※この作品はR-18です。

性年のしがらみ   作:村上しんご

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第十九話 教え子①

 以前から、私の胸をチラチラと意識していることには気付いていた。

 だが、目の前にいるのは、あくまで年の離れた教え子。

 

 家庭教師として勉強を教える立場の私は、彼のことを異性として意識したことなど一度もなかった。

 

 クリっとした目のあどけない顔立ち。

 若さあふれるキメ細やかな肌は、傷ひとつなくどこまでも澄んでいる。

 

 そして、褒められた時にふっとこぼれる無邪気な笑顔──

 幼さを残しながらも、やましい気配など微塵も感じさせない。

 

 そんな見た目に、私は完全に油断していた。

 まさか、彼が襲い掛かってくるとは夢にも思っていなかった。

 

 私をベッドに押し倒し、「はぁ、はぁ」と息を荒げるその様子は完全に一人の男。

 馬乗りになって抱き付かれた私は、完全に身動きが取れなかった。

 

「せ、先生……!」

 

 体格はほとんど変らないのに、力の差は歴然だった。

 どんなに幼さが残っていても、彼が男であるという事実は変わらなかったのだ。

 

 それに彼はそういう年頃で、女性の身体に興味を抱いてもおかしくはない。

 服を着てるとはいえ、私の胸に顔を埋め、頬擦りを繰り返している。

 

 その姿は、今まで溜まっていた憤りを、一気に晴らそうとしてるかのようだ。

 

「や……やめなさい!」

 

 私は、この状況に身の危険を感じていた。

 

 家族は出かけていて、今日はこの家に二人しかいない。

 このままでは貞操を失い、日の当たらない人生を歩むことになってしまう。

 

 なにより、彼は明らかに本気──私と無理矢理にでもどうにかなりたいという必死さがある。

 切羽詰まったその気迫を前に、私はどうにかしてこの状況を回避できないかと、懸命に頭を働かせていた。

 

「……て、手でしてあげるからぁ~!」

 

 意図せず漏れた私の叫び。

 その瞬間、力が緩み、彼は呆然とした表情で、私の顔を覗き込む。

 

「……えっ?」

 

 どんなことをしてくれるんだろう──という興味津々なその顔。

 

 私はここぞとばかりに、彼を説得しようと声を上げた。

 

「そう。……手で、手でしてあげるから……すっきりすれば少しは落ち着くでしょ? ……ねっ?」

 

 そう言って彼をなだめる。

 だが、少し力は緩んだものの、いまだに強く抱きしめられて、その手から抜け出せそうもない。

 

 華奢に見えるその身体から、どうしてこれほどの力が湧いてくるのだろう。

 

 何としてでも目的を果たす──そんな彼の強い決意が、まざまざと感じられた瞬間でもあった。

 

「……えっ? ……なに? ……何をしてくれるの?」

 

 だが、彼は私の言葉をいまいち理解していないようだ。

 不思議そうにポカンと口を開けたまま。

 

 まるで何も知らないかのような初心なその表情。

 私は罪悪感に駆られながらも、自分の身を守る為、溜め息交じりに口を開いた。

 

「硬くなってるの……すっきりさせてあげるから……ねっ?」

 

 その言葉と同時に彼は、私の下腹部の辺りに当たっている、自分の股間をジッと見つめた。

 しかし、納得がいかないのか、不満そうに口を尖らせている。

 

 しばらく沈黙が続いた後、彼は何かを決心したように口を開いた。

 

「オッパイは!? ……オッパイは見せてくれるの!?」

 

 彼の目的はそれだった。

 意表を突いたその言葉に、私は呆然としていた。

 

 モヤモヤした気分をスッキリさせたい──。

 日頃の鬱憤を私の身体で解消させたい──。

 

 そういうやましい考えには、まだ到らないのだ。

 その単純な思考は、彼がまだ男として未熟である証し。

 

 だが、そんな願いでも、叶えてしまえば、さらに興奮して何をするかもわからない。

 彼が男である以上、それ以上のことを望んでこないとは限らないのだ。

 

 なにより、教え子にそんなものを晒している自分──それを想像しただけで、恥ずかしさで顔が熱くなっていく。

 自分の胸はそれほど大きいわけではないし、まして美しいと言えるものでもない。

 

 どこにでもいる普通の女子より、すこし小さ目。

 私は彼がどうしてそんなことを望んでいるのか、よくわからなかった。

 

「どうして? ……どうして、私なんかの胸を……」

 

 動揺する私の言葉に、彼はまるで苦虫を噛みつぶしたような顔を見せた。

 そして、目をカッと見開き、感情むき出しのまま、その思いを私にぶつけてきた。

 

「ずっと前に……脇のところから少し見えたんだ。……それから、気になって仕方ない。……もう一度、ちゃんと見てみたい!」

 

 彼の言葉は本気だった。

 瞳の奥でメラメラと燃え盛る炎──揺るぎない信念がひしひしと伝わってくる。

 

