※この作品はR-18です。

ゴールデンマッドドッグ イン プリズン   作:神剣狩刃

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 ネタバレになりますが飲尿表現があります。苦手な方はご注意ください。


7-02 犬土尿来

 礼の核心を突いた発言に涙を流しながら膝を崩す。

 

「俺……実感しているんです……衰えを……」

 

 歳を取れば身体的にも精力的にも衰えがあるのは当然だろう。しかし、俺が危惧している衰えは自然の摂理に従った受け入れられるものではなかった。

 

「俺は……手にしすぎてしまったんです……欲しかったものを……失ってしまったものを……」

 

 俺はあらゆるものを失ってきた。家族、青春、友情、愛情、記憶……それらを取り戻し、手に入れ、埋め合わせるがために『金色の狂犬』として東奔西走してきた。その日々は決して楽しいものではなかったが、その名に恥じぬ輝かしい日々であった。

 

「だから……もうこのままでいいかなって思い始めてしまっているんです……」

 

 しかし、地位と家庭を手に入れてしまった俺は保守的になってしまっていた。それらを失いたくないと、二度と手の届かない場所に行ってしまわないようにと。実力は成長していったが、あの頃の剥き出しの野心は無くなっていた。故に『金色の狂犬』は衰えていった。俺を表す言葉でもあるソレが風化して欠けていくのが分かった。

 

「だから……この幸せが続くなら、『()()()()()()()()()()()()んじゃないかなって思ってしまったんです……」

 

 なのに、安心感と幸福感を覚えてしまっていた。それに気付いてしまってから、俺は焦りだした。何かしなければいけないのに、何をすればいいか分からない。進んだ所で答えがあるか分からないのに、立ち止まったり戻ったりしていては確実に失う。そのどうしようもない状態こそが、空っぽで何もない俺なのだ。

 

「……礼、俺はどうしたらいいんでしょうか……? 何したらいいか分かんないんです……」

『……ねえ、僕……どうしたらいいかな……? 何したらいいか分かんないよ……』

 

 かつて全てを失って絶望していた俺と重なる。あの時は礼が導いてくれたから何とかなったから、今回も礼にすがって──

 

 

 ──顔にモシャリとした何かが押し付けられる。

 

「……まんこが舐めたいから舐めたような発言をしているように見えたのでな」

 

 鳶色の縮れ毛が目前にある。俺の癖だから生やしてほしいと頼んだら一発シバかれて、でも生やしてくれるようになった礼の陰毛だ。

 

「ほら、お望みのまんこだぞ? 早く舐めたらどうだ?」

「れ、礼……?」

「貴様は命令されないとまんこ一つ舐めることもできないのか? バター犬ですら自ら舐めだすというのに……貴様はバター犬未満の負け犬だな?」

 

 負け犬。願った幸せを手にしたのにも関わらず、自分を見失い前後不覚になっている俺を表すのにぴったりだ。かつての俺だったら礼の秘部を目前にして大人しくしているわけがない。止めろと言っても、失禁しても、何をしても、俺が満足するまで止めなかった。

 

「……『金色の狂犬』も落ちぶれたもので────」

「貴様の口でその名を騙るな」

 

 発言を遮るように秘部を押し付けられた。鼻をチリチリとした毛が、口をヌルついた大陰唇が塞ぐ。

 

「いいかよく聞け負け犬。『金色の狂犬』はティッシュに出されてゴミ箱で腐った精子みたいな貴様とは大違いだ。奴は目的のためなら正まさしく狂ったように動き、友情でも愛情でも止まらず、何より常に己の欲望に進み続ける奴だ。己の下心に従えず、欲望すら言えぬ貴様が騙れる存在ではない」

 

 礼の言う通りだった。俺には欲望があった。もっと礼と愛を育みたい、郁子先輩をぶっ壊すほど犯したい、会長を完膚なきまでに負かしたい、淳之介君と喧嘩したい。でも、俺を含めた皆の幸せを願うあまりにそれらを遠ざけていた。やりたいようにやれていなかったのだ。だから俺のためにやりたいようにやる『金色の狂犬』は衰えていった。自分ではそれでいいと思っていた、いや、()()()()()()()

