ユウヤは、あまりにも優しかった。
あの男のように、私の嫌がることを無理やりしようとはしない。
何をするにも、私の許可を得てから行動に移る。
ホテルに入って抱き寄せるその腕は、どこまでも慎重で、触れる指先にさえ、気遣いが滲んでいた。
一つひとつの仕草に、確かな愛を感じる。
本来なら、それだけで満たされるはずだった。
なのに、何かが足りない。
胸の奥に、ぽっかりと穴が空いたような感覚。
その違和感が、じわじわと広がっていく。
どうしてなのか、自分でも分からないまま──ただ、胸だけがひどく痛んでいた。
最愛の人と結ばれようとしてるのに、あの男の姿がどうしても頭を離れない。
ユウヤとキスをしてるはずなのに、あの醜い顔面が目前に迫り、ムチュムチュと唇を奪われた時のことを思い浮かべてしまう。
その記憶を払拭しようと、私から積極的に求めても、痕跡はまったく消えようとしない。
私はユウヤの唇を無我夢中で貪りながらも、赤ら顔でパンパンに膨れたあの醜い顔を思い浮かべ、股間をびっしょりと濡らし続けていた。
「タカコ……本当に、良いんだね?」
唇が離れると、そう言って私の顔をじっくりと覗き込むユウヤ。
シャワーを浴びてベッドに潜り込んだ私たちは、すでに生まれたままの姿で互いの身体を抱きしめ合っていた。
あの男と違って、ベトつきのないサラッとした肌──。
吹きかかる息さえ爽やか。
なのに、心の中のわだかまりだけはどうしても消えない。
「……うん。……いいよ。……何もかも忘れさせて」
私がそう言って頷くと、ユウヤは首筋にキスをして、そこからゆっくりと舌を這わせていく。
たどたどしくはありながらも、その舌使いは丁寧で、溢れんばかりの愛情が宿っている。
「……あぁっ!」
ゆっくりと滑っていく舌の感触に、思わず声が漏れる。
瞳をギュッと閉じて、身体をビクビクと震わせている。
だが、頭に浮かんでいるのは、ベッチョリと絡み付くように肌を這いずり回った、あの時の忌まわしい感触。
「……ゆ、ユウヤ! ……もっと、激しくしてっ!」
どうしても消えない、あの男との記憶──
声を張り上げると、ユウヤは戸惑いを見せながらも、私の身体を荒々しく舐めていった。
肌を滑るようにその手が私の股間に伸びる。
そして、彼の唇が胸の膨らみに辿り着く。
その温かさと、いっぱいの愛情を感じて心地好いとは思っている。
だが、どうしてもあの男の面影が頭から離れない。
余計なことをペラペラと語りながら、ニヤニヤと笑って私の身体を唾液で汚したあの記憶。
心の中でどんなに否定しようと、悩ましい声が漏れるのを防ぐことはできなかった。
知らず知らずのうちに、脂ぎった禿げ頭を愛おしむように撫で回し、気持ち良さげに声を張り上げていた。
私は、あの男との行為に心を奪われ、感じてしまっていたのだ──。
今もそれを否定することはできない。
ユウヤに舐められているのに、脳裏に浮かんでいるのは小太りなあの男。
「……あっ……だ、ダメっ!」
乳首をパクっと咥えているのはユウヤなのに、閉じた瞳に映っているのは、ここに居るはずもない憎らしい姿だった。
ニンマリと笑った口からニュルっと舌が伸び、乳首の先端をチロチロと擽っている。
気持ちの中では、こんなにも拒絶してるのに、それが頭に浮かんで身体の疼きが抑えられない。
私はそれを何とか振り払おうと、衝動的に身体を反転させた。
そして彼に馬乗りになっていった。
「私がしてあげる。……だから、任せて」
突然、積極的になった私を見て、ユウヤは呆然と目を見開いた。
今までの私からは想像もできないその様子に、まるで別人を見ているかのように、言葉を失っている。
それでも──
彼は、何も言わなかった。
思うところはあるはずなのに、ただ静かに、私の身体を抱き寄せる。
私はその胸に軽くとキスをすると、乳首を甚振るように、周りからゆっくりと舌を這わせていった。
「……あ…………あぁ…………あっ!」
険しい顔で、すすり泣くような声を上げるユウヤ。
呼吸が激しくなり、その胸が上下に激しく揺れ動いている。
泣きそうな顔で悶えながらも、私の頭を愛おしむように撫で回している。
優しさに溢れたその温もり──。
しかし、これは私があの男にさせられたことを、ただ真似ているだけ。
何度も行為を繰り返すうちに、私は奴の言いなりになり、あの醜い身体を労わるように舐めさせられていた。
屈辱を感じながらも、拒むことさえできなかった。
憤りを感じているはずなのに、奴隷のように扱われて、なぜだか子宮の奥がキュンキュンと疼きだしていた。
『もっと、丁寧に……労わるように舐めて~。そう、上手いよ~』
いまだにあの時のニヤけた声が頭に浮かぶ。
奴は頭の下に腕を組んで、寝転んだまま、王様気分で私の心まで滅茶苦茶にしていったのだ。
そんな扱いをさせられていたのに、股間はびっしょりと濡れたまま。
ついには、あの男の汚らしいものまで咥えさせられた──。
ハァハァと息を荒げるユウヤを見つめながら、私はその乳首を舌と指でじっくりと甚振っていた。
下半身に伸びたもう片方の手は、股間のものを握りしめ、ゆっくりと上下に動かし続けている。
気持ち良さげな彼の様子を伺いながらも、どうしても物足りないという思いばかりが募っていく。
