※この作品はR-18です。

性年のしがらみ   作:村上しんご

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第十七話 支配されていく教室④

「これは補習なのよ。……何を期待していたの?」

 

 先生は冷めた口調で、そんなことを言った。

 だが、僕たちが連れてこられたのは、間違いなくラブホテルだ。

 

 しかも、それぞれが身に付けていたネクタイで目隠しをさせられ、周りの状況も先生の様子もまったくわからない。

 

 確かなのは、この部屋に入った瞬間、僕たち全員は「服を脱げ」と命じられ、裸になっていることだけだった。

 

 パーテーション越しとはいえ、教室の中であれほどの破廉恥な姿を公にしていた先生──

 

 何かを期待してしまうのは、当然のことではないだろうか。

 逆に、どんなことをされるのかわからないというこの状況で、僕の興奮はピークに達している。

 

 先生にこんな恥ずかしい姿を見られている──

 

 そう思うだけで股間に付いているものは、すでにはち切れんばかりに膨らんで、爆発しそうになっていた。

 

 そして、近くに感じられる先生の気配──

 

 どんな様子なのかはわからない。

 だが、引き寄せられるほどのクラクラする香りと、厳しくはありながらも鼻にかかった甘ったるい声。

 

 同じ空間、しかも側にいるというだけで、鼓動がドキドキと高鳴っていく。

 

 息が詰まる。

 

 何かが始まる──

 

 そう思った、その瞬間だった。

 

「では、林。……ソファが三種類、テーブルが四種類、カーペットが二種類あります」

 

 唐突に、先生が口を開いた。

 

「それぞれ一つずつ選ぶとき、選び方は何通りありますか?」

 

 ──問題。

 

 あまりにも場違いなその言葉に、思考が一瞬、止まる。

 

 三人の荒い呼吸だけが響く、静まり返った室内。

 

 だが先生は、何事もなかったかのように、ただ淡々と問いを投げかけていた。

 

「……も、求める選び方の総数は、積の法則により3×4×2=24通りです」

 

 しかし、林はその問いかけに難なく答える。

 

 それもそのはず──

 

 それは、ここに来る前、彼が予習をしていた問題だった。

 

 先生も僕たちの教科書を覗き見て、それを知っていたはず──なのに、彼が正解しそうな問題をあえて出したとしか思えなかった。

 

「……正解です。林、一歩前に出なさい」

 

 静まり返ったその場に、先生の冷めた声が響く。

 それと同時に、隣にいた林の気配がふっと消え、「あぁっ……」という微かな声が耳に届いた。

 

 次の瞬間──

 

「……プチュ………………チュプッ……ムチュッ……」

 

 唇で、何かに吸い付くような”いかがわしい音”が、立続けに響く。

 執拗に繰り返されるその音に、僕の脳裏にいろいろな想像が次々と浮かんでくる。

 

(口でされてる!? ……それとも、キス!?)

 

 どんなことをされていたとしても、この悔しい気持ちと興奮は抑えきれない。

 手を伸ばせば届くようなところで、僕と同じようにずっと報われなかった林が、先生にいいことをして貰っているのだ。

 

 あまりの悔しさに拳をぎゅっと握りしめる。

 しかし、耳に届き続ける卑猥な雑音は、いつまで経っても止まらなかった。

 

「はぁ、はぁ……」と響く林の息遣いが、妙に満足そうに聞こえている。

 それだけで、沸々と込み上げてくる”憤り”は止まらない。

 

 ──次こそは自分の番だ。

 

 そう思って気分を宥めようとしてるのに、林の口から情けない声まで聞こえてくる。

 

「……あぁ……凄い……こんなのって……」

 

 それを聞いて、僕のモヤモヤした気持ちは頂点に達していた。

 なのに、股間に付いてるものは、萎むどころか痛くなるほど膨張し、激しく暴れまくっている。

 

 まるで、彼に対して許せないとでも言っているかのように。

 

 居ても立ってもいられないほどの、もどかしい気持ち──

 それに苛まれながらも、ひたすら黙って耐え続けた。

 

 すると、耳に響いていた雑音が途切れ、先生の声が再び響く。

 

「では、次は田辺」

 

 その声を聞いた瞬間、胸の奥で花火が弾けた。

 

 ──やっと、僕の番だ!

