※この作品はR-18です。

性年のしがらみ   作:村上しんご

11 / 30
第十一話 狂い始めた人④

 ユウヤに申し訳ない──そんな罪悪感は、確かにあった。

 

 最愛の人を裏切り、こんなどうしようもない男と会っているのだ。

 しかも、言われるままに学校まで休んで──

 

 そこまで分かっているのに、私の足は止まらなかった。

 

 彼は、きっと心配しているだろう。

 何度も連絡をくれて不安になっているのかもしれない。

 

 もしかしたら──

 他の男と会っているんじゃないかと、疑っているかもしれない。

 

 それでもユウヤは、私が以前とはまったく様子が違うことに気づきながらも、それ以上、踏み込もうとはしなかった。

 

 問いただすこともなく、ただ距離を測って、静かに見守るだけ。

 

 それが──彼の優しさ。

 そして、私に対しての愛でもある。

 

 そんな優しさと愛に守られているはずなのに、心の中で──マエジマの存在が、日に日に大きくなっていた。

 

 あの日の記憶を払拭しようと、あれからユウヤと何度も身体を重ねた。

 だが、どんなに愛し合っても、あの忌まわしい記憶を忘れるどころか、どんどん頭から離れなくなっていく。

 

 私に対しての、まるで性処理具のような粗末な扱いが、頭から離れない。

 

 彼に抱かれているはずなのに、絶頂を迎える寸前に思い浮かぶのは、いつもマエジマのふざけた顔──。

 

 ニンマリと笑うその顔は、殺してやりたいほど憎らしいのに、どうしても掻き消すことができない。

 

 むしろ、それを思い浮かべているからこそ、絶頂を迎えていたのだ。

 

 私は心の奥底で、ずっと前から侮辱されることを望んでいたのかも知れない。

 待ち合わせ場所に向かう時から、ずっと股間は濡れ続け、すでにパンティはビショビショになっていた。

 

「映画館に行こう。……平日のこの時間なら、空いてるからさぁ」

 

 マエジマのその一言で、私は半ば引きずられるように映画館へと連れて来られていた。

 

 暗い館内。

 静まり返った空気。

 

 スクリーンの光だけが、やけに眩しい。

 

 そんな中で、私は涙を滲ませながら、ぼんやりとそれを見つめていた。

 

 だが、物語の内容なんて、まるで頭に入っていない。

 まして、感動しているわけでもない。

 

 この席に腰を下ろした瞬間から、すでに私の意識は──別のところにあった。

 スカートの中に潜り込んだマエジマの手が、股間の辺りで途切れることなく蠢いているのだ。

 

 一席離れた隣には、スーツを着たサラリーマン風の男性が、何も知らずに腰掛けている。

 

 にもかかわらず、パンティの中にまで入り込んだその手。

 プックっと突起した”敏感な部分”を弄りながら、ピチャピチャと卑猥な音を立て続けている。

 

 脚を大きく広げさせられて、パックリ開いた大事な部分。

 中からトロトロと粘膜が溢れ続け、すでにそこは取り返しの付かない状態になっている。

 

 自分でもわかるくらいに熱くなり、そこから溢れ出したものが、座ってる椅子にまでじんわりと染み込んでいた。

 

 もしかすると、その匂いまで辺りに漂っているかも知れない──。

 

 私はそんなことをされてるのを、誰かに気付かれてはならないと、何とかそれに耐え、必死に平静を装っていた。

 

 しかし、私の肩に頭を凭れさせるマエジマは、耳元でそこがどんな状態になっているのかを、事細かに囁き続けている。

 

「ほらぁ~、こんなにビンビンになっちゃって。……しかも、中から溢れてくるものが、物凄く熱いよ……そもそも、こんなに熱くなってるってことは……」

 

 小声で囁くその声は、私以外には誰にも聞こえていない。

 だが、その部分をクリクリと甚振られている感触と、エコーがかかったように聞こえてくるその声で、私の意識はすでに飛びそうになっていた。

 

 歯を食いしばって、何とかそれに耐えている。

 しかし、そこの周りをゆっくりと回る奴の指先。

 その力加減は絶妙で、切ない思いがじわじわと込み上げてくる。

 

