ラスボス倒して世界を救った死を操る魔法少女の僕♂が終末思想教団の教祖にさせられた 作:ことばの目
アタシは、断罪の聖女と対峙してる。
昔から偉そうで人気者だったアイツは、またアタシの前に立ちはだかってくる。
「あら、ファムさん?今にも一般人に手を出す勢いでしたのに。来ないんですの?」
「アタシはファメだっ!」
「あらあら、呼び方の方が気になるのね金魚のフンさんは。」
聖女の会を背に呑気に話しかけてくる断罪の聖女。
こちらもサナ信者仲間を背にしている状況。
「下手に攻撃したら、真っ先に一般人を狙うのはアンタの方なんじゃない?卑怯者。」
「目には目を、歯には歯を。ルール無視の貴方には丁度いいのではなくて?」
アタシだって直接狙ったりはしない。でも、断罪の聖女は敵と認識すれば容赦しない奴だ。
空を飛んで高速で移動し光の剣で素早く切りつけられたら、アタシの魔法じゃ仲間を守る方法がない。
光や火の魔法を遠距離から飛ばすのは得意だけど、今の状況は不利でしかない。
いつもみたいに、サナが前線で戦ってくれたら楽に相手出来るんだろうけど……襲撃しに来た時、なんとかサナ説得して殺しとくべきだった。
取り返し付かない事より目の前の敵をどうするかを考えなきゃ。
「貴方は、手元から火を放つだけの低級魔法少女だったかしら。サナさんに助けられてばかりで何の成長もしてないんでしょう?」
また挑発してきて……マジぶっ殺す。
仕方ない。挑発に乗ってやるしかない!
「あの時とは違うんだよアタシも!」
魔法を同時展開。火種を腕の周りに配置する。
「ガトリング!!」
ドドドドドドドド!!と火の雨を食らわせる。
爆煙が断罪の聖女を包む。
「見たことない技でしたが……やはりその程度ですか。」
剣で火をいなしたらしい断罪の聖女は、剣を振るい爆煙を払う。
構わず火を浴びせ続ける。
サナが言ってた事が本当なら、この作戦で一泡吹かせる事は出来るはず。
「はぁ……本当に芸のない方。この程度の攻撃でワタクシを倒せると思ってるのかしら。」
気怠そうな断罪の聖女。この攻撃ではかすり傷も負わせられそうにない。
まだなの……?
火を放ちながら気が急く。
ここ最近は魔法少女の戦いなんて無い。魔法をここまで放つのも久々だし、サナの言ってた事が本当かどうかも試した事はない。
それでも今のアタシにはこの作戦しかない。
「じゃあこちらから攻めますわ。」
急に目の前に断罪の聖女が現れる。
火で目眩しをしつつ後ろに下がると、さっきまでいた場所の煙が粉微塵に切り刻まれていた。
いつの間にか周囲から民間人は離れてて、巻き込む心配が無くなったから断罪の聖女は攻撃し始めたんだろう。
遠くから撮影はされてるだろうけど、ここはもう戦場になった。
これでもダメならもう……!
負けを覚悟しつつ、弾幕を張りながら逃げの一手に徹する。
断罪の聖女は余裕そうに追いかけてくる。
アタシの弾幕を剣で弾きながら、まるで優雅に踊るような動きで接近して切りつけてくる。
「もう逃げる事しか出来ないのかしら?」
その時、あの慣れた気配を感じる。
!?来た!!
アタシは急いでそこら中に弾幕を張った。
周りが見えなくなるくらいに爆煙を充満させる為に。
「何か待ってたみたいだけど、来たのかしら。面白いといいのだけれど。」
煙が晴れた場所には複数の黒い影の塊。ラスボスが支配していた頃は魔法少女が倒すべき相手だった存在、魔物が立っていた。
グォアアアアア!!!
謎の叫び声を上げながら断罪の聖女に襲いかかる魔物達。
「なっ!?コレ、まだ存在してたの!?あの子、魔物でも操れるようになった訳!?」
困惑しながらも次々と切り伏せていく断罪の聖女。
しかし魔物の勢いは治らず、次々に地面から生えてくる。
サナが言ってた事。それは「今までは自然発生だった魔物が、これからは魔法少女同士が戦う状況になったら生えてくる事になった……らしいよ……。だから誰かと戦わないでね……。」だ。
私が操ってる訳でもなく、そうやって生えてくるものななったらしい。
理由はよくわからないから半信半疑だったし賭けだったけど、サナは嘘なんて付かない。神。
断罪の聖女が魔物に気を取られてる隙に、アタシは建物の影に隠れて魔法陣を展開する。
地面から生えてくる魔物に気を取られてるから、上空からの攻撃には少しでも対応は遅れるはず。
空からの光を集め収束、更に強化。アタシの最大奥義、食らえ!!
「サン・ガン!!」
ドォォォォォォォォォン!
光がそこら中を包み込む。
魔力を相当使って、体が重い。
それでも物陰から出て断罪の聖女に当たったか確認しなければ。
……魔物の残骸しか見当たらない。
「思ったよりはやるようね。こんな街中で使う技じゃないわ。遠距離に魔法陣張れるようになるなんて、やるわね。」
「でも……この規模の技だと仲間が近くにいるのと同じ。手加減か、或いは一点集中で放ったのが貴方の敗因。」
まるで元気そうな断罪の聖女の声。
それが背後から聞こえてきて────。