以前から、私の胸をチラチラと意識していることには気付いていた。
だが、目の前にいるのは、あくまで年の離れた教え子。
家庭教師として勉強を教える立場の私は、彼のことを異性として意識したことなど一度もなかった。
クリっとした目のあどけない顔立ち。
若さあふれるキメ細やかな肌は、傷ひとつなくどこまでも澄んでいる。
そして、褒められた時にふっとこぼれる無邪気な笑顔──
幼さを残しながらも、やましい気配など微塵も感じさせない。
そんな見た目に、私は完全に油断していた。
まさか、彼が襲い掛かってくるとは夢にも思っていなかった。
私をベッドに押し倒し、「はぁ、はぁ」と息を荒げるその様子は完全に一人の男。
馬乗りになって抱き付かれた私は、完全に身動きが取れなかった。
「せ、先生……!」
体格はほとんど変らないのに、力の差は歴然だった。
どんなに幼さが残っていても、彼が男であるという事実は変わらなかったのだ。
それに彼はそういう年頃で、女性の身体に興味を抱いてもおかしくはない。
服を着てるとはいえ、私の胸に顔を埋め、頬擦りを繰り返している。
その姿は、今まで溜まっていた憤りを、一気に晴らそうとしてるかのようだ。
「や……やめなさい!」
私は、この状況に身の危険を感じていた。
家族は出かけていて、今日はこの家に二人しかいない。
このままでは貞操を失い、日の当たらない人生を歩むことになってしまう。
なにより、彼は明らかに本気──私と無理矢理にでもどうにかなりたいという必死さがある。
切羽詰まったその気迫を前に、私はどうにかしてこの状況を回避できないかと、懸命に頭を働かせていた。
「……て、手でしてあげるからぁ~!」
意図せず漏れた私の叫び。
その瞬間、力が緩み、彼は呆然とした表情で、私の顔を覗き込む。
「……えっ?」
どんなことをしてくれるんだろう──という興味津々なその顔。
私はここぞとばかりに、彼を説得しようと声を上げた。
「そう。……手で、手でしてあげるから……すっきりすれば少しは落ち着くでしょ? ……ねっ?」
そう言って彼をなだめる。
だが、少し力は緩んだものの、いまだに強く抱きしめられて、その手から抜け出せそうもない。
華奢に見えるその身体から、どうしてこれほどの力が湧いてくるのだろう。
何としてでも目的を果たす──そんな彼の強い決意が、まざまざと感じられた瞬間でもあった。
「……えっ? ……なに? ……何をしてくれるの?」
だが、彼は私の言葉をいまいち理解していないようだ。
不思議そうにポカンと口を開けたまま。
まるで何も知らないかのような初心なその表情。
私は罪悪感に駆られながらも、自分の身を守る為、溜め息交じりに口を開いた。
「硬くなってるの……すっきりさせてあげるから……ねっ?」
その言葉と同時に彼は、私の下腹部の辺りに当たっている、自分の股間をジッと見つめた。
しかし、納得がいかないのか、不満そうに口を尖らせている。
しばらく沈黙が続いた後、彼は何かを決心したように口を開いた。
「オッパイは!? ……オッパイは見せてくれるの!?」
彼の目的はそれだった。
意表を突いたその言葉に、私は呆然としていた。
モヤモヤした気分をスッキリさせたい──。
日頃の鬱憤を私の身体で解消させたい──。
そういうやましい考えには、まだ到らないのだ。
その単純な思考は、彼がまだ男として未熟である証し。
だが、そんな願いでも、叶えてしまえば、さらに興奮して何をするかもわからない。
彼が男である以上、それ以上のことを望んでこないとは限らないのだ。
なにより、教え子にそんなものを晒している自分──それを想像しただけで、恥ずかしさで顔が熱くなっていく。
自分の胸はそれほど大きいわけではないし、まして美しいと言えるものでもない。
どこにでもいる普通の女子より、すこし小さ目。
私は彼がどうしてそんなことを望んでいるのか、よくわからなかった。
「どうして? ……どうして、私なんかの胸を……」
動揺する私の言葉に、彼はまるで苦虫を噛みつぶしたような顔を見せた。
そして、目をカッと見開き、感情むき出しのまま、その思いを私にぶつけてきた。
「ずっと前に……脇のところから少し見えたんだ。……それから、気になって仕方ない。……もう一度、ちゃんと見てみたい!」
彼の言葉は本気だった。
瞳の奥でメラメラと燃え盛る炎──揺るぎない信念がひしひしと伝わってくる。
それは、私の警戒不足が招いた結果なのだろう。
日頃から少しラフな格好で、生徒のことなどまるで意識していない。
前屈みになった時、緩んだブラの隙間から、中身が見えてしまったことがなかったとは言い切れない。
だからといって、罪滅ぼしの為にそんな貧祖なものを見せるわけにはい。
「だ、だめ。……ちゃんと勉強しよう」
彼の意識を逸らすように勉強のことを口にする。
これまで勤勉だった彼だからこそ、その話をすればきっと落ち着いてくれると思っていた。
