ラスボス倒して世界を救った死を操る魔法少女の僕♂が終末思想教団の教祖にさせられた 作:ことばの目
夢オチです。
今日は3月7日。僕の誕生日。
だからと言って何かある訳でもない憂鬱な日。
信者にもファメちゃんにも特に言ってないので、誰かが祝うとかそんな事もない。
ただ歳を取る事を実感させられるだけ。
そんな嫌な事から逃げるように、僕は布団に入った。
夢を……夢を見ていたんです。
夢の中の僕は────ヒャッハーなモヒカンチンピラ魔法少女だったのです。
「ヒャッハァァァァァァー!!テメェら全員皆殺しだァ!!!」
「流石シェルブリッ○のサナさんだ!」「その辺の魔法使いなんて目じゃないぜ!」
シェルブリッ○って何……?
意味の分からない謎用語が飛び出ても、僕は気にしない。
僕はただ奪われた幸福を、奪い返すのみ。
突然の大隆起によって形成された大地の上に存在している、僕の住んでいた世界。
崩壊の爪痕が残された地区から、復興を果たした地区まで僕達は進軍する。
僕の仲間は、虐げられ苦渋をなめてきたんだ。
だから敵をいくら殺しても、まだ足りない。
世界が良くなるまで、この【死】の力でやり返してやるんだ。
「お前がシェルブリッ○のサナだな?」
突然、ラーメンから声をかけられる。
まるで、食品サンプルみたいな食べ物のラーメンが浮いていて、話しかけてきた。
「んだテメェは、知らねぇラーメンが話しかけてんじゃねぇ。」
「お前は知らなくても、俺は見間違える訳がない。」
ラーメンは麺を器から伸ばし振り回し、何か印を結ぶように動かす。
「俺の仇の顔、忘れる訳がないだろ!」
ズドン!と大きな音を立てて空から剣の形をした、巨大な何かが降ってきて、地面に突き刺さる。
剣の一部が開き、ラーメンがそこに乗り込む。
「ウェイクアップ。」
剣が変形し、巨大なロボになった。
「ア○ター使いか!?」「魔法使いだろ。」「でもあんな巨大ロボ見た事ないぜ!?」
慌てふためく仲間達。
「テメェら下がってろ。ここは僕1人で充分だ。」
僕は、仲間達を庇うように前に出る。
「おう、ラーメンさんよぉ。ここまで大層なモン持ってきたんだ。どんな雑魚殺されたか、聞いてやってもいいぜ?」
「っ……!お前は!俺の相棒のセグウェイを殺したんだ!確かに俺とアイツは水と油。相容れなかった。それでも、相棒としてやってき……なっ!?」
僕はロボに近寄り、関節部付近のパーツを「殺す」。軽く四肢を捥ぎ、ロボは身動きの取れない状態にした。
さっき開いていた搭乗部を「殺し」、強引に開く。
「水と油の混合物の分際で、舐めた口きいてんじゃねぇ。」
僕はラーメンの器を掴みながら、睨みつける。
「やっぱ、こういう機械でもお前は殺せるのか。だが、俺のような無機物は殺せないだろ?」
「くそっアイツ、サナ様の弱点を知ってて来やがったな!」
得意げなラーメンに対して、歯噛みする仲間達。
僕はこんな事もあろうかと用意していた、箸を取り出す。
「貴様、まさかっ……!」
「流石サナ様!食べるなんて思いつかなかったぜ!」
盛り上がる仲間達を横目に、ラーメンを完食。器を地面に叩きつけ、砕いてやった。
「テメェら!こんな奴なんて敵じゃねぇ!このまま突き進むぜ!」
ウオォォォォォォ!!
そこで目が覚めた。
時計を見ると誕生日は終わっており、深夜の真っ暗闇の中だった。
こんな悪夢を見るなんて、いつもに増して最悪な誕生日だなと思いながら、とりあえず適当な食事でも取ろうと起き上がるのだった。