 それは、私の警戒不足が招いた結果なのだろう。

 日頃から少しラフな格好で、生徒のことなどまるで意識していない。

 

 前屈みになった時、緩んだブラの隙間から、中身が見えてしまったことがなかったとは言い切れない。

 だからといって、罪滅ぼしの為にそんな貧祖なものを見せるわけにはい。

 

「だ、だめ。……ちゃんと勉強しよう」

 

 彼の意識を逸らすように勉強のことを口にする。

 これまで勤勉だった彼だからこそ、その話をすればきっと落ち着いてくれると思っていた。

 

「ヤダ────っ! 僕はどうしても見たいんだー!」

 

 しかし、彼は癇癪を起した子供のように叫ぶ。

 そして、私の着ているブラウスを無理矢理脱がそうとする。

 胸元のボタンを乱暴に外されていく私は、再び身の危険を感じていた。

 

「ま、まって~!」

 

 その行動を止めさせようと、私は咄嗟に彼の手を押さえた。

 だが、完全に我を忘れて興奮しきった彼の行動は、止まるどころかますます激しくなっていく。

 

「……じ……自分で見せるからぁ~!」

 

 もう私には選ぶ道など残っていなかった。

 このままでは興奮しきった彼に、強制的に胸を剥き出しにされるだろう。

 

 そして、彼が目的を達成したとして、見るだけで済むとは、とても思えない。

 どんな見た目であろうと、彼が男であることに変わりはないだ。

 

 しかも、もう完全に野獣と化している。

 

「ほ、ほんとにぃ? ……見せてくれるの?」

 

 しかし、その言葉を口にした瞬間、勢いづいていた彼の動きがピタリと止まった。

 諦めてしまった私の様子に、胸を見せて貰えると確信が持てたのだろう。

 

 瞳をキラキラ輝かせて期待を寄せるその姿には、直前までの凶暴さはまるで感じられない。

 だが、いつ豹変するかもわからない。

 

 そんな彼を前にして、私は観念するように言葉を口にした。

 

「絶対に見るだけだよ……」

 

「……う、うん」

 

 そんな口先だけの約束など信じられるはずがなかった。

 だが、ここで私が拒んだり逃げようとするそぶりを見せれば、彼は豹変して、もう暴走は止まらなくなってしまうだろう。

 

 一気に静まり返った部屋の中に、彼の荒い息遣いが淡々と響き渡る。

 

 胸の辺りに突き刺さるような視線を感じながら、私はブラウスのボタンを一つひとつ外していった。

 

(……私、何でこんなことをしてるんだろう……?)

 

 ふと思ったそんな疑問。

 同時に、私は自分のしていることが急に恥ずかしくなっていた。

 

 自らの手で衣服を肌け、教え子の前で恥ずかしげもなく、胸を曝け出そうとしているのだ。

 破廉恥なことをしてるという自覚が芽生え、羞恥心が心の底から湧き上がってくる。

 

 だが、ここで立ち止まるわけにはいかなかった。

 私の口から「見せる」と約束してしまったのだ。──それに、彼はもうその気になっている。

 

「わぁ~。……真っ白なブラジャーだ。……かわいい~」

 

 顔全体に火照るような熱さを感じながらも、私は姿を見せたブラジャーのフロントホックに手を伸ばす。

 そして、彼の視線を避けるようにそっと顔をそらし、外したそれをゆっくりと広げていった。

 

 丸出しになっていく膨らみ──それと共に指先に震えが走る。

 恥ずかしくて、居ても立っても居られない。

 

 なのに、興奮しきった彼の熱い息が、そこに直接吹き掛っている。

 

「わぁ~。……オッパイだぁ……本物のオッパイだぁ~!」

 

 そう言って素直に喜びを表現する彼。

 私の心情など、すでに見透かしているはずなのに、悪びれたようすも見せず、マジマジとそこを覗き込んでいく。

 

 膨らみ始めのところから、色の変わった先っぽまでを、まるで舐め回すように隅から隅まで見回している。

 

(……や、やだぁ。……視線が熱い。……変な気分になってきちゃう)

 

 見られている──ただ、それだけなのに、何故だかとっても悪いことをしてるような気がしていた。

 しかも、彼の硬くなったものが私の股間をグイグイと押している。

 

「……も……もう、いいでしょ?」

 

 私はすでに耐えきれなくなっていた。

 このままだと、何かを切っ掛けに間違いを犯してしまってもおかしくはない。

 

 何をおいても私はこの子の家庭教師なのだ。

 これ以上のことをさせては絶対にいけない。

 

 私は彼の視線から逃れるように、慌てて両腕で胸を隠した。

 そして、これ以上は絶対にさせないと、厳しい表情で睨みつけた。

 

 しかし、これが彼の本能に火を付けることになっていたなど、私は想像もしていなかった。

 

「ヤダ────っ! もっと見たい! 吸ってみたい!」

 

 私は彼の豹変ぶりに愕然としていた。

 

(す……吸ってみたい……って……)

 