私はあの男にしたのと同じように、身体中をペロペロと舐めながら、下半身に向かって唇をゆっくりと移動させていった。
「……た、タカコ~」
唇がそこに向かうにつれて、彼の表情が切なげになっていく。
甘えるように私の名前を呼びながら、恋人つなぎで指を絡めていく。
彼の大切なところに辿り着いた私は、天に向かって伸びるそれを、根元の方からチロチロと舐めていった。
その途端に、手に握ったものはビクンビクンと飛び跳ねて、制御できないほど暴れ回っていく。
ユウヤのそれはあの男とは、まったく違っていた。
大きさや太さはもちろんだが、皮を被ってまだ幼さが残っている。
ちょっぴりオシッコ臭く、あの男のような逞しさもない。
それでメチャメチャにされることを望んでいた私は、未成熟なその姿に、少しだけ期待を裏切られたような気がしていた。
──あの男の痕跡を失くすには、もっと太くて大きくなければ、消し去ることはできないだろう。
中を目一杯に押し広げ、激しく掻き回されていた感覚が、いまだにあそこに残っている。
あの漲るような力強さが、いつまで経っても頭に焼き付いて離れない。
私はそれを払拭するように、彼のものを口に含んで、夢中でしゃぶり始めていった。
ジュプジュプと音を立てながら、何かに憑りつかれたように上下に激しく首を動かす。
奴の汚らしいものを咥えていたという事実を、どんなことをしてでも消し去りたかった。
『ほら~、カリの裏側を、もっと丁寧に舐めてよ~』
だが、そう言いながら私の頭を撫でていた、奴の声が頭を過る。
その時だけは何故か優しくて、頭を撫でるその手の温もりに、胸がキュンキュンと締め付けられていた。
その後、私は奴の上に乗せられて、激しく腰を突き上げられた。
何度も繋がってるうちに痛みはなくなり、あれが出たり入ったりする刺激に、ゾクゾクしたものを感じていた。
そして熱いものがビュッビュビュッビュと飛び出てくると共に、初めての中イキを経験する。
その時、中に入ったカチカチのものを、ギュッと締め付けていた自分が許せない。
あのプヨプヨな身体に縋るようにしがみ付き、ビクンビクンと身体を痙攣させていたことが恨めしくて堪らない。
その時のことを思い浮かべるたびに、死にたくなってしまう。
なのに、同時に身体中がどんどん熱くなっていく。
衝動が抑えきれなくなってしまった私は、彼の腰の上に跨っていった。
「……挿れるよ」
「……う、うん」
唐突に繋がろうとする私を見て、彼は躊躇いながらも目を見開いていた。
恥じらいもなく、大股開きで跨る私の姿に、信じられないといった表情を浮かべていた。
硬くなったものに手を添えて、腰を沈めていくと、入り口に火照ったものが突き当たる。
すでにヌルヌルになっていた私のあそこは準備万端──。
ユウヤのそれを、いとも簡単にニュルっと飲み込んでいった。
「ま、待って! ……ゴムは!?」
そんなことまで、気を配ってくれるユウヤは確かに優しい。
でも、今の私にとってそんなことは正直どうでもよかった。
むしろ、あの男に中出しされた跡を、彼のもので上書きして欲しかった。
「大丈夫だから……中に出して」
そう言って腰を振ると、彼の顔つきがみるみるうちに険しくなっていく。
ラブジュースを溢れさせながら、クッチュクッチュっと卑猥な音を立てていく私のあそこ──。
熱くなったものが出たり入ったりを繰り返し、眉間に皺を寄せる彼の口から、咽び泣くような声が漏れていく。
「……あぁっ……くぅっ……す、すごい……」
ベッドのシーツを握り締め、気持ち良さげに悶えるユウヤ。
だが、あの男を忘れようと必死に腰を動かす私は、そんな彼のことなどまったく見えてはいなかった。
何かに憑りつかれたように腰を動かし、気持ちの良いところに、ユウヤのあれをひたすら擦り付ける。
一心不乱に腰を振り、快楽を貪る姿は、きっと淫乱女のように見えているだろう。
なのに、どうしてもあの男のものを思い浮かべてしまう。
重量感があって、目一杯に中を埋め尽くす力強さ──ユウヤのものにはそれがなかった。
出たり入ったりするたびに心地好いとは感じる。
だが、ただそれだけ。
あの男の形跡を消すなど、到底不可能だ。
私はそれを受け入れることができず、狂ったように腰を動かし続けていった。
あの男との一夜を必死になって消そうと──
だが、その脳裏には奴に下から突かれた時の、生々しい感触が鮮明に蘇っている。
「ムフフ……」と笑いながら私の胸を揉み、感じてる様子を見て、得意げになっているニヤけた顔も。
「タカコー! ……お、俺、もうダメ!」
そんな時、突如としてユウヤの叫びが響く。
辛そうに何かを必死に堪えてるような切なげなその顔。
「い……イクぅ──────ーっ!」
その叫びと共に、ピュッピュピュッピュと中にまき散らされる熱い体液。
「……私も……イクっ、イクっ、イッちゃう──────っ!」
子宮口に打ち当たるその感触を感じながら、私も絶頂を迎えていった。
遠ざかる意識の中で思い浮かべていたのは、あの男の忌まわしいニヤニヤとした笑顔。
──数日後。
あの男──マエジマから連絡を受けた私は、迷うこともなく、その待ち合わせ場所へと足を運んでいた。
~to be continued~