※この作品はR-18です。

海賊王に俺はなる?のか?   作:ずんだニャン

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みなさま、いつも読んでくれてありがとうございます。
そして感想、評価ありがとうございます♪感謝です(^^)
今回もなんとか書けました。
そして、エッチなシーンが全然なくてほんま申し訳ないっすm(_ _)m
もう少しの辛抱をシャス!!



10話 蜜柑と道化 2

 

 東の海《イーストブルー》――オレンジの町。

 

「私は海賊専門の泥棒、ナミっていうの。私と組まない?」

 

 どん!!

 

 俺の目の前で、堂々とそんな提案をしてきた女。

 オレンジ色の髪に、悪びれない笑顔。

 俺が是非とも仲間に迎えたい人物――ナミだった。

 

 天候を読む才能に、天才的な航海術。

 そして何より、今の俺に一番足りない“海を進むための知識”を持っている。

 はっきり言って、喉から手が出るほど欲しい人材だ。

 

「俺はルフィ!それで、泥棒のお前と組むのか?」

 

「そう。私と組めば儲かるわよ!」

 

 ナミは自信満々に胸を張る。そしてデカい!!

 

「うーん。ありがたい提案だけど、金には困ってないんだよな」

 

「そんなこと言わないでさ。話だけでも聞いていってよ」

 

 にしても、クソ可愛いなナミ。実物で見ると破壊力が違う。

 笑顔は可愛いし、胸も尻もでかいし、足長いし細いし白いし。

 なんてエッチなんだ、好きになってしまう。

 

「……わかった。話を聞くよ!」

 

「決まりね。じゃあ、ついてきて。ここだとまた見つかるから」

 

 そう言うと、ナミはさっさと歩き出した。

 俺はその後についていく。

 少し離れた場所にある民家の前で、ナミは立ち止まり、慣れた手つきで鍵穴をいじり始める。

 

 カチャカチャ。

 

 ピッキング、初めて見たな。

 そして手際が良いな。完全に慣れてるよ。

 

「さあ、開いたわよ。入って入って」

 

「普通に入るんだな……」

 

 そのまま民家に入り、俺たちはリビングの椅子に腰を下ろした。

 

「あんた、他に仲間はいないの?」

 

「人間の仲間はいないな。鳥の仲間なら一羽いる」

 

「鳥って……変わってるわね……」

 

「まあな。一応聞くけど、ここはお前の家なのか?」

 

「ううん。全然知らない人の家」

 

「あ……そうなのね」

 

 さすが泥棒、他人の家に入ることへの抵抗が薄すぎる。

 けど空き巣はしないんだっけ?

 

「心配しなくても平気よ。町の人たちは、バギーを避けるために町の外れに避難してるの。だから今は誰もいないわ」

 

「なるほどな。ところで、なんであいつらに追われてたんだ? 海図がどうとか言ってたけど」

 

「ああ、それね」

 

 ナミは懐から丸めた海図を見せてきた。

 

「私が持ってる偉大なる航路《グランドライン》の海図を、あいつらが奪おうとしてきたのよ」

 

 あれ?

 たしか原作だと、バギーから盗むんじゃなかったか?

 もう持ってたんだったっけ?

 

 詳しく聞いてみると、どうやらナミもシェルズタウンにいたらしい。俺がモーガンと戦っている間、警備が手薄になった海軍基地に忍び込み、モーガンの執務室から偉大なる航路《グランドライン》の海図を盗み出したようだ。

 

 しかも、バギー一味もその海図を狙って、シェルズタウンに部下を送り込んでいたらしい。

 けど、先に盗んだのはナミで、その海図を横取りしようと追われてたようだ。

 

「なるほど。それで追われてたのか」

 

「そういうこと」

 

 ナミはあっさりと言う。

 さらっと海軍基地に忍び込んで海図を盗んでるあたり、やっぱり普通じゃない。

 泥棒仲間じゃなく、“航海士”として欲しいんだけどな。

 そんなことを考えていると、ナミが急ににこっと笑った。

 

「ねえ、私と組んでくれたら、いい思いさせてあげるわよ♡」

 

「え……?」

 

 急に甘い声で、いきなり距離を詰めてきた。チラッと胸が、見えそうで見えないくらいまで襟周りを下げた。

 声も表情も、明らかにこっちをからかっている。

 

「なによ、すました顔して。私に興味あるんでしょ?」

 

「いや、まあ……」

 

 童貞みたいな反応をしてしまった。情けないぜ!

