※この作品はR-18です。

性年のしがらみ   作:村上しんご

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第二十四話 教え子⑥

 ここに来たのは人目があるからだ。

 

 さすがにこんな場所では、変な空気にはならないだろうと高を括っていた。

 しかし、私の隣で身体を寄せ合い、ぴったりと密着する彼──。

 

 甘えるように肩に頭を預け、その手はすでにスカートの上から、私の太股をさり気なく撫でていた。

 しかも、別れを切り出したはずなのに、その手は大切なところに向かって少しずつ伸びている。

 

 落ち込んでいたのが、まるで嘘だったかのようなその様子に、私は後悔をし始めていた。

 

「……や、やめて。……ここ、ファミレスだよ」

 

 誰にも気付かれないように、小声で囁きながら侵入を防ぐ。

 しかし、彼は悪びれた様子もなく、ニコニコと笑顔を浮かべながら、その手をスカートの中に忍び込ませていった。

 

 まるで、私がそれに抗えないことを知っているかのように──。

 

 でも、私だって黙って受け入れるつもりはない。

 人目を気にしながらも、必死になって抵抗を試みていた。

 

 しかし、頑なに拒否しているように見えて、私の手にはほとんど力が入っていない。

 じわじわと伝わってくるその温もりが、身体を重ねていた時の記憶を鮮明に蘇らせていた。

 

 どんなに抗おうと思っても、身体中の力が抜けて、ちゃんと拒むことができない。

 

 彼とは、しばらくご無沙汰だったのだ。

 久々に可愛がって貰えるのを、身体中が求めている。

 

 そして、ついに──

 

 汗ばんだ太股の間に潜り込んだ手は、スカートの奥のじっとりと湿った部分に辿り着いた。

 

「……んんっ! ……だ、だめっ!」

 

 人気はまばらで少ないが、店の中には和気あいあいと過ごす家族連れの姿もある。

 そんなところで、こんな大胆なことをしているというのに、彼は罪悪感などこれっぽっちも感じていない。

 

 まるでおもちゃで遊ぶ子どものように、キラキラと瞳を輝かせている。

 私が強く拒否できないことを悟っているかのような、その態度──。

 

 パンティの上から割れ目のところを重点的なぞられて、私の意識が次第に遠のいていく。

 呼吸は自然と弾み、遠くを見つめる視線は、落ち着きなく辺りを彷徨い始めていた。

 

 刺激されているところに意識が集中し、目を開けているのに周りはまったく見えていない。

 それなのに、彼の指先が今どこを辿り、どんなふうに動いているのかが鮮明に感じ取れている。

 

 意識が朦朧とする中、私は彼のされるがままになっていった。

 身体中をビクビクと痙攣させ、震える唇を半開きにし、声が出そうなのを必死になって堪えている。

 

 今にも泣き出しそうなこの顔を、誰かに見られれば、きっと何をされてるか想像がついてしまうだろう。

 切ない想いが込み上げて、もう自分自身の感情すら制御できないのだ。

 

 それなのに、彼はパンティのクロッチ部分を少しだけずらし、大切なところを直に触れていった。

 

 ピチャピチャと音を立てながら蠢く指──

 

 行ったり来たりするたびに、久々の強烈な刺激が敏感な個所を襲う。

 しかも、焦らすように、少しずつ、少しずつ、埋もれている。

 

(私は何をしてるの!? ……こんなことをするために、ここに来たんじゃないのに!)

 

 このままでは彼の思惑通り、またずるずると関係を続けることになってしまうだろう。

 断ち切ったはずなのに、彼の”あれ”を埋め込みたいという欲望が、心の中でじわじわと膨らんでいた。

 

 身体の関係を続ければ、私が離れられなくなることを彼は見抜いているのだ。

 

 私はとっさに彼の手を振りほどき、その場から逃げ出そうとした。

 

 しかし──

 

「お待たせしました。……ご注文のペペロンチーノとアイスティーです」

 

 その時、若いウェイトレスが何も知らずに料理を運んできた。

 

 彼と私はどう見ても異質な組み合わせにしか見えない。

 なのに、興味がないのか視線を合わせようともしない。

 

 めんどくさそうに料理をテーブルの上に置き、そそくさと立ち去ろうとする。

 

「お姉さん、このペペロンチーノのカロリーって、どのくらいあるの?」

 

 その言葉を聞いて、私は顔面蒼白になった。

 こんな卑猥なことをしてるとは気付かずに、彼女は立ち去ろうとしていた。

 

 なのに、彼はわざわざ引き留めたのだ。

 

 しかも、割れ目をゆっくりとなぞっていた指は、「ズプズプ」と音を立て、奥に埋め込まれていた。

 

 ──もう、逃げ出すどころの騒ぎではない。

 

