1話 これが転生
異世界転生!前世ではそういった作品を観ていたが、まさか自分が異世界に転生する日が来るとは夢にも思わなかった。
いつも通り朝起きて、仕事に行き夕方過ぎに帰る!家に帰って風呂に入り晩酌して寝る筈だったのに。帰りの高速道路で事故に遭い、その日常は永遠に来なくなった。
意識が覚醒するとそこは黒い空間で真ん中に光と人影が見える。
「わりい 俺死んだ」と思うレベルの大事故だったので今も意識があるのはおかしな話である。意識もあるし歩けるので人影に向かって俺は歩き出した。俺が死んでないかの答えはすぐに分かった。なぜなら俺の目の前には、いかにも神様だよ的な老人がいる。神様らしき老人と目が合い沈黙の時間が流れた。
そして沈黙を最初に破ったのは神様だった。
『儂は全知全能の神じゃ!そしてすまんかった。お主が死ぬ原因となった、交通事故は儂の過失じゃ。』
いきなり神様からの衝撃発言に俺は
「ふぁっ?俺の死が神様が原因ってどういう事ですか?」
間の抜けた声が、勝手に口から漏れた。
『実はの、おまえさんに突っ込んで行った観光バスは修学旅行生を乗せたバスでの、彼らをクラス転移する時に、お主を巻き込んでしまったのじゃ。すまん』
全知全能の神ならミスしてんじゃねぇよ。てか俺どうなるの?
「では俺はどうなるのですか?元の世界の肉体に戻れるのでしょうか?」
『すまんがそれはできんのじゃ。詳しくいうと長くなるでの。なのでお主には2つ選択肢を選んでもらうしかない。』
「2つの選択肢ですか。それはどんな?」
『うむ。1つは完全に何もかも消え去る事じゃ。』
「神様。完全に消え去るとは?」
『今のお主は輪廻転生の輪から外れておる。だからこのまま輪廻の輪から外れて綺麗さっぱり消え去るんじゃ。お主という概念は全て消え去るのじゃ。本来外れることはないんじゃが、儂の手違いで外れてしまってのぉ、それを元の輪に戻すことは儂の力じゃ無理なんじゃ。』
「神様なのにですか?」
『神様なのにじゃ!そんなことしたら儂が、大神官様に消されてしまうからのぉ。』
『それに儂の手違いでお主を消し去るのは寝覚めが悪いしバレるとまずい。なのでお主には2番を選んでもらいたいと思うのじゃ。』
「ではその2つ目の選択肢というのは?」
『うむ。2つ目はお主が最後に読んだ漫画によく似た世界の誰かに憑依転生する事じゃ。こっちは記憶を引き継ぐこともできるし、儂からの転生特典も渡すことができる。これが最もお互いがウィンウィンで解決できる選択じゃ!』
そんなの2番一択しかないだろ。しかも目の前の自称神の手違いで死んだのに、ドヤ顔でウィンウィンと言ってるのが腹が立つ!
てか転生するなら元の世界に行かせろよ。神に聞いてみよう。
「あのー神様。元の世界に記憶を引き継いで生まれ変わることはできませんか?」
そもそもだ、自分で選んだ漫画の世界に行けるならともかく、記憶にある、俺が最後に読んだ漫画ってなんだっけ?仕事忙しくて最後に読んだ漫画なんて正確に覚えてなんかねぇよ。けど朧げに思い出せるのは[ベルセルク][機動戦士ガンダムサンダーボルト][GANTZ]のどれかじゃねぇか!冗談じゃねぇぞ!ふざけんなよ神!いや正直、漫画の世界に転生は嬉しいよ、けどそれは平和な漫画ならの話だ。[こち亀]の様な日常?系、[ハイキュー]の様なスポーツ系なら喜んで転生するよ。けど前3つの作品を最後に読んでたらワイの転生ライフは終わりだ。
『無理じゃ。やろうと思えば出来なくはないが、100%バレる!バレれば儂が大神官様に消される。そしてお主も生まれ変わったのに結局消えることになる。』
『本来ならお主はすでに輪廻転生をしてるが、さっきも説明した様に、儂が原因でお主の魂は輪廻の輪から外れておる。巻き込んで死なせてしまったのがバレるとまずいし、人間がここに居るのもバレるとまずいし、輪廻の輪から外れた魂を元の世界に戻す行為がバレたらもっとまずいのじゃ。』
『そんなわけでお主には2番を選んでもらいたいじゃ。儂のためにも。このまま消え去るなんて嫌じゃろ?』
「不本意ですが分かりました。それで神様、転生特典というのはなんですか?」
『うむ。ここにスロットがあるじゃろ、レバー引いて3回ボタンを押すがいい。どんな特典かは回してからのお楽しみじゃ。』
目の前にレバーを引けば回るスロットがある。めちゃくちゃ胡散臭いが背に腹は変えられない。あの3つの世界ならチートな特典であってくれ。レバーを引くとどこかで聞いたことある電子音が流れ高速でスロットが回り始めた。やるしかない!