 

「あんた、さっきから私の胸ばっかり見て話してるじゃない」

 

 ナミは腕を組んで、からかうように笑った。

 腕を組んだことによって、さらに強調された!けしからん!

 

「視線だけでお金取れそうなくらいよ?」

 

 ぐっ、バレていたか。確かに見ていた。

 仕方ないだろ。目の前に山があったら登るように、目の前におっぱいがあったら男なら見るだろう!

 これは自然の摂理だ。間違いないね!

 だが、ここで流されるわけにはいかない。

 

「そ……それで、誰から盗むんだ?」

 

「あら、ちゃんと話に戻るのね」

 

 ナミは少し意外そうに目を細めた。

 

「まあいいわ。まずはバギー一味。あいつらが溜め込んでる財宝をいただくの」

 

 どうやら作戦があるらしく、その指示に従ってほしいらしい。

 バギーから財宝を盗むこと自体は別に構わない。

 けど、俺には一番気になることがあった。

 

「金を盗んで何をするんだ?ギャンブル?酒?男?」

 

「お酒は飲むけど、他二つは興味ないわよ!」

 

 ナミは少しむっとした顔になる。

 

「私は何がなんでも一億ベリーを稼がなきゃいけないの」

 

「一億なんて大金、なんで?」

 

「今会ったばかりのあんたに教える必要はないわ」

 

「そりゃごもっともだ」

 

 理由はわかっている。ココヤシ村を買うためだろう。

 つまり、このあたりは原作と大きく変わっていない。

 ナミはナミのままだ。

 

「だから協力してほしいの。あんたの強さと、私の航海術。それにこの海図があれば、大儲けできるわよ」

 

 ナミは身を乗り出す。

 

「どう?悪い話じゃないでしょ?もちろん、お宝は山分けにするから!」

 

 組んでやってもいい。

 けど、変に嘘をついてもしょうがないよな。

 

「組むってより、俺の仲間になってくれよ」

 

「……仲間?」

 

「お前、航海士なんだろ? 今、俺が一番仲間にしたい人材なんだよ」

 

 その瞬間、ナミの目が少し鋭くなった。

 

「仲間って……あんた、何者?」

 

「俺は海賊なんだ!」

 

 そう言った瞬間、ナミの笑顔が消え、空気が変わる。

 

「あんた、海賊だったの」

 

「海軍基地を襲撃してる時点で、まともなわけないだろ」

 

「言われてみればそうね」

 

 ナミは椅子から立ち上がった。

 

「悪いけど、今の話は全部なし。あんたとはやっぱり組みたくないわ」

 

「えー、ナミは俺の力が必要で、俺はナミの航海術が必要だ。お互い補い合えるし、悪くないと思うけど?」

 

「嫌よ!」

 

 ナミはきっぱりと言い切った。

 

「いい?私は海賊がこの世で一番嫌いなの。好きなものはお金とみかん。それ以外は信用しない」

 

 海賊が嫌いで、好きなものはお金とみかん。

 となると、今すぐ仲間にするのは難しいか。

 でも、どっちにしても俺は海賊だし、名を上げるには、賞金首を倒すのが早い。

 だったら、まずはバギーを倒しに行くか。

 俺は椅子から立ち上がった。

 

「どこ行くのよ?」

 

 ナミが警戒したように聞いてくる。

 

「バギーを倒そうかと思って」

 

「はぁ?いくらあんたが強くても、勝てっこないわよ」

 

 ナミは呆れたように眉をひそめた。

 

「バギーは大砲好きで有名なの。どこだかの町で、子どもに自分の鼻を馬鹿にされたってだけで、その町を大砲で吹き飛ばしたのよ」

 