「ヤダ────っ! 僕はどうしても見たいんだー!」
しかし、彼は癇癪を起した子供のように叫ぶ。
そして、私の着ているブラウスを無理矢理脱がそうとする。
胸元のボタンを乱暴に外されていく私は、再び身の危険を感じていた。
「ま、まって~!」
その行動を止めさせようと、私は咄嗟に彼の手を押さえた。
だが、完全に我を忘れて興奮しきった彼の行動は、止まるどころかますます激しくなっていく。
「……じ……自分で見せるからぁ~!」
もう私には選ぶ道など残っていなかった。
このままでは興奮しきった彼に、強制的に胸を剥き出しにされるだろう。
そして、彼が目的を達成したとして、見るだけで済むとは、とても思えない。
どんな見た目であろうと、彼が男であることに変わりはないだ。
しかも、もう完全に野獣と化している。
「ほ、ほんとにぃ? ……見せてくれるの?」
しかし、その言葉を口にした瞬間、勢いづいていた彼の動きがピタリと止まった。
諦めてしまった私の様子に、胸を見せて貰えると確信が持てたのだろう。
瞳をキラキラ輝かせて期待を寄せるその姿には、直前までの凶暴さはまるで感じられない。
だが、いつ豹変するかもわからない。
そんな彼を前にして、私は観念するように言葉を口にした。
「絶対に見るだけだよ……」
「……う、うん」
そんな口先だけの約束など信じられるはずがなかった。
だが、ここで私が拒んだり逃げようとするそぶりを見せれば、彼は豹変して、もう暴走は止まらなくなってしまうだろう。
一気に静まり返った部屋の中に、彼の荒い息遣いが淡々と響き渡る。
胸の辺りに突き刺さるような視線を感じながら、私はブラウスのボタンを一つひとつ外していった。
(……私、何でこんなことをしてるんだろう……?)
ふと思ったそんな疑問。
同時に、私は自分のしていることが急に恥ずかしくなっていた。
自らの手で衣服を肌け、教え子の前で恥ずかしげもなく、胸を曝け出そうとしているのだ。
破廉恥なことをしてるという自覚が芽生え、羞恥心が心の底から湧き上がってくる。
だが、ここで立ち止まるわけにはいかなかった。
私の口から「見せる」と約束してしまったのだ。──それに、彼はもうその気になっている。
「わぁ~。……真っ白なブラジャーだ。……かわいい~」
顔全体に火照るような熱さを感じながらも、私は姿を見せたブラジャーのフロントホックに手を伸ばす。
そして、彼の視線を避けるようにそっと顔をそらし、外したそれをゆっくりと広げていった。
丸出しになっていく膨らみ──それと共に指先に震えが走る。
恥ずかしくて、居ても立っても居られない。
なのに、興奮しきった彼の熱い息が、そこに直接吹き掛っている。
「わぁ~。……オッパイだぁ……本物のオッパイだぁ~!」
そう言って素直に喜びを表現する彼。
私の心情など、すでに見透かしているはずなのに、悪びれたようすも見せず、マジマジとそこを覗き込んでいく。
膨らみ始めのところから、色の変わった先っぽまでを、まるで舐め回すように隅から隅まで見回している。
(……や、やだぁ。……視線が熱い。……変な気分になってきちゃう)
見られている──ただ、それだけなのに、何故だかとっても悪いことをしてるような気がしていた。
しかも、彼の硬くなったものが私の股間をグイグイと押している。
「……も……もう、いいでしょ?」
私はすでに耐えきれなくなっていた。
このままだと、何かを切っ掛けに間違いを犯してしまってもおかしくはない。
何をおいても私はこの子の家庭教師なのだ。
これ以上のことをさせては絶対にいけない。
私は彼の視線から逃れるように、慌てて両腕で胸を隠した。
そして、これ以上は絶対にさせないと、厳しい表情で睨みつけた。
しかし、これが彼の本能に火を付けることになっていたなど、私は想像もしていなかった。
「ヤダ────っ! もっと見たい! 吸ってみたい!」
私は彼の豹変ぶりに愕然としていた。
(す……吸ってみたい……って……)
血走ったその目は、まるで野獣のよう──あの”あどけなかった姿”など微塵も感じられない。
今にも襲い掛かってきそうな、その気迫。
私はそんな彼の暴走を食い止めようと、思わず声を荒げた。
「だめぇーっ! ……そんなの、間違ってる!」
その叫びで、一瞬だけおとなしくなる。
だが、一線を越えてしまった彼が、それを素直に聞き入れるはずがなかった。
「見せてくれるって言ったじゃん!」
彼はそう叫びながら、胸を隠している私の腕を強引に退かした。
「きゃーっ!」
そして、そこを丸出しにさせると、膨らみの天辺にある色の変わった部分に目掛けて、口を近付けてくる。
呼吸を荒げ、欲望剥き出しの彼には、他のものなどもう何も見えていない。
「だ、だめぇーっ!」
思わず叫ぶものの、誰も助けになど来てくれない。
胸の頂点の敏感なところは、少しザラつきのあるポテっとした唇に、成す術もなく咥え込まれていった。
(あぁ……だめ……こんなの絶対だめぇ!)