 

「下の口に負けて上の口で物が言えなくなったか? ならば貴様の口は中古まんこ未満だな。最近はチビるように溜息ばかり漏らしているからなあ?」

 

 かつてのように優しくするのではなく、あえて激しく罵って俺の心に燻ぶっていた野心に火を着けようとしている。流石は礼だ。俺の扱い方をよく分かっている。俺はもごもごと口を動かして発言の意思を表明する。

 

「その口で何か言うつもりか? 一度だけチャンスをやろう。もしくだらんことを言ったらその口をクンニ以外で使えなくしてやろう」

 

 礼の押さえつけが緩まる。一気に深呼吸をして肺を礼の淫靡な匂いで満たす。そしてシックスナインラインを大きく超える俺の欲望をぶちまける。

 

「教官の小便を自分の口にしてほしいであります! サー!」

 

 

「……は?」

 

 礼の口から三次関数の積分問題を目の当たりにしたようなマヌケな声が聞こえた。

 

「自分は教官にクンニをするときに毎回思っておりました! このまま小便を口に出されて、自分を便所代わりにされたらさぞ屈辱的だろうと! そんな屈辱を与えてくれるのは教官しかいないだろうと! かれこれ10年は思っておりました! サー!」

「待て、精……お前本気で言ってるわけじゃないよな? このシチュエーションで部下になり切って自分を卑下して言っているだけだよな?」

「違います! 自分の心の底からの欲望であります! サー!」

 

 かつて誕生日に珍しい卵料理が食べたいといったからバロットを出した時と同じような、この世の物とは思えないものを見る目でドン引きしている。

 

「ええ……? いや、くだらんことを言ったら~とは言ったが……ええ……?」

「『金色の狂犬』を取り戻すべく欲望を口にしたまでです、サー!」

 

 礼が額に手を当てて俯いた。藪をつついて蛇を出すどころか狂犬が出てきたのだからこうもなるだろう。

 

「だ、だって汚いだろ……?」

「健康的な生活をしている人間の尿は無味無臭で無菌であります! 尿療法は民間療法の一種に過ぎませんが、一回の飲尿ぐらいだったら変態プレイの一環で済みます! というか自分は何度か飲尿を経験しておりますが、特に健康に問題はありません、サー!」

「いや、そういう風に言われても……いくら安全と言われてもバンジージャンプはやりたくないだろ?」

「快楽とスリルは隣り合わせです、サー!」

 

 幸い、礼の学力はそこまで高くない。それっぽいことを言ってしまえば勢いで押し切れることも多々ある。ついに礼が折れて冷蔵庫を開け卵が淹れた水出し緑茶を取り出し、俺が誕生日に送ったアザレアの切細工が施されたグラスでがぶがぶと飲んだ。ぱっと見1Lぐらい飲んだはずだし、カフェインの利尿作用も考えると1時間もすれば俺の欲望が果たせるだろう。

 

「……お前の底なしの性欲を舐めてたよ。若干、いや結構後悔するぐらいにはな」

「自分はまだ舐めていません、サー!」

 

 そうこうして1時間が経った。礼が分かりやすく内股になってもじもじしている。

 

「な、なあ、本当にやるのか? 今なら引き返せるぞ?」

「今やれなかったら一生やれないであります! そもそも教官は自分との性交の際に失禁することも多々あって────」

「やるからそれ以上言うな! あと教官呼びも止めろ! 必要以上に恥ずかしくなるだろうが!」

「礼は俺とのセックスの際におもらしすること────」

「言い方を変えればいいという話じゃない────」

 

 礼の叫びと共にジョッという音が聞こえ、礼の足元にぴちゃりと液体が落ちる。

 

「あっ、やばっ……」

「それ以上我慢して膀胱炎になったら大変ですから……諦めて俺をトイレにしてください」

 

 礼の秘部の前にしゃがんで口を開けて待機する。見上げると礼が茹で上がったような顔でグルグルの目をしていた。

 