「鼻を馬鹿にされただけでか?」

 

「そうよ。それに、バギーは悪魔の実の能力者で、普通の海賊とは違うの。やられるだけよ。やめときなさい」

 

「それは、やってみなきゃわからんよ」

 

 俺がそう言うと、ナミは少し黙った。

 そして、俺の顔をじっと見た。

 値踏みするような目だ。

 

「……ちょっと待って」

 

「ん?」

 

「やっぱり協力しない?あんた、他の海賊とは少し違いそうだし」

 

「おっ、マジで?」

 

「マジマジ。私もあんたも、お互いが必要なわけだし」

 

 海賊嫌いのナミが急に信用なんかするわけもないけど、今はそれでいいや。

 

「んじゃ、バギーのところに行くか。案内してくれ」

 

「ええ、もちろんよ」

 

 こうして俺とナミは、バギー一味が拠点にしている酒場へ向かうことになったのだが。

 

――♢――

 

 オレンジの町――バギー一味拠点・酒場屋上

 

 俺は現在、両手をロープで縛られ、酒場の屋上に置かれた檻の中に放り込まれていた。

 

 なんでこんなことになったのか。

 

 あのあと、ナミと一緒にバギー一味が根城にしている酒場へ向かう途中、俺は彼女にあっさり縛られた。

 そしてナミは、俺と偉大なる航路《グランドライン》の海図を手土産に、道化のバギーへ寝返り、そのまま一味の新入りになったのだ。

 

 まあ、この程度の縄も檻も、抜け出そうと思えばいつでも抜け出せるんだけどな。

 鉄格子の向こうでは、バギー一味が派手に宴会をしていた。

 

「「ひゃっほーーう!!」」

「飲め飲めぇぇぇ!!」

「新入りぃ! 飲み比べだ!」

「勝ち!」

 

 にしても、楽しそうだ。

 酒を飲んで、飯を食って、仲間同士で馬鹿騒ぎしている。

 やっぱり海賊ってのは、こういうワイワイした感じがいいよな。俺も早く仲間を集めないとな。

 

 そんなことを思いながら宴会の様子を眺めていると、ナミと目が合った。

 彼女はこっちを見て、ニヤニヤしながら歩いてくる。

 

「調子はどう、親分?」

 

「まあ、悪くはないな。けど腹は減ってるからなんか飯持ってきてくれよ」

 

 もぐもぐ。

 ……まさか本当に持ってきてくれるとは思わなかった。

 

「うまい」

 

「呑気ね、あんた。自分がこれからどうなるか考えてないの?」

 

「いや、全く」

 

「あきれた。このままだと、どこかに売り飛ばされるわよ」

 

 ナミは呆れたように息を漏らした。

 

「でも、私の仕事が万事うまくいったら、助けてあげてもいいわ。別に、あんたに恨みがあるわけじゃないし」

 

 ナミって意外と自信家なのか?

 それとも、絶対に盗みを成功させられるっていう自負があるのかな?堂々としているというか、肝が据わっているというか。

 にしても――

 

「お前、近いうちにバチ当たるぞ」

 

「心配してくれてありがとう」

 

 そんなやり取りをしていると、ビール片手にバギーがやってきた。

 

「ぶはっはっはっはっはっ! 子分に裏切られるたぁ、残念だったな、親分!」

 

 にしても、こいつの鼻は本当に飾りじゃないんだな。

 どう見ても後付けにしか見えないのに。

 さすが異世界だぜ。

 

「正確には、子分じゃないんだけどな」

 

「わーってる、わーってるよ。裏切られて、そう言いたくなる気持ちもよぉ!」

 

 バギーから見れば、今の俺は子分に裏切られ、あっけなく捕まった哀れな親分ってところなんだろう。

 完全に勘違いしているよ。

 

「だがな、俺様が先に狙っていた偉大なる航路《グランドライン》の海図に手をつけた罪は重いぞ!」

 

「海図なら、さっきナミがお前に渡してただろ」

 

