「これは補習なのよ。……何を期待していたの?」
先生は冷めた口調で、そんなことを言った。
だが、僕たちが連れてこられたのは、間違いなくラブホテルだ。
しかも、それぞれが身に付けていたネクタイで目隠しをさせられ、周りの状況も先生の様子もまったくわからない。
確かなのは、この部屋に入った瞬間、僕たち全員は「服を脱げ」と命じられ、裸になっていることだけだった。
パーテーション越しとはいえ、教室の中であれほどの破廉恥な姿を公にしていた先生──
何かを期待してしまうのは、当然のことではないだろうか。
逆に、どんなことをされるのかわからないというこの状況で、僕の興奮はピークに達している。
先生にこんな恥ずかしい姿を見られている──
そう思うだけで股間に付いているものは、すでにはち切れんばかりに膨らんで、爆発しそうになっていた。
そして、近くに感じられる先生の気配──
どんな様子なのかはわからない。
だが、引き寄せられるほどのクラクラする香りと、厳しくはありながらも鼻にかかった甘ったるい声。
同じ空間、しかも側にいるというだけで、鼓動がドキドキと高鳴っていく。
息が詰まる。
何かが始まる──
そう思った、その瞬間だった。
「では、林。……ソファが三種類、テーブルが四種類、カーペットが二種類あります」
唐突に、先生が口を開いた。
「それぞれ一つずつ選ぶとき、選び方は何通りありますか?」
──問題。
あまりにも場違いなその言葉に、思考が一瞬、止まる。
三人の荒い呼吸だけが響く、静まり返った室内。
だが先生は、何事もなかったかのように、ただ淡々と問いを投げかけていた。
「……も、求める選び方の総数は、積の法則により3×4×2=24通りです」
しかし、林はその問いかけに難なく答える。
それもそのはず──
それは、ここに来る前、彼が予習をしていた問題だった。
先生も僕たちの教科書を覗き見て、それを知っていたはず──なのに、彼が正解しそうな問題をあえて出したとしか思えなかった。
「……正解です。林、一歩前に出なさい」
静まり返ったその場に、先生の冷めた声が響く。
それと同時に、隣にいた林の気配がふっと消え、「あぁっ……」という微かな声が耳に届いた。
次の瞬間──
「……プチュ………………チュプッ……ムチュッ……」
唇で、何かに吸い付くような”いかがわしい音”が、立続けに響く。
執拗に繰り返されるその音に、僕の脳裏にいろいろな想像が次々と浮かんでくる。
(口でされてる!? ……それとも、キス!?)
どんなことをされていたとしても、この悔しい気持ちと興奮は抑えきれない。
手を伸ばせば届くようなところで、僕と同じようにずっと報われなかった林が、先生にいいことをして貰っているのだ。
あまりの悔しさに拳をぎゅっと握りしめる。
しかし、耳に届き続ける卑猥な雑音は、いつまで経っても止まらなかった。
「はぁ、はぁ……」と響く林の息遣いが、妙に満足そうに聞こえている。
それだけで、沸々と込み上げてくる”憤り”は止まらない。
──次こそは自分の番だ。
そう思って気分を宥めようとしてるのに、林の口から情けない声まで聞こえてくる。
「……あぁ……凄い……こんなのって……」
それを聞いて、僕のモヤモヤした気持ちは頂点に達していた。
なのに、股間に付いてるものは、萎むどころか痛くなるほど膨張し、激しく暴れまくっている。
まるで、彼に対して許せないとでも言っているかのように。
居ても立ってもいられないほどの、もどかしい気持ち──
それに苛まれながらも、ひたすら黙って耐え続けた。
すると、耳に響いていた雑音が途切れ、先生の声が再び響く。
「では、次は田辺」
その声を聞いた瞬間、胸の奥で花火が弾けた。
──やっと、僕の番だ!
不安は確かにある。
だが、ずっと心の中で抱き続けていた願いが、ようやく叶うかも知れないのだ。
次は、もっと難しい問題が出るかもしれない。
これまでの先生との経緯を考えれば、そうなってもおかしくはない。
視界の遮られたこの状況で、僕は身を強張らせながら、固唾を飲み込んだ。
「第一次世界大戦後……独立したバルト三国といえば?」
先生の抑揚のない、冷たい声が響く。
だが、その問いを聞いた瞬間、僕は確信した。
──やはり、そうだ。
この補習は、日頃報われない僕たちへの、先生なりの“配慮”だ。
なぜなら、この問題もまた、ここに来る前に僕が予習していたものだったからだ。
「エストニア、ラトビア、リトアニアです!」
意気揚々と答える。
すると、先生からクスッと笑ったような声が聞こえた気がした。
「……正解です。じゃあ田辺、前へ出なさい」
その言葉に少し戸惑いながらも、僕は一歩を踏み出した。
すると、先生がすぐに手を取り、僕の身体を引き寄せていく。
「……わぁ~」
その先に待っていたのは、サラサラなのに、ムチムチと吸い付く肌の温もり──
胸の辺りに密着しているマシュマロのような感触は、明らかに何も着けていない、あの豊満な胸としか思えなかった。
(……こ、これは!?)
