ここに来たのは人目があるからだ。
さすがにこんな場所では、変な空気にはならないだろうと高を括っていた。
しかし、私の隣で身体を寄せ合い、ぴったりと密着する彼──。
甘えるように肩に頭を預け、その手はすでにスカートの上から、私の太股をさり気なく撫でていた。
しかも、別れを切り出したはずなのに、その手は大切なところに向かって少しずつ伸びている。
落ち込んでいたのが、まるで嘘だったかのようなその様子に、私は後悔をし始めていた。
「……や、やめて。……ここ、ファミレスだよ」
誰にも気付かれないように、小声で囁きながら侵入を防ぐ。
しかし、彼は悪びれた様子もなく、ニコニコと笑顔を浮かべながら、その手をスカートの中に忍び込ませていった。
まるで、私がそれに抗えないことを知っているかのように──。
でも、私だって黙って受け入れるつもりはない。
人目を気にしながらも、必死になって抵抗を試みていた。
しかし、頑なに拒否しているように見えて、私の手にはほとんど力が入っていない。
じわじわと伝わってくるその温もりが、身体を重ねていた時の記憶を鮮明に蘇らせていた。
どんなに抗おうと思っても、身体中の力が抜けて、ちゃんと拒むことができない。
彼とは、しばらくご無沙汰だったのだ。
久々に可愛がって貰えるのを、身体中が求めている。
そして、ついに──
汗ばんだ太股の間に潜り込んだ手は、スカートの奥のじっとりと湿った部分に辿り着いた。
「……んんっ! ……だ、だめっ!」
人気はまばらで少ないが、店の中には和気あいあいと過ごす家族連れの姿もある。
そんなところで、こんな大胆なことをしているというのに、彼は罪悪感などこれっぽっちも感じていない。
まるでおもちゃで遊ぶ子どものように、キラキラと瞳を輝かせている。
私が強く拒否できないことを悟っているかのような、その態度──。
パンティの上から割れ目のところを重点的なぞられて、私の意識が次第に遠のいていく。
呼吸は自然と弾み、遠くを見つめる視線は、落ち着きなく辺りを彷徨い始めていた。
刺激されているところに意識が集中し、目を開けているのに周りはまったく見えていない。
それなのに、彼の指先が今どこを辿り、どんなふうに動いているのかが鮮明に感じ取れている。
意識が朦朧とする中、私は彼のされるがままになっていった。
身体中をビクビクと痙攣させ、震える唇を半開きにし、声が出そうなのを必死になって堪えている。
今にも泣き出しそうなこの顔を、誰かに見られれば、きっと何をされてるか想像がついてしまうだろう。
切ない想いが込み上げて、もう自分自身の感情すら制御できないのだ。
それなのに、彼はパンティのクロッチ部分を少しだけずらし、大切なところを直に触れていった。
ピチャピチャと音を立てながら蠢く指──
行ったり来たりするたびに、久々の強烈な刺激が敏感な個所を襲う。
しかも、焦らすように、少しずつ、少しずつ、埋もれている。
(私は何をしてるの!? ……こんなことをするために、ここに来たんじゃないのに!)
このままでは彼の思惑通り、またずるずると関係を続けることになってしまうだろう。
断ち切ったはずなのに、彼の”あれ”を埋め込みたいという欲望が、心の中でじわじわと膨らんでいた。
身体の関係を続ければ、私が離れられなくなることを彼は見抜いているのだ。
私はとっさに彼の手を振りほどき、その場から逃げ出そうとした。
しかし──
「お待たせしました。……ご注文のペペロンチーノとアイスティーです」
その時、若いウェイトレスが何も知らずに料理を運んできた。
彼と私はどう見ても異質な組み合わせにしか見えない。
なのに、興味がないのか視線を合わせようともしない。
めんどくさそうに料理をテーブルの上に置き、そそくさと立ち去ろうとする。
「お姉さん、このペペロンチーノのカロリーって、どのくらいあるの?」
その言葉を聞いて、私は顔面蒼白になった。
こんな卑猥なことをしてるとは気付かずに、彼女は立ち去ろうとしていた。
なのに、彼はわざわざ引き留めたのだ。
しかも、割れ目をゆっくりとなぞっていた指は、「ズプズプ」と音を立て、奥に埋め込まれていた。
──もう、逃げ出すどころの騒ぎではない。
いやらしい雌の匂いが、私の”あそこ”からぷんぷんと漂い始めている。