「ああ、貰ったさ。だが、俺様の海図を横取りした罪は消えねぇ!」

 

 バギーは酒瓶を片手に、俺を指さした。

 

「すでに、テメェの処分も決まってる!」

 

「おっ、逃がしてくれんのか?」

 

「そうそう、お前を逃して解決――って、そんなわけねぇだろ!!」

 

 バギーが叫ぶと、周囲の海賊たちがどっと笑った。

 

「おい!あれを用意しろ!」

 

 その命令を受けて、部下たちが慌ただしく動き出す。

 しばらくして運ばれてきたのは、一門の砲台だった。

 バギー玉かな?

 

「あれが何か気になるか?」

 

「気になる!」

 

「なら見せてやる。野郎共!!特製バギー玉の準備だ!」

 

 バギーが指示を飛ばすと、周囲は一気に盛り上がった。

 

「「「ういやっほーーう!!」」」

「バギー玉、セット完了しました!」

 

 部下の一人が大声で合図を出す。

 

「この威力!見せつけてやれ!」

 

 ドゴゴゴゴゴンッ!!!

 

 凄まじい轟音と共に発射された砲弾は、遠くの民家を数十軒まとめて吹き飛ばした。

 爆風が町を揺らし、木材や瓦礫が空へ舞い上がる。

 一瞬で、そこにあった家々が更地へ変わった。

 

「まさにド派手!!」

 

 バギーは両手を広げ、高らかに笑う。

 

「こんな町くらいなら、簡単に消し飛ばす代物よ! この“バギー玉”と、俺様の“悪魔の実”! そして“海図”があれば、俺は偉大なる航路《グランドライン》を制することができる!!」

 

 一味が歓声を上げる。

 町の人たちは避難しているとはいえ、普通にひどいことしやがる。

 それにしても――

 

「すげー威力だなー」

 

 思わず声が漏れた。

 バギーはそれを聞き逃さなかったようで、にやりと笑う。

 

「感心してる場合じゃねぇぞ、親分!今からそいつで、お前をド派手に吹き飛ばすんだからなぁ!」

 

 正直、正面から食らっても耐えられるんだけどなぁー。

 そんなことを考えていると、バギーが不意にナミの方を向いた。

 

「さあ、バギー玉を一個プレゼントしてやる!やれ、ナミ!」

 

 どうやら、ご指名はナミらしい。

 ナミの顔が、わずかに引きつる。

 

「わ……私が、ですか?」

 

「そうだ!これは俺様への忠誠を誓うって意味もあるんだ!」

 

 バギーは砲口を指さした。

 

「そのために、元親分を派手に殺して見せろ!」

 

「バギー船長、あ……あんな奴、放っておいていいじゃないですか。さっきみたいに楽しくお酒を飲みましょうよ」

 

「やれ!」

 

 ごまかしは通じなかった。

 バギーは完全にその気だ。

 

「そんな……」

 

 ナミは砲台の前で固まった。

 その背後では、海賊たちが無責任に騒ぎ立てる。

 

「撃ーてっ! 撃ーてっ! 撃ーてっ!」

「早く撃てー!」

「景気づけにぶっ放せー!」

「「ひゃっはーーー!!」」

 

 撃て撃てコール。完全に世紀末だ。

 ナミは動けない。

 手を伸ばせば火をつけられる距離にいるのに、指先は震えたままだ。

 

「さっさと撃て、ナミ! しらけさせんじゃねぇ!」

 

 バギーの怒鳴り声に、ナミの体がびくっと跳ねた。

 

「どうした、撃たないのか?」

 

 俺は檻の中から、立ち尽くすナミへ声をかけた。

 

「バギー船長がお前に命令してるぞ。海賊のナミに」

 

「な……何よ。えらく余裕じゃない」

 

 彼女は強がるように俺を睨む。

 

「私が撃てないとでも思ってるの?」

 

「ああ。お前は撃てない。絶対にな」

 

「なんで、そう言い切れるのよ」

 

「だってお前、さっきからずっと震えてるぞ」

 

 ナミの表情が強張る。

 