「ええい、ままよ!」
俺はボタンを3回押した。
パチ!パチ!パチ!
画面には手に入れた特典とどんな能力がざっくり写っていた。
1 元気な身体……効果は健康で強靭な優れた身体
2 ゴッドハンド……効果はあらゆる事に手先が器用になる
3 マジカルチンポ……男の夢っすわ
俺はこの3つの特典を引っ提げて異世界にて転生する様だ。
終わった!どんな転生特典があったのかが、スロットに映し出されている。そこには[不死身][魔力♾️][創生魔法][時間操作][空間操作][神眼]など、チート能力てんこ盛りの中こんな微妙な能力を引き当てるとは、今日ほど自分の運の無さを恨んだ日はない!
てかマジカルチンポ⁉︎なんだそりゃ!男の夢だと!気になる
『こりゃまた何とも微妙な特典を当てたんじゃの。』
『さてスロットも終わったし、そろそろお主を異世界に転生させる時間が来たのう。』
「それで俺の転生先はどこになるのですか?そして俺は誰に憑依するのですか?」
『それは転生してからのお楽しみじゃ!今言うと面白みが半減するからのう。』
そんなサプライズいらないから教えてくれよと心の中で願った。そんなこと考えてると、神様が転生の儀式を始め出した。
すると俺の足元に、アニメや漫画でしか見たことがない魔法陣が出現した。
『もうすぐ転生じゃ。お主を巻き込んでしまったことすまんかった。』
神様が謝ってきた。けど考えてみれば、会社と家を往復するだけの人生を送るくらいなら、別の世界でもう一回頑張ってみるのも悪くないな。ある意味俺の運命を変えてくれた神様には感謝だな!どんな世界でもやるだけやってやるぜ。
「神様に与えられた第二の人生を、後悔のない様に生きていきます。神様ありがとうございます。」
『うむ。では第二の人生!転生ライフを大いに楽しむのじゃ。お主とはもう会う事はないが、陰ながら応援してるぞ。』
「はい。では!お元気で。」
そう言い残すと、足元の魔法陣から光柱が立ち上がり、黒い空間を塗りつぶし、意識が遠のいていく。
クゥー クゥー クゥー 複数の甲高い鳴き声。空を裂く鋭い声。遠くからはブゥンと低く鈍い回転音が重なる。
潮の匂いが鼻腔いっぱいに満ちた。
「フィがなんかやってるぞ」「何やってんだルィ」「危ないからそこから降りろルフ」「バカなことやってないで戻ってこい」
「おい ルフィ 何をする気だ」
悪ガキの悪戯を、面白がる男たちが腹を抱えて笑っている。
ん?なんか今、某大佐の様な声が聞こえたような気が。もしかして、ガンダムの世界なのかな?
「俺は遊び半分なんかじゃないっ‼︎ もうあったまにきた‼︎」
「証拠を見せてやるっ‼︎」
なんか聞いたことのあるセリフだなぁ。確かこの後ナイフで顔を刺すんだっけ?いやまさかな。
「だっはっは おう! やってみろ 何するか知らねェがな!」
「またルフィが面白ェことやってるよ」
絶対にまた赤い大佐の声が聞こえたよなぁ。いやいやちょっと待てよ!今ルフィって言った?今ルフィって言ったよね。
まさか まさか あのシーンじゃねぇか。やめろー!
「ふん‼︎」 ブス……‼︎ ⁉︎
な……
「いっっっってェ〜〜〜〜〜〜っ‼︎‼︎」
激痛が弾けた。視界が開いた。小さな手に、赤い血。
目の前には、青い大海原。その上に浮かぶ巨大な帆船。酒が似合う荒くれ者の男達が、ざわめいている。
赤い髪。片目に走る3本の傷。その男が、こちらを見下ろしている。
……シャンクスだ!本物のシャンクスだ。
俺は本当に転生したのか。
そう理解した瞬間、胸の奥で何かが爆ぜた。恐怖も興奮も痛みも歓喜も一斉に流れ込んできた。受け止め切れない。
視界が暗転した。
初めまして。
今年からは読むだけではなく書く方でも参戦しようと思い、初投稿しました。
いざ書いてみて大変さがわかりました。これを毎日投稿されてる方、尊敬致します。