※この作品はR-18です。

性年のしがらみ   作:村上しんご

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第二十八話 教え子⑩

 あれほど身体を重ね、情熱的に愛し合ったはずのショウちゃんは、私の前からこつ然と姿を消した。

 全く前触れがなかったわけではない。

 

 私が癖にしてしまった人前での性行為──

 ショウちゃんは素直に受け入れていたように見えて、そのたびに少しずつ活気を失っていた。

 

 キラキラと輝いていたはずの、あどけなさは消え去り、姿を消す前には見る影もなくなっていた。

 

 公の場で、見せたくもない性器を剥き出しにされ、私にいいように甚振られる──。

 必死になって我慢してるのに、あの手この手を使って、”無理矢理”射精をさせられてしまうのだ。

 

 イッた瞬間は気持ち良さげでも、ショウちゃんはれっきとした男の子。

 人が大勢いるところで、そんな情けない姿を晒すことなど、我慢できるはずがなかったのだ。

 

 涙目になりながら絶頂を迎えさせられ、途方に暮れていたあの顔が今も忘れられない。

 はずかしめられたその姿は、まるで何も知らなかった少女が、抵抗もできずに犯されたあとのよう──。

 

 どこまでも控えめで、従順だったショウちゃんには、もう二度と会うことができない。

 

 どこに行ったのかは、誰もわからない。

 

 私は、ショウちゃんがいなくなったあと、その穴を埋めるように彼氏との性行為に、またのめり込むようになっていた。

 

「あぁっ! ……す、すっごぉ~い!」

 

 いつものように家庭教師の授業の為に、その部屋を訪れた私は、勉強そっちのけで机に手をつき、後ろから滅茶苦茶に突かれていた。

 

 捲り上げられた白いレースのスカート──

 

 純白のパンティは膝まで下ろされ、剥き出しのお尻を突き出した、だらしない格好”の私。

 丸見えになった”あそこ”には、すでに硬くなったものが突き刺さり、激しく出入りを繰り返している。

 

 苦しそうに悶えながら、崩れるように前屈みになり、その上の教科書やノートを散乱させていた。

 

 ギシギシと軋む机の音、それと共にヌチヌチと響く卑猥な音。

 さらに、それを掻き消すように、お尻に股間をパンパンと打ち付ける音と、私のなやましい叫び声。

 

 悲痛に喘ぐ私の姿を見下ろしながら、彼は一心不乱に腰を振っていた。

 

 激しく抜き差しされる、タケノコのような形をしたそれは、まるで”あそこ”を破壊しようとするかのように暴れまくっていた。

 

 しかし、ショウちゃんと人前ですることを覚えてしまった私には、何かがもの足りなく感じていた。

 

 けして、彼氏との行為に不満があるわけではない。

 私の初めてを奪ったのも彼だし、身体の隅々まで知り尽くしている。

 

 相手を辱めることが好きな彼は、人前でのプレイも否応なしに応じてくれた。

 それなのに、私の求めているものとは何かが違うのだ。

 

 確かに年齢はショウちゃんと同じだし、一つ一つの行為の仕方もぜんぜん上手い。

 

 しかし──

 

 彼には、ショウちゃんのような恥じらいや、嫌々流されるような気弱さがまるでなかった。

 サディスティックな側面を持った彼に、それを求めるのは無理なのかもしれない。

 

 彼と繋がり、感じているときでさえも、頭に思い浮かぶのは、いつも絶頂を迎える寸前のショウちゃんの顔──。

 あの、やりきれなさそうな、儚げな表情を思い浮かべると、自分もすぐにイッてしまう。

 

 気弱で控えめな男の子の、あんな”いじらしい姿”を、もう一度見たくて堪らない──

 

 何度、絶頂を迎えても、そんな想いは募るばかり──。

 彼氏との性行為に明け暮れながらも、私はそんな機会が訪れるのを虎視眈々と伺っていた。

 

 そんな日々を過ごしていたある時、チャンスは訪れた──。

 

 家庭教師の授業が終わった帰り道、私は気分を変えようと街へ向かっていた。

 電車に揺られながら繁華街へ向かっているその時、ついに見つけてしまったのだ。

 

 ショウちゃんに似の、可愛らしい男の子を──。

 

 ただ、顔立ちはそれほどそっくりというわけではない。

 しかし、どこから見ても頼りなさそうで、つねにオドオドとした様子は、まさしくショウちゃん。

 

 見た瞬間、強い衝撃が走った。

 鼓動が高鳴り、身体中から一気に汗が吹き出していく。

 

 頭の中には、こんな場所でしてはいけない妄想が、次から次へと浮かび上がっている。

 

 自分でも気づかないうちに一歩、また一歩と足が前へ進む。

 

 あいにく電車内は、まばらに人が混み合っているものの、それほど混雑してはいない。

 そんな中、何かに憑りつかれたように、ただ一点だけを見つめ人の間をすり抜けていく。

 

 気がつくと、私はドア近くの窓辺に立つ、その男の子の真後ろに立っていた。

 