「中途半端な覚悟で海賊を相手にしようとするから、こうなるんだ」

 

「なによ……人を簡単に殺すことが覚悟だって言いたいの?」

 

「違う」

 

 俺はナミをまっすぐ見た。

 

「自分の命を賭ける覚悟だ」

 

 彼女が言葉を失う。

 

 海賊相手に盗みを働き、騙す、利用する、時には裏切る。

 それ自体はなにも悪くない。だって相手は海賊、海の無法者だ。遠慮する必要なんてない。

 

 けど、海賊は本気で命を奪いにくる。

 その時に、自分がどこまでやれるのか、それを決めていないまま踏み込めばこうなる。

 

 ナミは今まさに自分の招いた行動に突きつけられている。

 だが、バギー一味の連中は待ってくれない。

 痺れを切らした手下の一人が、砲台へ近づいてきた。

 

「何やってんだお前。チンタラしやがって。点火の仕方も知らねぇ素人か?」

 

 男はナミを押しのけ、導火線を指さす。

 

「よく見てろ。ここに火を近づけてだな、ボッと――」

 

 最後まで言い終える前に、

 ガンッ!!!

 ナミがどこからか取り出した棒で、その男を殴り倒した。

 

「……はっ。しまった」

 

 反射的に体が動いた。

 そんな顔だった。

 やっぱり、人を殺すことには強い抵抗があるらしい。

 

「どーいうつもりだぁぁ!!」

 

 裏切りとも言える行為に、バギーが怒号を上げた。

 

「せっかくこの俺様が、仲間に加えてやろうとしてたっていうのにぃ!!」

 

「やっぱり、殺せなかったな」

 

 俺がそう言うと、ナミがこちらを睨んだ。

 

「俺を助ける気になったか?」

 

「バカ言わないで!」

 

 彼女は怒鳴った。

 

「たとえ真似事でも、非道な海賊と同類にはなりたくないのよ! 私の大切な人の命を奪った海賊と同類なんかには……!」

 

「それで海賊が嫌いなんだな。それと、火がついてるぞ」

 

「え……?」

 

 ジジジジジジジ……。

 倒された男が持っていた火が、導火線に移っていた。

 小さな火はじわじわと砲身へ近づいていく。

 

 抜け出すのは簡単だし、手を貸すのも別に構わない。

 けど、これはナミの問題だ。この場でどう動くのか、見させてもらう。

 もちろん、本当に危なくなれば俺が動くけど。

 

「人をおちょくりやがって!お前ら、ハデに小娘を殺せ!」

 

 バギーが部下たちに命じる。

 

「「ひゃっはーーっ!!」」

「ハデに死ねぇー!」

 

 海賊たちが一斉にナミへ襲いかかった。

 ナミは武器を構えて応戦する。だが、相手は複数。しかも連中は余裕があるのか、ヘラヘラ笑いながら攻撃をかわしている。

 

「ほらほら、どうしたぁ!」

「さっきまでの威勢はどうしたぁ!」

「逃げ場はねぇぞ、小娘ぇ!」

 

 ナミの顔に焦りが浮かぶ。

 攻撃を避け、棒で牽制し、距離を取る。けど、導火線の火は止まらない。

 ジジジジジジジ……。

 火はもう、砲台のすぐ手前まで迫っていた。

 

「くっ……!」

 

 ナミは歯を食いしばると、持っていた棒を捨てた。

 そして、燃える導火線を両手で包み込む。

 

「あつっ……!」

 

 火は消えた。

 だが、当然ナミの手には火の痛みが走る。

 苦痛に顔を歪めながら、それでも導火線から手を離さなかった。

 

「後ろだ!右に避けろ!」

 

 男の一人が、背後からサーベルを突き刺そうとしていた。

 俺の声に反応し、ナミは振り向きざまに右へ飛び寸前でかわしたが、刃先は左肩をかすめた。

 

「っ……!」

 

 ビリッ――!

