「あ…………あぁ~…………あっ!」
ハジメのすすり泣くような声が、薄暗い部屋の中に、時おり激しく響いていた。
ロマンチックなBGMが、心を落ち着かせるように静かに流れている。
だが息を荒げ、激しく悶えるハジメの耳には何も届いていない。
胸のあたりで、ゆっくりと動いているヤスコの頭を夢中で撫で回し、身体をビクビクと震わせている。
今にも泣き出しそうなその顔は、切なげでありながらも、どこか幸せそう。
唾液の滴るヤスコの舌先が、素肌の上をチロチロと滑り、敏感な部分に近付くたびにその手に力がこもる。
生まれたままの姿で大の字に寝そべり、彼女に身を委ねる姿は、まるで下女に奉仕させる大貴族のようだ。
女性が男に尽くすことに疑いすら持たず、それを満足げに受け入れている。
だが、ヤスコの表情は、不満げではない。
彼の隣に寄り添いながら、その上半身に覆いかぶさって愛撫を続ける。
身悶えるその様子に優しく微笑む顔は、むしろ満足げで慈愛に満ちていた。
タラコのように大きな唇から突きでた舌が、彼の胸のあたりをゆっくりと這いまわる。
それは乳首に向かって近付いてはいるものの、色の変わった部分に差し掛かると、すぐに離れてまた遠くから始まっていく。
股間から伸びて突き出たものは、ヤスコの手に握られて、ゆっくりと上下にしごかれている。
ハジメはもどかしさに胸を締めつけられながらも、自ら動くという気にはなれなかった。
愛情たっぷりのヤスコの行為が、堪らなく心地好い。
彼はこの時、彼女との体験に憑りつかれてしまった理由に、ようやく気付いた。
彼女が行う一つひとつの行為には、愛情が溢れている。
そこには、相手を気持ちよくさせてあげようという思いと、大切なものでも扱っているような労わりが、まざまざと滲み出ていた。
肌と肌が触れ合う感触ですら優しさに満ちていて、胸の奥がじんじんと熱くなっていく。
それは、ただ欲望を満たしているだけの営みではない。
愛しているという思いが、はっきり伝わっていた。
気付けば、彼女の頭を抱き寄せる手に力がこもっている。
慈しむように撫でるその手にも、いつしか同じ想いが宿っていた。
「ヤスコっ……! ヤスコぉ……!」
そう叫びながら、瞳を閉じて激しく身悶える。
ヤスコは彼のそんな様子を伺いながら、その乳首を大きな唇でパクッと咥えていった。
「あっ…………あぁ~!」
ハジメはそれだけで意識が飛びそうになっていた。
プニッと吸い付く柔らかな唇──。
口の中は思った以上に温かく、ヌルヌルしたものが乳首の周りをゆっくりと這いまわっていく。
あそこを包む彼女の手は、その反り返った形に沿って、上下に優しく動き続けている。
力加減も絶妙で、痛いわけでも、刺激をまったく感じないわけでもない。
むしろ肉付きのいい手の感触が、快感を呼び込んでいる──。
そして、上半身にのしかかる彼女の重みが、なぜか安心感を与えてくれた。
ヤスコの中に埋もれるまで、なんとか持ちこたえようと思っていた。
だが、もうそれどころではない。
舌先で乳首をピンピンと弾かれ、切ない思いが急激に込み上げている。
ハジメは険しい顔をしながら、ヤスコの身体をギュッと抱きしめていった。
すると、”あそこ”をしごいているヤスコの手の動きが、急に速くなる。
「……うぅ……で、出るぅ────っ!」
彼の叫びと共に、ヤスコの手に握られたものの先から、白く濁った液体がビュルビュルと飛び出していく。
その瞬間、ヤスコは少し驚いた顔を見せる。
噴水のように舞ったそれは、天井にまで届くほどの勢いだった。
だが、手の動きは止まらなかった。
少しずつ、速さを失くしていくものの、しっかり上下に動き続けている。
しかし、そのゆっくりとした動作は、中に詰まったものを絞り出しているようにも見えた。
ヤスコは、手に握ったものが次第に落ち着きを見せ始めると、それを口の中にパクっと咥え込む。
そして最後の一滴まで搾り出すように、チューチューと吸いながら、唇をスライドさせて出したり入れたりを繰り返していった。
「また、いっぱい出たねぇ~」
そう言って微笑む彼女を見た瞬間、胸の奥からじんわりと感動が込み上げる。
少しスッキリとした気持ちにはなっている。
だが、彼女と繋がりたいという気持ちが押さえ切れない。
「ヤスコ、挿れさせてぇ~。……僕、もう我慢できない」
そう言って唇を奪おうとするハジメ。
ヤスコはその姿を見てフッと微笑んだ。
「じゃあ、しちゃおうか?」
そう言って唇を合わせると、彼女はまたハジメをベッドに押し倒していった。
そして、「プッチュ、プッチュ」と卑猥な音を響かせて、ハジメに覆いかぶさるように馬乗りになっていった。
ハジメの小柄な身体を、その巨体が覆い尽す。
しかし、全体重を預けているわけではない。