 

 不安は確かにある。

 だが、ずっと心の中で抱き続けていた願いが、ようやく叶うかも知れないのだ。

 

 次は、もっと難しい問題が出るかもしれない。

 これまでの先生との経緯を考えれば、そうなってもおかしくはない。

 

 視界の遮られたこの状況で、僕は身を強張らせながら、固唾を飲み込んだ。

 

「第一次世界大戦後……独立したバルト三国といえば?」

 

 先生の抑揚のない、冷たい声が響く。

 だが、その問いを聞いた瞬間、僕は確信した。

 

 ──やはり、そうだ。

 

 この補習は、日頃報われない僕たちへの、先生なりの“配慮”だ。

 なぜなら、この問題もまた、ここに来る前に僕が予習していたものだったからだ。

 

「エストニア、ラトビア、リトアニアです!」

 

 意気揚々と答える。

 すると、先生からクスッと笑ったような声が聞こえた気がした。

 

「……正解です。じゃあ田辺、前へ出なさい」

 

 その言葉に少し戸惑いながらも、僕は一歩を踏み出した。

 すると、先生がすぐに手を取り、僕の身体を引き寄せていく。

 

「……わぁ~」

 

 その先に待っていたのは、サラサラなのに、ムチムチと吸い付く肌の温もり──

 胸の辺りに密着しているマシュマロのような感触は、明らかに何も着けていない、あの豊満な胸としか思えなかった。

 

(……こ、これは!?)

 

 ──間違いない。

 先生も裸になっている。

 

 そのあまりの心地好さに思わず身体が硬直して、動くことすらできない。

 夢見心地で、彼女の身体の感触を肌で味わいながら、ただ呆然と天を見上げていた。

 

 だが、その時、先生の両手が僕の頬をギュッと掴む。

 

 ハッと我に返り、うろたえていると、唇に何かがチュっと吸い付き始めていった。

 

「……プチュ………………チュプッ……」

 

 しっとりと潤った、あまりにも柔らかいその感触。

 最初は餌をついばむ小鳥のように──軽く吸い付いてはすぐに離れることを繰り返していく。

 

 しかし、それは徐々に激しさを増し、気が付くと僕の唇はムチュムチュと貪られていた。

 

(……き、キスされてる……きもちいい……)

 

 意識がぼんやりして、放心状態のまま身を委ねる。

 すると、口の中にニュルっとしたものまで侵入し始めた。

 

(……これって、ディープキスってやつ!? ……わぁ~……脳が……とろけていく……)

 

 それはまるで、天に舞い上がるような気分だった。

 侵入してきたものは、僕の舌にニュルっと絡み、クルクルと回り始めている。

 

 心地好さで他には何も考えられない。

 身体から力が抜け、立っていることすら困難──。

 

 ただひたすら先生に身を任せていた。

 

 しかし、ぼんやりとした意識の中で、ふとあることに気づく。

 

(もしかして……僕の”あそこ”に当たっている、このサリサリした感触は……先生の陰毛?)

 

 そうだった──

 お互いに裸ならば、”大切な局部”同士が接触していても、おかしくはない。

 

 ──硬くなったものの先端に当たっている、妙に柔らかいこの感触は、間違いなく先生の”あそこ”だ!