 私はそれを止めさせようと、その手を必死に押さえ込んでいた。

 そのはずだったのに、その手はいつしか力を失くし、スカートの上から奴の手を愛おしむように撫でていた。

 

 呼吸を荒げてポカンと空いた口──。

 虚ろな瞳はスクリーンを超えて、遥か遠くを眺めている。

 そして、腰を突き出して席に座る、大股開きのだらしない格好。

 

 愛撫に感じていることが明らかなその様子に、奴はニヤニヤとほくそ笑んでいる。

 

「オッパイ、出しちゃおうか? ……吸ったらもっと気持ち良くなるからさ」

 

 そう言ってマエジマは、有無も言わさず私の胸のボタンを一つひとつ外していく。

 

 私はそれに気が動転するものの、イヤイヤと首を横に振ることくらいしかできなかった。

 それを、阻止しようとマエジマの手を押さえることすらできない。

 

 ──ほとんどの人間が気付いてないとはいえ、ここは公の場。

 

 恥ずかしさで顔が真っ赤になり、身体が小刻みに震えていく。

 なのに、動き始めたマエジマの手は一向に止まらない。

 

 そして胸元が肌けられ、ブラジャーがゆっくりとめくり上げられていく。

 

 人に見せられるほど大きくもない私の胸は、大勢の人間がいるこんな場所で、成す術もなくペロンと丸出しになっていった。

 

 マエジマ以外は誰も見てないはずなのに、色の変わった部分に、なぜか視線がチクチクと突き刺さる。

 そこがムズムズと疼き始め、居ても立っても居られなくなっていく。

 

 それでも私は隠すことさえできなかった。

 

 朦朧とした顔で呼吸を弾ませ、現実から目を背けるように、辺りに視線を彷徨わせている。

 まだ何もされてないのに、乳首がジンジンと熱くなり、勝手にプクッと突起し始めていく。

 

 その時、マエジマが誰かを手招きした。

 その方向にいるのは、一つ離れた隣の席のスーツを着たあの男性。

 

 彼はマエジマが密かにおこなっていた行為に、いつの間にか気付き、目を大きく見開いていた。

 そして、私の乳首を食い入るように見つめながら、ゴクリと息をのんでいる。

 

 その目は血走り、他のものはまったく視界に入っていない。

 しかし、マエジマの素振りに気付き、一瞬間をおいてハッと顔を上げる。

 

 そして、まるで引き寄せられるように近づいてくる。

 その姿は、何かに取り憑かれた夢遊病者のよう。

 

 男は側にくると、マエジマの口元に耳を近付ける。

 しかし、彼がずっと目を向けているのは、明らかに私の胸。

 

「ねぇ、この娘、男好きする見た目してて可愛いでしょ……吸ってみる?」

 

 ニンマリと笑みを浮かべたマエジマの言葉。

 男は「いいの!?」と言わんばかりの表情で、マエジマの顔をマジマジと見つめた。

 

 そして、舐めるような視線で私の身体の隅々まで見渡し、ゆっくりと舌なめずりを繰り返す。

 男はニヤニヤと笑みを浮かべながら、マエジマと挟む形で私の隣の席に腰を下ろしていった。

 

 嫌で嫌で堪らないのに、逃げ出すこともできない。

 

(なんで、見ず知らずの人に胸を吸われなきゃいけないの!?)

 

 そう思っているのに、私のあそこからは、さらに愛液がとめどなく溢れ出している。

 パンティの中に潜り込んだマエジマの手は、いまだに飛び出た蕾の周りを、クルクルと回り続けている。

 

 そして、ゆっくりと胸に埋もれていく、見ず知らずの男の頭。

 激しい呼吸が吹き掛り、頂点がヌルっとした温かさに包まれていく。

 

 それと同時に、マエジマの禿げ頭も、もう片方の胸に向かって移動していった。

 

 そして、その乳首が奴の唇にパクっと咥え込まれていく──。

 

 両方の乳首がまったく違う温もりに包まれて、私は卒倒しそうになっていた。

 