 いやらしい雌の匂いが、私の”あそこ”からぷんぷんと漂い始めている。

 しかも、ゆっくりと掻き回されて、「クチュ、クチュ」という卑猥な音まで、微かに響いている。

 

「……カロリー……ですか?」

 

 唐突な質問に固まるウエートレス。

「なぜ私にそんなことを聞くの?」とでも言いたげな表情を浮かべつつも、どう返すべきかと答えを探している。

 

 難しい表情を浮かべる彼女の前で、彼はニヤニヤとほくそ笑んでいた。

 

 ”あそこ”に挿入された指は、出たり入ったりをしつこく繰り返し、その手の親指が突起した蕾の周りをクルクルと回り始めている。

 テーブルの下で、私の膝がガクガクと震えだし、開いたり閉じたりを頻りに繰り返している。

 

(こんなことをされてるのを、気付かれるわけにはいかない。……ここは公衆の面前なのだ)

 

 プレッシャーを感じていながらも、この場から逃げ出すことさえできない。

 じわじわと込み上げてくる快感が、私の身体を骨抜きにし始めている。

 

 それどころか、声を出すことも悶えることもできない。

 抑え込んでいた感情が積もり積もって、もう我慢することさえ限界になっている──。

 

 突起したところを愛でる指先は、粘膜に濡れてヌルヌルになっている。

 敏感な部分に触れるか触れないかの絶妙な力加減は、私の精神を着実に崩壊させ続けていた。

 

「お姉さん、わからないの? ……ここ、飲食店だよね?」

 

 だが、そう言って呆れ顔をする彼は、同調を求めるかのように私に目を向ける。

 

 俯き加減で泣き出しそうな顔──

 唇を震わせ、今にも声を上げそうになっていた私は、なりふりかまわずテーブルの上に突っ伏した。

 

 感じているのが丸わかりのこの顔を、ウエートレスに見られたら、何をしているかがすぐにばれてしまうだろう。

 

 そうなれば通報──

 私と彼の人生は、ここで終わってしまう。

 

 しかし、彼はこんな状況になっても、その手を止めなかった。

 それどころか、さらに「クッチュ、クッチュ」と音を響かせ、私の中を荒々しく掻き回していく。

 

(もう、だめだ……)

 

 突然、テーブルに平伏したうえに、ガタガタと震える私──

 その様子に驚き、彼女は慌てて声を掛ける。

 

「お客様、大丈夫ですか!?」

 

 それは客に対する気遣いの言葉──。

 普段の私なら感謝するところだが、今はそれどころではない。

 

 こんな状況では人の優しさなど、ただの迷惑でしかないのだ。

 今は他人に関わりたくないし、放っておいてほしい。

 

 テーブルの下では、私を辱めようとする彼の手が、いまだにねちっこく動き続けている。

 

 しかも、尋常ではない彼女の声で、店中の視線が一斉に私に集まっていた。

 

「先生、大丈夫?」

 

 それなのに、惚けた態度で心配そうに声を掛ける彼──

 その時、私の大切なところを散々いじり回していた手は、何事もなかったようにあっさりと離れていった。

 

 ほっとすべきなのに、今度は甚振られていたところがジンジンと疼いて、居ても立ってもいられなくなっていた。

 

 もう少し、弄られていたら私は確実にイッていた。

 周囲に気付かれてはならないと必死になって耐えていたのだ。

 

 彼は、そんな私の心情を知りながら、まるで掌の上で転がすように弄んでいた。

 こんなふうにすれば私が堕ちると確信していたのだ。

 

(……ハメたい。……彼の”あそこ”でむちゃくちゃに突かれたい……)

 

 彼の意図など最初からわかっていたはずだった。

 どんなことがあっても屈しないと心に決めていた。

 

 しかし──

 

 燃え上ったこの欲望は、もう抑え込むことなどできない。

 

「先生、家に行こう。……家でゆっくり休もうよ」

 

 その言葉は、周りからすればただの何気ないやり取りにしか見えないだろう。

 だが、それは明らかに性行為をしようという誘いの言葉──。

 

 私には選ぶ権利など、もう無かった。

 

「……う、うん」

 

 焦点の合わないぼんやりとした目で彼を見つめ、そう呟いてからコクリと頷く。

 

 そんな私を見てニヤリと笑う彼──

 ふらつく私を支えながら立ち上がり、まるで何事もなかったかのように会計を済ませ、店を後にする。

 

 私は、もう何も考えられなくなっていた。

 

 ──今すぐにでも彼が欲しい。

 そのことで頭がいっぱいになり、別れを切り出したことなど、とうに忘れていた。

 

 彼の部屋に辿り着いた途端、盛りの付いた雌犬のごとく狂ったように彼を求める。

 

 私は彼に負けてしまったのだ──。

 

 その後、私は上になったり下になったりを散々くり返し、彼の精根が尽きるまで、その身体を徹底的に味わっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

               ~to be continued~

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