 

 僕は思わず腰を引いた。

 単に恥ずかしいのではなく、恐れ多いとさえ感じていた。

 

 ──僕のふしだらなところがツンツンと突いていたのは、ヤスコ先生の特別な部分なのだ。

 

 しかし、うろたえていると先生は背中に手を回し、僕の身体をギュッと引き寄せる。

 そして、情熱的に抱きしめて、身体や頭を激しく撫で回す。

 

 絡み合った舌は、いまだにゆっくりと回り続けている。

「プチュ、プチュ」と卑猥な音を立て、唾液まで交換し合っている。

 

 これはもう、互いを想う男女が激しく求め合っている状況でしかない。

 

 僕は思わず、先生の背中に手を回し、躊躇いながらもその身体を撫で回していった。

 

 あまりにもサラサラで柔らかいその肌触り──

 ムチムチに見えた”あのお尻”は、さらにふんわりとしていて、力を込めると指が沈むように埋もれていく。

 

 そして、彼女の股間に挟まれた、硬くなったものから伝わってくる温み──

 サリサリとした陰毛の奥は、熱く感じるほど火照っていた。

 

 しかも、何かが溢れているのか、しっとりと濡れて、ヒンヤリとした冷たさまで伝えている。

 そして、それは潤滑剤のようにヌルヌルしていて、擦れるたびに快感が込み上げてくる。

 

(ああ……もう……どうなっちゃってもいい……)

 

 ”したい”とか”やりたい”──

 そんな下劣な考えは、もう浮かばなくなっていた。

 

 ただ、ずっとこのままでいたい。

 切実にそう願う自分がいた。

 

 しかし、そんな僕の願いも届かず、最高のひとときは一瞬で終わる。

 巻き付くように僕の舌に纏わり付いていたものは、何の前触れもなく、あっさりと離れていった。

 

「……あぁ~」

 

 名残惜しさで胸がいっぱい。

 僕はもう一度、奇跡が起きないかと、いつまでも口を空けたまま呆然と立ち竦んでいた。

 

 しかし、目の前にいたはずの先生の気配が急に消える。

 

 そして──

 

 肩を落としていたその時──

 僕の硬くなったものがまったりとした温かさに包まれていた。

 

(……こ、これは!?)

 

 それは、夢にまで見ていたあの時の感触だった。

 とろけるほどの衝撃が走り、身体中から一気に力が抜けていく。

 

「……あぁ……凄い……せ、先生ぇ……」

 

 思わず手探りで、先生の頭を探す。

 そして、シャンプーの香りが漂う髪に辿り着く。

 

 僕は、ためらいながらも愛おしむように、その頭を撫でていった。

 

 そして、ゆっくりとスライドを繰り返していく唇。

 先生の頭が前後に動くと共に、呼吸が「ハァハァ」と弾み、立っていることすら、おぼつかなくなっていた。

 

「ちゃっぷ、ちゃっぷ」とやらしい音まで響き始めている。

 しかも、出たり入ったりを繰り返すと同時に、亀頭の裏側をヌルヌルしたものが、滑らかに這っていく。

 

(ああ……我慢できない……)

 

 僕の限界は頂点に達していた。

 急速に込み上げてくる射精感──それを我慢する気は、さらさらなかった。

 

 あの時、出せなくてずっと後悔していたのだ。

 

 ついに、先生の中に放出できる。

 そう思って全てをぶちまけようとした時、”あそこ”を包んでいた温かさが急に途絶える。

 

「うぅ……先生……」

 

 僕は泣きそうだった。

 やっと、念願が叶う──そう思った瞬間、またしてもお預けを食らったのだ。

 

 絶頂を目前にしていながら放置されたものは、まるで納得がいかないとでも言いたげに、激しく暴れている。

 

 こんな状態のまま我慢することなどできない。

 肩を落としながらも、自分で処理しようとした、その時──僕はベッドに押し倒された。

 

 僕は何が起こったのか理解できずに、ただ呆然としていた。

 

(ベッドの上で続きをして貰えるの……?)

 

 そんなことを考えながら、じっとしていると、誰かが腰の辺りに跨ってくる。

 

 擦れるだけで気持ちのいいサラっとした肌──

 前屈みになっているのか、たわわな膨らみが僕の胸の辺りに軽く重みを乗せる。

 

 しかも、その頂点のコリっとしたものが、動きと共に僕の乳首を柔らかく擽っていた。

 気持ちのいいその感触──間違いなく、ヤスコ先生だ。

 

(……も、もしかして……やれるの!?)