 それほど混んでもいないのに、あとわずかで密着しそうな距離──。

 私より少し背の低いその男の子は、気配を感じた途端、すぐに身をすくめた。

 

 ビクビクと怯えて、額にはじんわりと汗を滲ませている。

 

(……こ、これだ……私が求めていたのは、この臆病さだ)

 

 居ても立ってもいられなくなった私は、押されてもいないのに、その子に凭れ掛かるように身体を預けていった。

 

「……えっ!?」

 

 その瞬間、その子の背中とお尻に、私の身体がピッタリと貼り付いていく。

 

 自慢できるほどのものではない。

 だが、女性の胸の柔らかさと、欲情して熱くなった股間の温もりは、きっとはっきりと伝わっているだろう。

 

 現に目の前のうなじと耳が、みるみるうちに赤く染まっていく。

 

 それでも、逃げようとも、身体を引き離そうともしない。

 ただ俯き、ばつが悪そうに肩をすくめている。

 

(いい匂い……クラクラしちゃう)

 

 私はクンクンと音を立てながら、目の前にある首筋の匂いを嗅いでいった。

 私の方が少し背は高いが、それほど差はない。

 

 少しだけ小首をかしげ、その肩に頭を近付ける。

 すると、肩口まで伸びた私の髪が、Tシャツからのぞく、むき出しの首回りをサラッとくすぐっていった。

 

「ひゃっ!」

 

 男の子は明らかに動揺していた。

 得体の知れない女が、ピッタリ身体を密着させて、自分の匂いをクンクンと嗅いでいるのだ。

 

 どう考えても普通ではない。

 何をされるのかわからないという恐怖で、頭の中はきっとパニックになっているだろう。

 

 しかし、あたふたしてはいるものの、はっきりとした拒否反応は示さなかった。

 

 ただ、時が過ぎるのを待ちながら、この場を何とか耐えてやり過ごそうとする──そんな思いがはっきりと伝わっている。

 

 それは期待通りの反応だった。

 嫌なのに何も言えず、ただひたすら我慢している姿は、まさにショウちゃんだ。

 

 心の中でニヤリと笑う私は、電車の揺れを利用しながら、その首筋にチュッチュチュッチュとキスを繰り返していった。

 

「あっ…………あっ……」

 

 首やうなじ、その肩口に唇が触れるたびに男の子からやるせない声が漏れる。

 

 汗ばんだその身体から漂ってくるのは、香水のようなきつい匂いではなく、芽吹いたばかりの花のような自然な香り──。

 

 こんな大胆なことをしてるのに、男の子は石のように固まり、身動き一つしない。

 小刻みに身体を震わせ、まるで魂が抜けたような表情で、口を半開きにしながらぼんやりと立ち尽くしている。

 

「ハァハァ」と呼吸を弾ませ、今にも泣き出しそうな、やるせないその顔──

 この子にしてみたら、自分がどうしてこんな状況になっているのかさえ、わからないだろう。

 

 その最中にも小鳥が餌をついばむように、唇は吸い付いては離れていく──。

 偶然だとでも思っているのか、男の子は外の景色を遠い目で眺め続けている。

 

 その不安そうで頼りない眼差し──

 私は男の子の反応を確かめるように、太股の辺りをさり気なく触り始めていった。

 

「……わっ!」

 

 一瞬の驚きとともに、その手が私を拒んだ。

 しかし、偶然を装った私の手は、触れてはすぐに離れていく。

 

 まるでいたちごっこのように、触れようとする手と払いのける手。

 その手がだんだんと、大切なところに近付いているのを、この子は気付いているのだろうか。

 

 恥じらいながらも、必死に操を守ろうとしているその健気な姿──

 

(……もう、我慢できない)

 

 私は大胆にも、そんな男の子の股間のもっこりとした部分をむんずと掴んだ。

 

「えっ? …………えぇーっ!?」

 

 その瞬間、血の気が引いて真っ青になった男の子。

 信じられないといった表情で、初めて私に目を向ける。

 

 呆然としたその様子は、まるで天変地異でも起こったかのようだ。

 私はうっすらと微笑みながら、掌の中のプニプニしたものを、ゆっくりと揉みしだいていった。

 

「や、やめて……」

 

 初めて発したその声は、まるで蚊の鳴き声のようにか細かった。

 周りを気にして、大きく声を出せないのだろう。

 

 私の手を掴んで止めようとしてはいるものの、それにもまるで力が込められてはいない。

 それどころか、全身がブルブルと震え、立ってることすらおぼつかない。

 

 私は膨らんだところを構わず揉み続け、男の子の耳元で甘く囁いていった。

 

「お姉さんにまかせて……気持ち良くしてあげるから……」

 

 その瞬間、男の子の動きがピタリと止まる。

 しかし、今、この子の耳に、その言葉は届いていないようだった。

 

 虚ろな目をして涙を流し、どうにかして私の手を退けようと懸命になっている。

 侮辱されているのに、どうすることもできない自分に、悔しさを隠しきれないその様子。

 

