すぐさますべての振動を切ってポケットにしまう。同時に足を一歩踏み出し、崩れ落ちようとする真白の身体を受け止めた。
「ああ、大悟……」
真白の身体の重みが腕にかかる。真白の膝が折れるが、大悟はしっかりと脚を踏ん張って、それを支える。真白の額に張りついた前髪から汗が頬を伝い、大悟の首筋に落ちてくる。熱い。心臓の鼓動が二つ重なって聞こえる気がした。
「あっ、ああ……」
抱きしめている真白の足下から水が滴り落ちる音が鳴り出した。スカートの中から、じょろじょろとまとまった水が滴り落ちている。ついに耐えられずに失禁をしてしまったのだ。
股間に当たる部分が網状になっている特殊な革帯の構造により、堰を切った放尿は革帯に阻まれることなく、地面に向かって滴り落ち続けている。
その音が、森の静けさにやけはっきりと響いた。
大悟は腕の中で震える真白を見た。
半泣きの顔。赤く染まった頬。濡れた睫毛。あの真白が、こんな顔をしている。あの学園で誰もが仰ぎ見る真白が、大悟の腕の中で、泣きながら漏らしている。
あの真白が、いま自分の腕の中で、大悟の言葉に従い、大悟が与えた限界まで耐え抜いた果てに、こうして崩れているのだ。
こんなことが許されていいはずがない。いまも夢の中にいるような気がする。
だが、腕の中の温もりは本物だ。耳元で聞こえる息遣いは本物だ。滴り落ちる水音も本物だ。
大悟は半泣きの真白の顔を覗き込むようにして、口づけをした。
「んんっんん……」
真白が喉を鳴らして応えてくる。
そのあいだも放尿の音は続いている。
淫らで、どんな大悟の要求にも応えてくれる真白。普段は決して誰にも崩れないその完美がいまここにある。
大悟だけの目の前で、大悟だけの腕の中で。
これほどの信頼を、大悟はどこで得たのだろう。これほどの女が、なぜ自分をこんな風に許したのだろう。
答えは出ない。ただ、腕の中の真白が、大悟の背中に回した手に力を込めていることが、なによりの証だった。
しばらくして、やっと放尿の音がなくなる。
「……立てるか、真白?」
大悟は唇を離してそっと訊いた。
「……無理……。立てない……。スカート……ちょっと濡れた……。大悟の……ばか……。エッチ……。変態……」
大悟の腕の中の真白の肩は、小刻みに震えていた。
腕に力を込めて、真白は大悟を抱きしめ続けている。細い背中が腕の中で揺れている。普段は誰にも触れさせないその身体が、いまはここにある。
震えて、汗ばんで、大悟にすがるように寄り添っている。
「……ごめん……。調子に乗りすぎた……かも……」
大悟は真白を抱きしめたまま、小さく呟いた。
「……調子に乗りすぎてない……。ごめん。お仕置きだった。大悟はなにをしてもよかったんだった……」
「……でも、やりすぎたな」
「……やりすぎてない。あたしが……いいって、言った……。でも、びっくりした……。なんだかわからないけど……。興奮して、大悟に怒鳴った。ごめん……」
真白の声が、耳元でかすか響く。
「でも、俺……こんな変態で……」
「……あたしも一緒……。多分、あたしも……変態……。大悟は……もっと意地悪していい……。大丈夫……」
その言葉が、胸の奥を刺した。これが演技ではなく、真白の本心なのだとわかる。大悟は真白の顔を見た。涙で濡れた頬。荒い息。それでも瞳だけは、どこか満ち足りた色を浮かべていた。
大悟は、もう一度、そっと唇を寄せた。
触れた瞬間、真白の身体がびくりと震える。
だが逃げることはなかった。
むしろ、自分から腕を回して、大悟の背中を抱きしめてきた。
森の中に、鳥の声だけが響いている。
二人の唇が離れたとき、真白は小さく息を吐き、大悟の胸に顔を埋めた。
大悟はもう一度、力強く真白を抱きしめると、そっと身体を離そうとした。
だが、真白が離すまいとするように、抱きついた手を離さなかった。
「……どうした?」
大悟は腕の中の真白を見る。
「……欲しい……」
真白の言葉が、森の静寂に溶けていった。
潤んだ真白の瞳が、まっすぐに大悟を見ていた。頬に残る涙の跡。荒い呼吸。そのすべてが、大悟に向けられている。
真白の腕は大悟の背中に回されたままだ。離そうとしても、離してくれない。細い指先が、大悟の服を強く掴んでいる。
「……ここで……か……?」
かすれた声で尋ねる。
真白は小さく頷いた。迷いはない。
「……でも、お前、まだ……」
“明るいぞ”と言いかけて、大悟は言葉を飲み込んだ。真白の身体はまだ震えている。
汗で濡れた肌。乱れた前髪。それでも、その瞳だけは、確かに大悟を求めていた。
大悟の心臓が早鐘を打つ。戸惑いと、歓喜と、罪悪感とが、胸の奥で渦を巻く。
真白の体温が、腕の中から伝わってくる。熱い。生々しい。夢ではない。これは現実だ。
大悟は深く息を吸い込んだ。
「……わかった……」
短く答えて、真白の身体を静かに離した。
そして、素早くポケットからスマホを取り出すと、続けざまに淫具の操作ボタンを押す。
「ひいいいっ──」
真白が顔をのけ反らせながら声を絞る。膝を折ってしまったが、辛うじて途中で踏みとどまった。
「わかった。でも、お仕置きの後だ。まだ公園の反対側まではかなりある。お仕置きはそこに辿り着くまでだったよな」
大悟は笑いながら、さらにスマホを操作して振動を強くする。
「ひいいっ──。だ、大悟のばかあ──鬼畜うう──」
真白が悲鳴とともに、その場にしゃがみ込んでしまった。