──間違いない。
先生も裸になっている。
そのあまりの心地好さに思わず身体が硬直して、動くことすらできない。
夢見心地で、彼女の身体の感触を肌で味わいながら、ただ呆然と天を見上げていた。
だが、その時、先生の両手が僕の頬をギュッと掴む。
ハッと我に返り、うろたえていると、唇に何かがチュっと吸い付き始めていった。
「……プチュ………………チュプッ……」
しっとりと潤った、あまりにも柔らかいその感触。
最初は餌をついばむ小鳥のように──軽く吸い付いてはすぐに離れることを繰り返していく。
しかし、それは徐々に激しさを増し、気が付くと僕の唇はムチュムチュと貪られていた。
(……き、キスされてる……きもちいい……)
意識がぼんやりして、放心状態のまま身を委ねる。
すると、口の中にニュルっとしたものまで侵入し始めた。
(……これって、ディープキスってやつ!? ……わぁ~……脳が……とろけていく……)
それはまるで、天に舞い上がるような気分だった。
侵入してきたものは、僕の舌にニュルっと絡み、クルクルと回り始めている。
心地好さで他には何も考えられない。
身体から力が抜け、立っていることすら困難──。
ただひたすら先生に身を任せていた。
しかし、ぼんやりとした意識の中で、ふとあることに気づく。
(もしかして……僕の”あそこ”に当たっている、このサリサリした感触は……先生の陰毛?)
そうだった──
お互いに裸ならば、”大切な局部”同士が接触していても、おかしくはない。
──硬くなったものの先端に当たっている、妙に柔らかいこの感触は、間違いなく先生の”あそこ”だ!
僕は思わず腰を引いた。
単に恥ずかしいのではなく、恐れ多いとさえ感じていた。
──僕のふしだらなところがツンツンと突いていたのは、ヤスコ先生の特別な部分なのだ。
しかし、うろたえていると先生は背中に手を回し、僕の身体をギュッと引き寄せる。
そして、情熱的に抱きしめて、身体や頭を激しく撫で回す。
絡み合った舌は、いまだにゆっくりと回り続けている。
「プチュ、プチュ」と卑猥な音を立て、唾液まで交換し合っている。
これはもう、互いを想う男女が激しく求め合っている状況でしかない。
僕は思わず、先生の背中に手を回し、躊躇いながらもその身体を撫で回していった。
あまりにもサラサラで柔らかいその肌触り──
ムチムチに見えた”あのお尻”は、さらにふんわりとしていて、力を込めると指が沈むように埋もれていく。
そして、彼女の股間に挟まれた、硬くなったものから伝わってくる温み──
サリサリとした陰毛の奥は、熱く感じるほど火照っていた。
しかも、何かが溢れているのか、しっとりと濡れて、ヒンヤリとした冷たさまで伝えている。
そして、それは潤滑剤のようにヌルヌルしていて、擦れるたびに快感が込み上げてくる。
(ああ……もう……どうなっちゃってもいい……)
”したい”とか”やりたい”──
そんな下劣な考えは、もう浮かばなくなっていた。
ただ、ずっとこのままでいたい。
切実にそう願う自分がいた。
しかし、そんな僕の願いも届かず、最高のひとときは一瞬で終わる。
巻き付くように僕の舌に纏わり付いていたものは、何の前触れもなく、あっさりと離れていった。
「……あぁ~」
名残惜しさで胸がいっぱい。
僕はもう一度、奇跡が起きないかと、いつまでも口を空けたまま呆然と立ち竦んでいた。
しかし、目の前にいたはずの先生の気配が急に消える。
そして──
肩を落としていたその時──
僕の硬くなったものがまったりとした温かさに包まれていた。
(……こ、これは!?)
それは、夢にまで見ていたあの時の感触だった。
とろけるほどの衝撃が走り、身体中から一気に力が抜けていく。
「……あぁ……凄い……せ、先生ぇ……」
思わず手探りで、先生の頭を探す。
そして、シャンプーの香りが漂う髪に辿り着く。
僕は、ためらいながらも愛おしむように、その頭を撫でていった。
そして、ゆっくりとスライドを繰り返していく唇。
先生の頭が前後に動くと共に、呼吸が「ハァハァ」と弾み、立っていることすら、おぼつかなくなっていた。
「ちゃっぷ、ちゃっぷ」とやらしい音まで響き始めている。
しかも、出たり入ったりを繰り返すと同時に、亀頭の裏側をヌルヌルしたものが、滑らかに這っていく。
(ああ……我慢できない……)
僕の限界は頂点に達していた。
急速に込み上げてくる射精感──それを我慢する気は、さらさらなかった。
あの時、出せなくてずっと後悔していたのだ。
ついに、先生の中に放出できる。
そう思って全てをぶちまけようとした時、”あそこ”を包んでいた温かさが急に途絶える。
「うぅ……先生……」
僕は泣きそうだった。
やっと、念願が叶う──そう思った瞬間、またしてもお預けを食らったのだ。
絶頂を目前にしていながら放置されたものは、まるで納得がいかないとでも言いたげに、激しく暴れている。
こんな状態のまま我慢することなどできない。
肩を落としながらも、自分で処理しようとした、その時──僕はベッドに押し倒された。
僕は何が起こったのか理解できずに、ただ呆然としていた。
(ベッドの上で続きをして貰えるの……?)
