『えっ 翼より六眼だろ。むしろどうでもいいわ翼。個性がなくて弱いって言うなら、護衛つければいいだけだし。呪霊対策ができるかどうかが全てだろ。俺ら呪術師だぞ』
その言葉に納得してしまう。確かにそれは一理ある。普通、呪霊に強ければ人間にも強いのだが、その辺は事情が違うらしい。
『けど悟……』
『それに人間ちゃんの傑も困るだろ。やだろ獣姦。個性がないってことはみんな人間ちゃんなんだから、鳥に犯されるなんてドン引きって言われる。うっ 傑そっくりな奴にドン引きされるの辛い……』
「人間ちゃん?」
『無個性をそう呼ぶこともあるんだ』
翼雷(悟の忌み名)をよしよしとしながら、継はため息を吐く。
「私は君とする事を獣姦とは思わないけど、男同士は嫌かな。私は男なんだ」
『それは個性でどうにかできるからどうでもいいけど』
「そこはどうでもいいんだ……」
カルチャーショックである。翼雷にとっては、人間であること>>>>>性別らしい。ちょっと背に翼が生えてるぐらいは全然許容範囲だと思うのだが。
『傑、毎年六眼作ろ。いいよ、翼なんてなくて。それにそれだけ作れば翼持ちも出るかもよ』
『君は良くても私が嫌なんだよ。それに、禪院家にオファー貰っててね。なんか相伝でどうしても術式を受け継がせてほしい子がいるんだって。私はこういう個性だし、六眼と同じように術式さえ継いでくれればいいって』
『は?』
なんだか修羅場の気配である。
『子供の世話もさせてくれるって言うし、子供と引き離されるのは寂しくてね』
『嫁いでくればいいじゃん』
『君、今でさえ束縛強いのに、結婚したら外に出してくれなくなりそうだし』
『仕方ねーだろ、傑が家にいないと不安なの、鳥の本能なんだよ! くそっ だから半分鳥は嫌なんだ!』
本能なのか。
そうして、私は2人と親しくなった。
翼雷は翼が目立ちすぎてこちらに来れないけれど、継は案内すると治安の良さに感動して泣いていた。
私は自分の強さに自信があったが、向こうに遊びに行ってたった1日で数件の犯罪に巻き込まれ、辟易した。
全員が術師とかクソだね。モラルの勉強をしてこい。
向こうの私は忙しい。呪霊は退治するより収集に行くという感じで、呪霊操術は何をやらかすかわからない子供達の世話やレスキューに活用しているのだという。
こちらの世界より活躍の場が多く、私は熱心な勧誘を受けた。
そして、美々子と菜々子を助けた時、私は村人をぶん殴って悪魔の世界に逃げていた。
翼雷も継も歓迎してくれて、特に継は美々子と菜々子に喜んだ。
大人しい(個性のない)女の子で術師。可愛くて仕方がないらしく、可愛がってくれる。ちなみに、向こうの美々子と菜々子は親元で元気にやっていて、安心した。
私は、翼雷に抱かれて青い空を飛んだ時、思い切って言った。
「隅っこでいいんだ。私も、側に置いてもらえないかな」
「継の次に、すげー大事にする」
「婚約者いるだろ。3番目でいいよ」
「あいつ鳥だぜ? 獣姦はちょっと……」
「君もじゃないか。子供もいるんだから、大事にしなよ」
私は呆れて、女の子の扱いを指導しようと決めるのだった。
なお、翼雷の第一子の鵺くん、3歳には、告白されるくらい気に入られた。
蒼月くんと赤月くんが悟のミニチュアなら、鵺くんは悟の色違いだ。髪も目も翼も何もかもが黒い。翼雷の遺伝子めちゃくちゃ強いな……。
鵺くんは私が翼雷のものになると知ってギャン泣きした。
綺麗どころを独り占めとかあまりにもけしからんらしい。
必死に私を強請り、めちゃくちゃアタックしてきた。君、本当に3歳?
でもまあ、可愛い。
何より必要としてもらえ、術式を活用できる。
私は、ヒーロー扱いして欲しかったのだと本心にも気づけた。
呪霊退治より、レスキューの方が私は向いてる。
ここで生きていこう。
1ヶ月ほど姿をくらましていた私は、悟達に別れの挨拶をする為に自分の世界に戻ったのだった。
マシュマロ
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