ラスボス倒して世界を救った死を操る魔法少女の僕♂が終末思想教団の教祖にさせられた 作:ことばの目
────時間は少し巻き戻って、魔法少女の激闘が始まる前。
「あら、ファムさん?今にも一般人に手を出す勢いでしたのに。来ないんですの?」
ファメちゃんと断罪の聖女が睨み合ってる……。
真斗の僕ではどうすることも出来そうにない。
僕は静かにファメちゃんから離れる。
「アタシはファメだっ!」
「あらあら、呼び方の方が気になるのね金魚のフンさんは。」
これは止める方が難しい……とりあえず一旦離れるしかない……。
周囲の人達も、聖女の会も良くない雰囲気を感じとり距離を取ろうか悩んでいる。
この隙に、聖女の会に何か聞き込みでもしようか……。
そう思いつつも何て声を掛ければ……?
そんな事を考えながらファンのみんなの退避を確認しつつ、聖女の会の方に移動する。
「おう、兄ちゃん。こっち来いよ!」
アッ、向こうから声カケラレタ……!
「ハ、ハイ、ナンデショウカ……。」
戦々恐々としながら、聖女の会の方へ退避する。
ガスマスク越しにでも分かる、ニヤニヤした雰囲気で見つめてくる高身長でムキムキで今にも殴りかかってきそうなヒャッハービジュアルな男達。
僕より大きい人達に囲まれ攻撃されたら逃げようもない……。
ガッと肩を組まれ、背中をバンバン叩かれながら、口々に言われる。
「魔法少女羽交締めにするなんて度胸あるなぁ!」
「尊敬するッス」
「お前のような勇者を初めてみたぜぇ!」
びっくりするくらい歓迎された。
「まあ、たまたま……?」
本当の理由なんて言える訳なく適当に答える。
「たまたまで出来る事じゃないッスよ……!」
「俺たちなんて魔法少女をビジュアルで威圧して、対抗してるってのによぉ!兄ちゃんは凄いなぁ!」
「こうでもしないと魔法少女に意見なんて出来ないぜぇ!」
そんな理由でそんな格好してたんだ……。
まあそれだけ魔法少女の力が凄く、脅威である事は否定しようがない。
「兄ちゃんはどうやってその度胸身につけたんだ?」
「聖女の会に入ってその勇気を生かさないかぁ?」
「筋トレして強くなれば、さらに良くなるぞぉ!いいプロテインも教えてあげるゾ!」
思った以上に好意的に接されて混乱しつつ、自分が聞きたい事も聞かなければ。
なんで羽交締め出来たかって話題から逃げる為にも……。
「えっと……聖女の会も行方不明の人が居るって言ってましたけど……。僕たちも、それの原因探る為に会いに来たんです。」
「え?そっちも何も分かってないんかぁ?」
「マジか、あの2人の戦いなんなの?」
「俺達は、何か超常的な力で人が消された痕跡があったから魔法少女の犯行じゃないかって事だけは分かってるッスけど……。」
「人が居ただろう痕跡の付近が白くなってるだけで、いつ頃消えたのかも分からないんでちゅ。」
魔法少女の力は人によって千差万別。
普通じゃ説明出来ない事象を、状況証拠で魔法少女と判断するしか出来ない。
しかも魔法少女を判別するような道具なんて存在しない。
魔法少女同士なら、魔力の流れなどで気づく事もあるという程度だ。
相当厄介な状況だ……。
「兄ちゃんも大変だったんだな!」
「まあ何とかなるよなお互い!ガハハ!!」
……このノリ苦手だなぁ。
また、バンバン叩かれながら困っていると、さらに悪い言葉が聞こえてきた。
「……なあ兄ちゃん。アレ……魔物が湧いて来てるんだけど……。」
さらに面倒な事になってるううううう!!
ファメちゃんに釘刺す為に教えた「魔法少女同士が戦うと魔物が出る」ってのが悪用されてしまい、僕は頭を抱える。
しかも上空に魔法陣展開してやる気満々すぎる!
「早く遠くに逃げて下さい!!その辺の人たちも早く!!!巻き込まれますよ!!!」
急いでみんなと一緒に逃げる。
そして僕は、急いで入り組んだ路地に入り隠れて。
「チェーンジオン!ワン!ツー!スリー!」
ファメちゃんの魔法が辺りを光で包んだタイミングに変身。
勝負は恐らく決まった。急いで助けに行かないと。
2人が戦っていた場所に急いで戻ると、断罪の聖女がファメちゃんの背後に立っていた。
一気に距離を詰め、断罪の聖女の剣の柄を掴み投げ、武装解除させる。
「はい、終わり!僕らの負けなんで終わりです!!」
「……貴方、いきなり現れてあっという間に剣を奪うなんて……。ワタクシに実力差を見せつけたいの?」
何か呆れたような様子で断罪の聖女が話しかけてくる。
「サナ……アタシは……まだっ……。」
「ハイ黙って!終わりね!!」
これ以上面倒な事にはなりたくない僕はさっさと撤退するのだった。