 

 そう思った瞬間、硬くなったものは何かにニュルっと飲み込まれていった。

 

 腰のあたりにかかる重み──

 ”あそこ”全体が、ヌルヌルとした柔らかいものに覆い尽されている。

 

 そこに収められたというだけで、なぜか充実感で胸がいっぱい。

 なのに、ヌチっとしたものが敏感なところをキュッキュと締め付ける。

 

 そして、股間を擦るサリサリとした陰毛。

 

 間違いない──

 今、僕は先生と一つになったのだ!

 

 ヌチュヌチュという音と共に、上になった先生の身体がゆっくりと揺れる。

 それと同時に、何かを搾り取ろうとしてるような、強烈な刺激が”あそこ”を襲う。

 

 先生の口から悶えるような声は、いっさい聞こえてこない。

 だが、その呼吸は少し荒くなり、覆いかぶさるように僕の身体にしがみ付いてくる。

 

 そして、先生は誰にも聞こえないように耳元でそっと呟く。

 

「……声は出さない。……いいわね?」

 

 その声は少し上擦っていた。

 僕は”あそこ”がとろけていくような快感を覚えながら、無言のまま首を縦に振った。

 

 だが、これはあまりにも刺激的だった。

 その中は、これまで感じたどんなものよりも温かい。

 しかも、まるで僕のものを欲しているかのように、奥へ奥へと吸い込んでいる。

 

 そして、労わるように”あそこ”を優しく擦っていく温かい滑り。

 その感触は、自慰行為などでは絶対に真似できない。

 

 ヌルヌルしたところに、入れたり出したりを繰り返されて、あの時、中途半端に終わらされた射精感が再び込み上げていく。

 

 僕は思わず先生にしがみ付いた。

 そうしなければ、「声を出さない」という先生との約束を守れそうにもなかった。

 

 先生の胸に顔を埋め、必死に声を我慢する。

 夢にまで見た憧れの胸──それに包まれているというのに、もうそれどころではない。

 

「あんっ……」

 

 その時、先生の口から悩ましい声まで漏れる。

 

(も、もしかして……先生も感じてる……!?)

 

 そう思うだけで興奮はさらに増し、身体中が性感帯のように敏感になっていった。

 

(……も、もう……だめだ……耐えられない……)

 

 僕は我慢しきれず、先生の中に、ありったけの精子をまき散らしていった。

 

「ビュッビュ、ビュッビュ」と飛び出し行く開放感──

 

 しかも彼女の温もりを身体全体に感じ、一人でしていた時の虚しささえない。

 それどころか、心の底から幸せな気持ちがふわっと湧き上がってくる。

 それはまるで、このまま天に召されてもいいと思えるくらいの幸福感。

 

 おまけに出続けている”それ”を、搾り取ろうとしてるかのように、僕の”あそこ”を優しくキューッと締め付けてくる。

 僕は、あまりの感動で目に涙がにじんでいた。

 

 放心状態で呆然としていると──

 

「……プチュ………………チュプッ……ムチュッ……」

 

 先生が僕の唇をまた貪っていく。

 まるで、お互いの愛を確認し合う恋人のように。

 

 僕はそれに応えるように、無我夢中で先生の唇に吸い付いていった。

 

 しかし、事が終わると先生は、まるで何もなかったかのように僕から離れていった。

 そして、いつもの起伏のない声で、今度は井上に質問を振った。

 それはもちろん、彼が事前に予習していた問題。

 

 彼はあっさりと正解を口にし、前に出るように指示される。

 

 そしてまた、「ムチュ、ムチュ」と卑猥な音が響いていった。

 どんなことが行われているかは、まったくわからない。

 

 だが、童貞を卒業させて貰った今の僕に、さっきのような悔しさはなかった。

 

「もっと、こんなことをして貰いたかったら勉強に励みなさい。……私は頑張っている生徒には必ずチャンスを与えます」

 

 離れ際に耳元で囁かれた先生の言葉が、いつまでも胸に残る。

 僕はこの熱い気持ちを力に変え、さらに頑張っていこうと心に決めていた。

 

 

 

 

 

 

            ~to be continued~

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