大きな身体がたしかに覆いかぶさっている──それでも彼女は、彼を気遣い、わずかに身を浮かせている。
その脚が、小刻みに震えていたのをハジメは見逃してはいなかった。
そう──彼女は、本気でハジメを想っている。
こんな些細なことにまで、気を配るほどに。
見下ろしているその瞳も、どこまでも優しかった。
「ふふ……もう、元気になっちゃったんだね」
そう言って片膝を立てる彼女。
その手が、再びカチカチになったものを優しく握る。
力強く伸びたものの先にあるのは、陰毛にもっさりと覆われた彼女の股間。
割れ目が大きく口を開き、ピンクの中身を覗かせている。
そこからキラキラと輝く粘膜が、糸を引きながら垂れて、血管を浮き立たせたものにゆっくりと絡み付いていった。
伝って流れていくそれは、彼女の温かさをほんのりと伝えている。
トロトロと流れていく感触が、彼の興奮をさらに高めていく。
そして、ゆっくりと沈んでいくヤスコの腰──
ニュルっと飲み込まれた瞬間、それは全体を締め付ける圧迫感に包まれていった。
(ああ……これだ……ぴったりとハマったこの感覚)
ハジメの表情はとても満足げだった。
結合したところを、うっとりとした眼差しで眺め続けている。
大切なところが根元深くまで突き刺さり、中でキュッキュ、キュッキュと締め付けられている。
ようやく彼女と一つになれたと実感が湧いた。
興奮してるはずなのに身体中から力が一気に抜けていく。
そして、ゆっくりと動き始める彼女の腰。
ヌチュヌチュと響く卑猥な音と共に、彼女の中に入ったものが、出たり入ったりを繰り返していく。
力強く反りかえったものが、周りのビラビラをプルプルと揺らしながら、しっぽりと濡れた穴の中に埋もれたり、粘膜に濡れて再び現れる様子は、あまりにも淫らでいかがわしい。
そして、それが艶やかなピンクの部分に抜き差しされて、少しずつ赤みを帯びている。
息を荒げるハジメは今にも泣き出しそうな顔で、ベッドのシーツをギュッと握りしめていた。
彼女の中があまりにも刺激的すぎて、すでに我慢など出来なくなっていた。
その力強い圧力だけでも耐えられないのに、ヌルヌルと蠢く中の具合が、押し寄せる波のように射精を促している。
まるで、気持ち良いところを知り尽くしたように、敏感なところを刺激し続ける感触は、子種を奪い取ろうとしてるとしか思えないほどだった。
そんな彼の様子を見下ろしながら、ヤスコは息を弾ませ、微かな喘ぎ声を漏らし、その巨体を必死に揺らし続けている。
気持ち良さげな彼を見つめる優しい眼差しは、まるで我が子を慈しむ母親のようだった。
「ハァハァ……や……ヤスコ……ぼ……僕……もう……」
必死な形相で声を絞り出すハジメ。
その言葉は、何を伝えようとしているのか一目瞭然だった。
ヤスコはそんな彼の辛そうな顔を見てニッコリと微笑む。
「……い……いいよ……中に出して……」
腰を動かし続けながら、まるでそれを待ち望んでいたかのように言い切るヤスコ。
少しの躊躇いもない、その言葉で──ハジメは悟ってしまった。
彼女は、ただ快楽を求めているわけではない。
この行為の意味は、もっとはっきりしていた。
──子供を宿すためのものだ。
だが、その愛は疑いようもなく本物だった。
彼女は、ハジメの子をその身に宿すために、彼がより深く満たされるよう、惜しみなく想いを注ぎ込んでいる。
その一つ一つの仕草に、計算ではない温もりが確かにあった。
愛されている──そう思わずにはいられないほどに。
そして同時に、彼女は求めている。
彼のすべてを、余すことなく受け取ろうと。
その命の証を、確実に自分の中へと迎え入れるために。
その愛の深さに、ハジメは戸惑っていた。
ただ欲望に身を任せていた自分とは、あまりにも掛け離れていたからだ。
実はハジメが憑りつかれていたのは、単なる肉体への欲望ではなかった。
ヤスコから感じられた、あまりにも深い愛。
そのぬくもりに、知らぬ間に溺れていたのだ。
「ハァハァ……う、うん……」
ハジメはそう言って、ヤスコの身体を自分の元へと引き寄せる。
もう、迷うことなどなかった。
この想いを拒む理由など、どこにもない。
彼女の唇を奪い、夢中で舌を絡ませる。
「……うぅ、うぅ──────っ!」
合わせた唇の隙間から、断末魔のようなハジメの叫びが漏れていった。
それと同時に、ヤスコの子宮口に熱くたぎるものが、勢いよくビュッビュビュッビュと打ち当たる。
二人は強く抱きしめ合ったまま、言葉を交わすことなく見つめ合う。
その瞳に映る想いだけで、互いの心を確かめるように。
やがて──
示し合わせたかのように、そっと唇を重ねた。
離れることも忘れたまま、互いを求めるように、深く、そして長く。
~to be continued~