 

 服が裂ける音がした。

 

「おいっ、ナミィ!! テメェ、その肩のマークはなんだぁ!!」

 

 バギーの殺気を孕んだ怒鳴り声が響いた。

 何のことかと、ナミが自分の肩を見て気づいた。服で隠していたはずの、ノコギリザメの刺青が破れた布の隙間から露わになっていた。

 ナミは顔色を変え、慌てて肩を押さえる。

 

「いやっ……違う……これは……」

 

「何が違う!テメェのその刺青、アーロンのマークじゃねぇかぁ!!」

 

「違うの……これは本当に!」

 

 ナミは必死に誤魔化そうとする。

 けど、バギーの耳には届いていなかった。

 

「非道な海賊だの、海賊と同類だのと、名演技だったじゃねぇか。俺様のサーカスで働いてほしいくらいだぜ。あの魚野郎、俺様が無視してるからって、こんな小娘を送り込んでくるたぁ……ずいぶん派手に舐めた真似してくれるじゃねぇか」

 

 話を聞く限り、バギーとアーロンは何かしら面識があるらしい。

 

「……アーロンと知り合いなの?」

 

 ナミが、震える声で尋ねた。

 

「魚野郎はなァ、東の海《イーストブルー》で海賊稼業を続けたきゃ、貢ぎ金を納めろとか抜かしてきやがった。だから無視してたんだが……まさかこんな小娘を送り込んでくるとはなァ。ハデにナメた真似してくれるじゃねぇか!俺様と一戦おっ始めようってか!?」

 

 アーロンは、一般人から金を巻き上げるだけじゃなく、同じ海賊からも金を取ろうとしていたらしい。

 そして、そのことがバギーの癇に障っていた。

 

「違うの! この件にアーロンは関係ない!」

 

「そんな言い訳が通じるわけねぇだろ!!」

 

 バギーが手下たちへ振り返る。

 

「おい、お前ら!戦争の準備をしろ!バギー玉もありったけ船に積み込め!」

 

「へい!」

 

「魚野郎の居場所は誰かわかるか!?」

 

 その声に、手下の一人が答えた。

 

「アーロンの野郎なら、コノミ諸島を拠点にしてますぜ」

 

「おーし! 準備ができ次第、コノミ諸島に攻め込むぞ!!」

 

「ちょっと待って! そんなのダメ! やめてよ!」

 

 ナミが声を張り上げた。

 そりゃそうだ。

 バギーとアーロン。どっちが勝つにせよ、ナミの故郷は戦場になる。人が死ぬし、家が壊れる。

 あのバギー玉を撃ち込まれれば、町や人なんて簡単に吹き飛ぶ。

 

「……あぁ?まだいたのか」

 

 バギーがこちらを見る。

 さっきまで燃え上がっていた怒りが、急に冷えたような声だった。

 

「安心しろ。もうテメェらに興味はねぇ」

 

 そう言って、バギーは檻の鍵をこちらへ放り投げた。

 

「ほらよ。親分と一緒にどこへでも行きやがれ!」

 

「なんだ? 次は本当に逃がしてくれるのか?」

 

 俺がそう尋ねると、バギーはにたりと笑った。

 

「ああ、逃がして……やるわきゃねぇーだろーが!!バラバラ砲!!」

 

 悪魔の実の力で切り離された右手が、大砲の方へ飛んでいく。

 その手には、火のついたマッチが握られていた。

 短い導火線に、火が走る。

 ジジジジジ……。

 

「ド派手に死ねぇ!!」

 

 ナミはその場から動けず、その場に縫い止められたように、ただ大砲を見ている。

 バギー玉が再び放たれる前に、俺は縛られていたロープを力任せに引きちぎり、檻を破壊して脱出。ナミの体を抱え、その場から離脱する瞬間にバギー玉が放たれた!

 そして、大砲の射線上にあったオレンジの町の建物が、また木っ端微塵に吹き飛んだ!




5日もらった休みも一瞬で終わる!スタンド攻撃か⁉️

ゾロが海兵ルートなのが結構意外だったようでなんか嬉しかったです。

文字数ってどれくらいが読みやすいんですかね?
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