そこが温かさに包まれた瞬間、私の身体から力が一気に抜けていった。
自分を見失ってはいけないと、懸命に意識を保とうとする。
だが、まるで赤ん坊の様なその吸い付き方が、どんどん私を変な気分にさせていく。
ぎこちなくて未熟ながらも、チュウチュウと吸い始める口の動き──不慣れなのに、その懸命さが手に取るように伝わってくる。
その仕草に、女の本能が疼き出していく。
それに、私は乳首が異様に弱い。
ブラに少し擦れただけで、身体中の力がみるみる抜けていってしまう。
なのに、まるでお腹を空かせた我が子が、一生懸命お乳を求めているかのような愛らしいその姿。
母性本能が擽られ、切ない想いがじわじわ沸き上がってくる。
しかも、私を感じさせようという、疚しい気持ちは一切感じられない。
吸引するたびに、口の中のヌルヌルしたものが、先端を優しく這いまわっていく。
声を出さないように必死に我慢してる。
だが、私の意識はすでに遠のいていた。
(も、もう……だ……だめだ……)
もう、抵抗する気力も湧いてこなかった。
呼吸が弾み、身体中が火照るように熱くなっている。
「チュパ、チュパ」と乳首を吸い込む音だけが、残響のように耳に届く。
そして、吸われるたびにどんどん敏感になっていくその部分。
丁寧に──
そして、優しく労わるように──
吸引を繰り返されて、正気でいることなどできなかった。
声を我慢するために、口を押さえていたはずなのに、その手はいつの間にか胸元で蠢く頭を激しく撫で回していた。
「あぁっ……だめぇ……だめだよぉ~」
口ではそう言っているのに、彼の頭を抱えている手の動きは止まらない。
やるせない想いが沸々と込み上げ、ジッとしてなどいられなかった。
(……もう……どうなっちゃってもいい……)
すでに私は限界だった。
教え子に胸を吸われて、今まさにイカされようとしていたのだ。
「うぅっ……い、いやぁ……」
「……せ、せんせい……どうしたの?」
しかし、その時、私の異変に気付いた彼が心配そうに声をかけてくる。
もちろん、しゃぶられていた乳首は、そのまま放置──。
唾液に濡れたまま、ピンと張ってキラキラと光り輝いている。
私は愕然としていた。
モヤモヤとした気持ちで、居ても立っても居られなかった。
あと少し──
ほんの少しで、目の前の扉が開いたのだ。
だが、彼にそんなことを強要させることなどできない。
どんなことがあろうと、私はこの子の家庭教師なのだ。
「……な、なんでもない。……だいじょうぶだよ」
そう言ってはいるが、身体中が疼いて思考が定まらない。
──もう一度、続きをして欲しい。
そう想っているのに、口にすることは絶対にできないのだ。
「……もう、満足した?」
私は平静を装って、まるで何ごともなかったかのように話す。
しかし、ジーンズの中では、いまだに溢れてくるものが下着をびっしょりと濡らし続けていた。
「……うん。……なんか、懐かしい気持ちになった」
そう言って微笑む彼──その股間はテントを張っている。
それなのに、まるで別人のように穏やかな様子を見せていた。
「続きをして貰えるかも」と淡い期待を抱いていたのに、もうこの気持ちは晴れそうにない。
沈んだ気持ちを必死に隠し、私は乱れた衣服を整えていった。
まるで蛇の生殺しのように、中途半端にされて悶々と疼く身体──
この時、私は彼を性の対象者として認識し始めたことに、まだ気付いていなかった。
~to be continued~