 スクリーン越しに響く大音量の中、チュパチュパと響き渡る卑猥な吸引音──

 

 それぞれの胸が、まったく違う男の口に含まれて、チロチロと舐められている。

 同じ行為をしてるとはいえ、彼らの体温もその舌使いも、まるっきり違う。

 好き勝手に敏感なところを舐めたり吸ったりされて、信じられないほどの衝撃が私の身体を襲っていた。

 

 そんなことをされて、正気でなどいられるはずがない。

 気が狂いそうなほど、切ない思いが込み上げているのだ。

 

 私は両方の頭をいつの間にか、抱きかかえいた。

 そして、彼らの頭を胸に引き寄せ、狂ったように撫で回していた。

 

 そうでもしなければ、こんな場で大声を上げ、発狂でもしたように喘いでしまうだろう。

 過呼吸のように息を弾ませ、なんとか声を出さないようにと必死に耐えている。

 

 しかし、それに気付いたマエジマが私のパンティを強引に脱がす。

 そして、空いてる席にビショビショのパンティを放り投げ、スカートをチョットだけめくる。

 

「こっちも舐めなよ。……ここの具合も、すっごくいいよ~」

 

 マエジマのその言葉に、男の動きが一瞬止まり、指を差された股間の辺りに呆然と目を向ける。

 そして、まるで引き寄せられるように、スカートの中に頭を潜り込ませ、大きく開いた股の間にゆっくりと顔を近付けていった。

 

 男の頭でモコっと膨れ上がるスカート。

 それが股座に近付くにつれて、彼の温かい息が大切な部分に吹き掛る。

 

 そして、プニッとしたものが蕾の部分に吸い付いた瞬間──

 

(ああ……もう、だめだ……)

 

 私は完全に力を失っていた。

 背もたれにもたれて頭をガクンと垂らし、大粒の涙をぽろぽろとこぼしていく。

 

 だが、そんなことなど気にも留めず、ぬるりとした温かい舌が、蕾をチロチロと舐めていった。

 

(……耐えられない)

 

「ぐぅ──────ーっ!」

 

 私は咳き込むように声を上げた。

 

 まるで車に轢かれた蛙のような情けない格好で、あそこからピュッピュ、ピュッピュと潮まで噴き出している。

 身体をビクビクと痙攣させ、真っ暗な天井を放心状態で眺めていく。

 

 すると、マエジマが嬉しそうな声で、スカートの中の男に声を掛けた。

 

「兄さん、この娘イッちゃったよ。……もう、挿入してあげたら?」

 

 誰にも聞こえないくらいの小さな囁き。

 しかし、男はスカートの中から慌てて顔を出し、マエジマに呆然と目を向けていった。

 

 しかも、私の体液で身体をビショビショに濡らしているというのに、その顔にはニヤニヤと笑みがこぼれている。

 

「さぁ、兄さんは席に座って。……この娘、上に乗せちゃおう」

 

 そう言ってニンマリと笑うマエジマ。

 男はズボンとパンツを膝まで下ろし、剥き出しにしたものをビンビンに立てながら、また私の隣に腰を降ろしていった。

 

 ──結局、マエジマは私のことなんて、どうだっていいのだ。

 女を辱め、侮辱の限りを尽くすことが奴の生き甲斐で、私が誰と関係を持とうが知ったことではない。

 

 力を失くし、グッタリとする私の身体を二人が一緒に抱え上げる。

 そして、イッたばかりでヒクヒクと痙攣をする私のあそこに、席に座った男の硬いものがニュルっと一気に埋め込まれていった。

 

 膝の上に乗せられた私は、目の前の男を抱きしめるしかない。

 下から突き上げてくる男の動きに身体を揺らし、「あん、あん」と虚しく声を上げる。

 

 誰かに気付かれたとしても、私はもうどうでもよくなっていた。

 こんな侮辱を受けているというのに、身体中が求めているかのように、快感に溺れてしまっているのだ。

 

 私は映画の上映が終わるまで、この二人の男たちに子種を注がれ続けていった。

 

 

 

 

 

 

 

              ~to be continued~

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。