しかも、ゆっくりと掻き回されて、「クチュ、クチュ」という卑猥な音まで、微かに響いている。
「……カロリー……ですか?」
唐突な質問に固まるウエートレス。
「なぜ私にそんなことを聞くの?」とでも言いたげな表情を浮かべつつも、どう返すべきかと答えを探している。
難しい表情を浮かべる彼女の前で、彼はニヤニヤとほくそ笑んでいた。
”あそこ”に挿入された指は、出たり入ったりをしつこく繰り返し、その手の親指が突起した蕾の周りをクルクルと回り始めている。
テーブルの下で、私の膝がガクガクと震えだし、開いたり閉じたりを頻りに繰り返している。
(こんなことをされてるのを、気付かれるわけにはいかない。……ここは公衆の面前なのだ)
プレッシャーを感じていながらも、この場から逃げ出すことさえできない。
じわじわと込み上げてくる快感が、私の身体を骨抜きにし始めている。
それどころか、声を出すことも悶えることもできない。
抑え込んでいた感情が積もり積もって、もう我慢することさえ限界になっている──。
突起したところを愛でる指先は、粘膜に濡れてヌルヌルになっている。
敏感な部分に触れるか触れないかの絶妙な力加減は、私の精神を着実に崩壊させ続けていた。
「お姉さん、わからないの? ……ここ、飲食店だよね?」
だが、そう言って呆れ顔をする彼は、同調を求めるかのように私に目を向ける。
俯き加減で泣き出しそうな顔──
唇を震わせ、今にも声を上げそうになっていた私は、なりふりかまわずテーブルの上に突っ伏した。
感じているのが丸わかりのこの顔を、ウエートレスに見られたら、何をしているかがすぐにばれてしまうだろう。
そうなれば通報──
私と彼の人生は、ここで終わってしまう。
しかし、彼はこんな状況になっても、その手を止めなかった。
それどころか、さらに「クッチュ、クッチュ」と音を響かせ、私の中を荒々しく掻き回していく。
(もう、だめだ……)
突然、テーブルに平伏したうえに、ガタガタと震える私──
その様子に驚き、彼女は慌てて声を掛ける。
「お客様、大丈夫ですか!?」
それは客に対する気遣いの言葉──。
普段の私なら感謝するところだが、今はそれどころではない。
こんな状況では人の優しさなど、ただの迷惑でしかないのだ。
今は他人に関わりたくないし、放っておいてほしい。
テーブルの下では、私を辱めようとする彼の手が、いまだにねちっこく動き続けている。
しかも、尋常ではない彼女の声で、店中の視線が一斉に私に集まっていた。
「先生、大丈夫?」
それなのに、惚けた態度で心配そうに声を掛ける彼──
その時、私の大切なところを散々いじり回していた手は、何事もなかったようにあっさりと離れていった。
ほっとすべきなのに、今度は甚振られていたところがジンジンと疼いて、居ても立ってもいられなくなっていた。
もう少し、弄られていたら私は確実にイッていた。
周囲に気付かれてはならないと必死になって耐えていたのだ。
彼は、そんな私の心情を知りながら、まるで掌の上で転がすように弄んでいた。
こんなふうにすれば私が堕ちると確信していたのだ。
(……ハメたい。……彼の”あそこ”でむちゃくちゃに突かれたい……)
彼の意図など最初からわかっていたはずだった。
どんなことがあっても屈しないと心に決めていた。
しかし──
燃え上ったこの欲望は、もう抑え込むことなどできない。
「先生、家に行こう。……家でゆっくり休もうよ」
その言葉は、周りからすればただの何気ないやり取りにしか見えないだろう。
だが、それは明らかに性行為をしようという誘いの言葉──。
私には選ぶ権利など、もう無かった。
「……う、うん」
焦点の合わないぼんやりとした目で彼を見つめ、そう呟いてからコクリと頷く。
そんな私を見てニヤリと笑う彼──
ふらつく私を支えながら立ち上がり、まるで何事もなかったかのように会計を済ませ、店を後にする。
私は、もう何も考えられなくなっていた。
──今すぐにでも彼が欲しい。
そのことで頭がいっぱいになり、別れを切り出したことなど、とうに忘れていた。
彼の部屋に辿り着いた途端、盛りの付いた雌犬のごとく狂ったように彼を求める。
私は彼に負けてしまったのだ──。
その後、私は上になったり下になったりを散々くり返し、彼の精根が尽きるまで、その身体を徹底的に味わっていった。
~to be continued~