そんなことを考えながら、じっとしていると、誰かが腰の辺りに跨ってくる。
擦れるだけで気持ちのいいサラっとした肌──
前屈みになっているのか、たわわな膨らみが僕の胸の辺りに軽く重みを乗せる。
しかも、その頂点のコリっとしたものが、動きと共に僕の乳首を柔らかく擽っていた。
気持ちのいいその感触──間違いなく、ヤスコ先生だ。
(……も、もしかして……やれるの!?)
そう思った瞬間、硬くなったものは何かにニュルっと飲み込まれていった。
腰のあたりにかかる重み──
”あそこ”全体が、ヌルヌルとした柔らかいものに覆い尽されている。
そこに収められたというだけで、なぜか充実感で胸がいっぱい。
なのに、ヌチっとしたものが敏感なところをキュッキュと締め付ける。
そして、股間を擦るサリサリとした陰毛。
間違いない──
今、僕は先生と一つになったのだ!
ヌチュヌチュという音と共に、上になった先生の身体がゆっくりと揺れる。
それと同時に、何かを搾り取ろうとしてるような、強烈な刺激が”あそこ”を襲う。
先生の口から悶えるような声は、いっさい聞こえてこない。
だが、その呼吸は少し荒くなり、覆いかぶさるように僕の身体にしがみ付いてくる。
そして、先生は誰にも聞こえないように耳元でそっと呟く。
「……声は出さない。……いいわね?」
その声は少し上擦っていた。
僕は”あそこ”がとろけていくような快感を覚えながら、無言のまま首を縦に振った。
だが、これはあまりにも刺激的だった。
その中は、これまで感じたどんなものよりも温かい。
しかも、まるで僕のものを欲しているかのように、奥へ奥へと吸い込んでいる。
そして、労わるように”あそこ”を優しく擦っていく温かい滑り。
その感触は、自慰行為などでは絶対に真似できない。
ヌルヌルしたところに、入れたり出したりを繰り返されて、あの時、中途半端に終わらされた射精感が再び込み上げていく。
僕は思わず先生にしがみ付いた。
そうしなければ、「声を出さない」という先生との約束を守れそうにもなかった。
先生の胸に顔を埋め、必死に声を我慢する。
夢にまで見た憧れの胸──それに包まれているというのに、もうそれどころではない。
「あんっ……」
その時、先生の口から悩ましい声まで漏れる。
(も、もしかして……先生も感じてる……!?)
そう思うだけで興奮はさらに増し、身体中が性感帯のように敏感になっていった。
(……も、もう……だめだ……耐えられない……)
僕は我慢しきれず、先生の中に、ありったけの精子をまき散らしていった。
「ビュッビュ、ビュッビュ」と飛び出し行く開放感──
しかも彼女の温もりを身体全体に感じ、一人でしていた時の虚しささえない。
それどころか、心の底から幸せな気持ちがふわっと湧き上がってくる。
それはまるで、このまま天に召されてもいいと思えるくらいの幸福感。
おまけに出続けている”それ”を、搾り取ろうとしてるかのように、僕の”あそこ”を優しくキューッと締め付けてくる。
僕は、あまりの感動で目に涙がにじんでいた。
放心状態で呆然としていると──
「……プチュ………………チュプッ……ムチュッ……」
先生が僕の唇をまた貪っていく。
まるで、お互いの愛を確認し合う恋人のように。
僕はそれに応えるように、無我夢中で先生の唇に吸い付いていった。
しかし、事が終わると先生は、まるで何もなかったかのように僕から離れていった。
そして、いつもの起伏のない声で、今度は井上に質問を振った。
それはもちろん、彼が事前に予習していた問題。
彼はあっさりと正解を口にし、前に出るように指示される。
そしてまた、「ムチュ、ムチュ」と卑猥な音が響いていった。
どんなことが行われているかは、まったくわからない。
だが、童貞を卒業させて貰った今の僕に、さっきのような悔しさはなかった。
「もっと、こんなことをして貰いたかったら勉強に励みなさい。……私は頑張っている生徒には必ずチャンスを与えます」
離れ際に耳元で囁かれた先生の言葉が、いつまでも胸に残る。
僕はこの熱い気持ちを力に変え、さらに頑張っていこうと心に決めていた。
~to be continued~