 だが、柔らかかった手の中のものは、芯の部分が硬くなり、少しずつムクムクと大きくなっている。

 

 何もかもが、私の期待通りだった。

 

 嫌がっている相手を、屈辱の中で気持ち良くさせ、快楽の虜にさせる──

 それこそが、心の奥で求めていた私の欲望なのだ。

 

 感情が高ぶって、もう自分を抑えることなどできない。

 

 身体をピタリと密着させて首筋に続けるキス──

 揉んでいるところがギンギンになった途端、私はズボンのファスナーを下ろし、中からそれを取り出していった。

 

 皮を被っているのに、頭の部分が少し大きい、キノコのようなその形。

 それが剥き出しになった瞬間、発酵したチーズのような臭いが辺りに漂い始めていく。

 

 ショウちゃんより少し大きく感じるが、彼氏に比べればまだまだ小さい。

 遮るものを失って、縦横無尽に激しく揺れ動いている。

 

 男の子は、もう抵抗するそぶりさえ見せなかった。

 今の自分の情けない姿を悲観するかのように、大粒の涙をボロボロとこぼし、窓の外をただ呆然と眺めている。

 

 私がそれを掌に包み込むと、歯を食いしばり、身体までカチコチにさせていく。

 

 掌から伝わってくるのは、火照るような熱さと、はち切れそうなほどパンパンになった漲る力──。

 私はやんわりと握ったそれを、形に沿って上下に扱き始めていった。

 

「あっ……や……やめてぇ……あぁ」

 

 その時、男の子の口からすすり泣くような声が漏れた。

 やり切れない想いを漂わせつつも、どこか心地よさげなその声色。

 

 それを繰り返すたびに、手の中のものは硬さと温みを増し、先端からネバネバしたものがジワジワと溢れていく。

 険しかった顔からは徐々に力が抜け、身を委ねるように寄りかかり、虚ろな瞳でハァハァと息を荒げていく。

 

 その子を後ろから抱え込むような体勢になった私は、様子を伺いながら、それを淡々と扱き続けていった。

 

 ガタンゴトンと走る電車の音──

 少し騒がしい車中に、手淫のリズムがシュッシュ、シュッシュと響き渡る。

 

 こんな卑猥なことをしてるのに、誰も私たちの行為には気付いていない。

 

 ドア付近のこの場所は、もう二人だけの特別な世界。

 朦朧としながら窓の外を眺める男の子は、完全に私の手中に堕ちている。

 

 もはや、射精は時間の問題だった。

 生まれたての子犬のようにプルプルと震え、遠くを見つめるその瞳には景色などまるで映っていない。

 

 出すことを躊躇っているのか、身体をそわそわと揺らしながら、浅い呼吸をひたすら繰り返している。

 額から汗をダラダラと流し、泣き出しそうなその表情。

 

 ──だが、焦る必要などない。

 強弱をつけて、イクかイカないかのギリギリのラインを保ち、男の子の反応を存分に楽しむのだ。

 

 私は男の子の様子に背筋をゾクゾクさせながら、硬くなったものを甚振り続けていった。

 先の部分を爪先で軽めに引っ掻いたり、カリの部分だけを握り、手首を捻ってクルクル回す。

 

 掌に包み込まれたそれは、汗と粘膜でヌチャヌチャと卑猥な音を立て始めている。

 

 その時だった──

 

「……うっ……う゛ぅ────っ!」

 

 男の子の口から切羽詰まったような声が漏れる。

 それと同時に、白く濁った液体が昇降口のドアに、ビュッビュビュッビュと勢いよく打ち当たっていった。

 

 放出されるそれを見ながら、何もかもが終わったかのように途方に暮れる男の子。

 悔しそうにボロボロと涙を溢しながらも、虚ろな瞳で身動き一つせず、ただ呆然と佇んでいる。

 

 絶頂の余韻に浸ってでもいるのか、心ここにあらずの抜け殻のようなその状態。

 肩で大きく息をしながら、崩れるようにその場にペタンとへたり込んでいった。

 

 私はその状況を見て、心の中でほくそ笑んでいた。

 その子を無理に立たせ、少し萎み始めたそれをズボンの中に仕舞い込む。

 

 そして、愛おしむように身体を抱きしめ、その肩口に頬擦りを繰り返す。

 

 男の子は、もはや抵抗する気配もない。

 私にされるがまま、すべてを受け入れるように身を任せている。

 

 その時、電車が次のホームに滑り込んだ。

 目の前のドアが開き、私は男の子の手を引いてその駅で降りた。

 

 朦朧とする男の子は、まるで考えることを止めてしまったかのように、私の思うがままになっている。

 これから自分が、どんなことをされるのかさえ気付いていない。

 

 手を引かれるまま、朦朧とした足取りで私の後をついてくる。

 

 まだ明るい日差しが差し込む日中だというのに──

 私たち二人は迷うことなく、ラブホテルの門をくぐっていった。

 

 

 

 

 

 

 

             ~to be continued~

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