 血走ったその目は、まるで野獣のよう──あの”あどけなかった姿”など微塵も感じられない。

 今にも襲い掛かってきそうな、その気迫。

 

 私はそんな彼の暴走を食い止めようと、思わず声を荒げた。

 

「だめぇーっ! ……そんなの、間違ってる!」

 

 その叫びで、一瞬だけおとなしくなる。

 だが、一線を越えてしまった彼が、それを素直に聞き入れるはずがなかった。

 

「見せてくれるって言ったじゃん!」

 

 彼はそう叫びながら、胸を隠している私の腕を強引に退かした。

 

「きゃーっ!」

 

 そして、そこを丸出しにさせると、膨らみの天辺にある色の変わった部分に目掛けて、口を近付けてくる。

 

 呼吸を荒げ、欲望剥き出しの彼には、他のものなどもう何も見えていない。

 

「だ、だめぇーっ!」

 

 思わず叫ぶものの、誰も助けになど来てくれない。

 胸の頂点の敏感なところは、少しザラつきのあるポテっとした唇に、成す術もなく咥え込まれていった。

 

(あぁ……だめ……こんなの絶対だめぇ!)

 

 そこが温かさに包まれた瞬間、私の身体から力が一気に抜けていった。

 自分を見失ってはいけないと、懸命に意識を保とうとする。

 

 だが、まるで赤ん坊の様なその吸い付き方が、どんどん私を変な気分にさせていく。

 

 ぎこちなくて未熟ながらも、チュウチュウと吸い始める口の動き──不慣れなのに、その懸命さが手に取るように伝わってくる。

 その仕草に、女の本能が疼き出していく。

 

 それに、私は乳首が異様に弱い。

 ブラに少し擦れただけで、身体中の力がみるみる抜けていってしまう。

 

 なのに、まるでお腹を空かせた我が子が、一生懸命お乳を求めているかのような愛らしいその姿。

 母性本能が擽られ、切ない想いがじわじわ沸き上がってくる。

 

 しかも、私を感じさせようという、疚しい気持ちは一切感じられない。

 吸引するたびに、口の中のヌルヌルしたものが、先端を優しく這いまわっていく。

 

 声を出さないように必死に我慢してる。

 だが、私の意識はすでに遠のいていた。

 

(も、もう……だ……だめだ……)

 

 もう、抵抗する気力も湧いてこなかった。

 呼吸が弾み、身体中が火照るように熱くなっている。

 

「チュパ、チュパ」と乳首を吸い込む音だけが、残響のように耳に届く。

 

 そして、吸われるたびにどんどん敏感になっていくその部分。

 

 丁寧に──

 そして、優しく労わるように──

 

 吸引を繰り返されて、正気でいることなどできなかった。

 

 声を我慢するために、口を押さえていたはずなのに、その手はいつの間にか胸元で蠢く頭を激しく撫で回していた。

 

「あぁっ……だめぇ……だめだよぉ~」

 

 口ではそう言っているのに、彼の頭を抱えている手の動きは止まらない。

 やるせない想いが沸々と込み上げ、ジッとしてなどいられなかった。

 

(……もう……どうなっちゃってもいい……)

 

 すでに私は限界だった。

 教え子に胸を吸われて、今まさにイカされようとしていたのだ。

 

「うぅっ……い、いやぁ……」

 

「……せ、せんせい……どうしたの?」

 

 しかし、その時、私の異変に気付いた彼が心配そうに声をかけてくる。

 

 もちろん、しゃぶられていた乳首は、そのまま放置──。

 

 唾液に濡れたまま、ピンと張ってキラキラと光り輝いている。

 

 私は愕然としていた。

 モヤモヤとした気持ちで、居ても立っても居られなかった。

 

 あと少し──

 ほんの少しで、目の前の扉が開いたのだ。

 

 だが、彼にそんなことを強要させることなどできない。

 どんなことがあろうと、私はこの子の家庭教師なのだ。

 

「……な、なんでもない。……だいじょうぶだよ」

 

 そう言ってはいるが、身体中が疼いて思考が定まらない。

 

 ──もう一度、続きをして欲しい。

 

 そう想っているのに、口にすることは絶対にできないのだ。

 

「……もう、満足した?」

 

 私は平静を装って、まるで何ごともなかったかのように話す。

 しかし、ジーンズの中では、いまだに溢れてくるものが下着をびっしょりと濡らし続けていた。

 

「……うん。……なんか、懐かしい気持ちになった」

 

 そう言って微笑む彼──その股間はテントを張っている。

 それなのに、まるで別人のように穏やかな様子を見せていた。

 

「続きをして貰えるかも」と淡い期待を抱いていたのに、もうこの気持ちは晴れそうにない。

 沈んだ気持ちを必死に隠し、私は乱れた衣服を整えていった。

 

 まるで蛇の生殺しのように、中途半端にされて悶々と疼く身体──

 

 この時、私は彼を性の対象者として認識し始めたことに、まだ気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

             

            ~to be continued~

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