ラスボス倒して世界を救った死を操る魔法少女の僕♂が終末思想教団の教祖にさせられた 作:ことばの目
ライブ会場の大画面から映像が流れる。
「────不況や天災が続く荒れた世に追討ちをかけるようにラスボスは現れた。」
荒れた景色とよく分からない黒い影のイメージ図が画面に映し出される。ナレーションはファメちゃんがしていた。
「────ラスボスの力は強大で、天蓋の檻と呼ばれる闇の壁によってこの世界は次々と分断された。」
僕はぼんやりと映像を見つめる。
そういえば天蓋の檻は大体国を分けるみたいに張られてたなと。
張られた時は多分小さい頃だったし、戦う事に必死でよく分からなかったけど。
「────そんな世界の闇を払って下さったサナ様!」
ワァアアアアアアア!!
急にスポットライトを僕に当てないで!眩しい!
「────どんな魔法少女も敵わなかったラスボスに果敢に立ち向かい、見事に悪を滅ぼしたのです!」
「いやいや……僕だけの力ではなくファメちゃんも……。」
小声で否定する。
「サナちゃんは本当に謙虚なんだから……神。あとこの台本書いたのアタシじゃないし。」
書いた責任者ー!今すぐ出てきなさーい!
出てこられても何もいえないだろうけど。
「────強く美しいサナ様は【死】の力を操る。ひとたび敵に触れれば、跡形も無く消え去るのです!」
……デマ流された!頑張れば出来るかもしれないけど、この力使われた相手は少しずつ死に蝕まれるグロ系能力なんだって!だから使いたくないんだよ!
ファメちゃんの光とかの魔法で誤魔化されてた影響で、こんな理解をされていたなんて……。
書いた人はこんな認識なの!?
やっぱり、責任者を……?
訂正しようか悩んでいると、もっととんでもない言葉が聞こえてきた。
「────前々から要望の強かった【死】の幸福の布教を本格的に始動します!」
ワァァァァアアアア!!
ナニソレ……?
知らない内に知らない概念が当たり前になってるんですけど……!?
「────しかしあの断罪の聖女が布教の妨害を幾度としてきているのは周知の事実でしょう。」
やっとちょっと聞いたことのある単語が来た……。
有名な魔法少女の子だよね…?
悪い子とは聞いたことないし、妨害されて当然なのでは!?
「────我々はここで、断罪の聖女の打倒を宣言します!」
ワァァァァアアアア!!!
ドォンと壁の一部が破壊される爆音が響く。
会場後方の出入り口付近の壁が、見事に破壊されており外の光が差し込んできている。
騒がしかったはずの会場が一瞬で鎮まり、穴から見える人影に注目が集まる。
「やはり、邪教には制裁が必要なようですね。」
透き通るような声を響かせて、断罪の聖女がそこに立っていた。
「もうご本人来ちゃったよ……。」
思わず声に出ちゃった!
「初めまして。魔法少女サナさん、だったかしら?」
コツコツと優雅にこちらに歩み寄ってくる彼女。
いやいや何か言わないと……でも何を言うんだ?知らない分からないなんて言ってもただの言い訳にしかならないよね?でもここで無言なのもどうかと思うしサッとカッコよく何か受け答えするべきで……。
「サナちゃんに何か用?」
いつの間にかステージまで上がって来ていた断罪の聖女。
僕と彼女の間に割り込むようにファメちゃんが立ち塞がっていた。
「あら、いつかの雑魚さんじゃない?サナさんのお零れに預かれただけの金魚のフンさんだったかしら?」
「相変わらず口が悪いねそっちは。そんな穢らわしい存在はサナちゃんに近づかないでくれる?」
一触即発の空気。
僕が流石に何か言わないと……。
「えっと……ケンカはやめて……?」
「いえいえ、そちらが先に喧嘩売って来てるのですよ?ワタクシはただ間違った考えを正そうとしているだけ。」
「へぇ……お前の腐った脳みそで考えた考えが正しいなんて事、あるんだね。」
悪化した!!
断罪の聖女は挑発的な態度のまま、クルッと踵を返した。
「まあ今日は挨拶だけでも、と思ったら聞き捨てならない言葉が聞こえて思わず入ってしまっただけですもの。」
「ちゃんと馬鹿の躾をなさい、魔法少女サナ。」
飛び掛かろうとしたファメちゃんを僕が羽交締めにしているうちに、断罪の聖女は帰っていった。
これから僕はどうすればいいんだああああ!!