「いいんだな!? 本当にしちゃうぞ!? お腹壊しても知らないからな!?」

「折角だからあの口上と一緒に出してください。面白そうじゃないですか?」

「ああもう分かったよ! 午睡を貪る放恣なものよ、撃鉄の音で目を開けよ! そして主の帰る刻を知るがいい! 一斉掃射! フォイア!!!」

 

 ヤケクソになった礼の秘部からブッシャアと勢いよく透明な液体が放たれる。思ったよりも射出角度が足りず俺の胸に直撃する。高圧シャワーのようで気持ちいいが、俺の望みではないので秘部に口を当てて直に頂く。公園の上向きについている蛇口を全開にして口にしている気分だ。

 

「ひゃあ!? そ、それはダメだろ!? 離れろ!」

 

 離れようとする礼の腰を手でがっちり抑え離れないようにする。思ったよりも量と勢いが凄く、飲み切れずに口からこぼれてしまってもったいない。

 

「バカバカバカ! 止めるから放せ!」

 

 嫌がったところで放すつもりはない。あと、限界まで我慢しておいてこの勢いと量を止めれるだけの括約筋が礼にあるとは思えない。

 

「止まれ! 止まーれ! 止ーまーれー!」

 

 錯乱して必死に泣き叫んでいたが現実は非情だった。結果、礼は出し切るまで放尿を止めることは出来ず、俺は出した量の半分ほどしか飲めず、この後の掃除が大変になる事が確定した。

 

 

 臭いが酷くなる前に掃除をするべく裸のまま掃除する。俺は大丈夫だったが、礼の方が大丈夫ではなかった。

 

「うわあああん! せいのばかあああ!」

 

 泣きながら床を拭いている。ふき取った床に涙がぼたぼたと落ちて再び濡れる。

 

「液体の掃除しながら液体を流さないでくださいよ。終わらないじゃないですか、うっぷ……」

 

 もちろん俺も床を拭いている。ただ、一気に飲み過ぎたせいで気持ち悪く、漂い始めたアンモニア臭も相まって吐きそうだ。そうなったら、尿を吐きながら続ける悲しいマラsonだろう。

 

「セレンに説教されてレイラに馬鹿にされるううう!」

「その時は俺も一緒ですから。というか全部俺の欲望じゃないですか」

「唆したのは私だから責任の一端があるううう!」

 

 半端に正気を持っているとこうなるのだろう。お茶ではなく酒を飲んでからやってしまえばよかった。とりあえず何とか掃除を終わらせて、後片付けも兼ねて一緒に入浴する。俺の胃の中を吐いて空っぽにして、ボディシャンプーを倍の量使って、とにかく痴態の痕跡を消し、一段落付いた所で湯船とピロートークに入る。

 

「次はお風呂場でやりましょうか」

「二度とやるか……と言いたいが、正直言うとちょっと癖になった」

「新しい性の扉を開けたようで何よりです」

「今度は尻の穴の方で同じことをやろうか?」

「それは心の準備がまだです」

「まだじゃない、絶対にするな」

 

 流石に『金色の狂犬』だからと黄金水はイケても、黄金物はまだ無理だ。ともかく、今回のプレイで欲望を解放させることの快楽と、それに伴う責任と事後処理の苦労を思い出した。湯船に耳まで浸かりブクブク泡を立てながら考える。俺の欲望、事後処理能力の低さ、『金色の狂犬』の揺らぎ、自身の能力不足、青藍島の課題。全て『金色の狂犬』として青藍島にいるから認識してしまった事だ。ならその問題を解決する方法は────俺はソープで淫力を発見したマス学者アナルデキメルデスが如く、勢い良く湯船から立ち上がり叫んだ。

 

Gefunden(ゲフンデン)!」

「最近学んでいるドイツ語か? 意味は分からないが、何かいい考えが思いついたみたいだな。聞かせてくれるか?」

 

 ドイツ語は日本人からするとカッコいい発音の単語が多く、俺の琴線に触れたので学んでいる。ちなみにGefundenは見つけたという意味の単語で、finden(フィンデン)という見つけるを意味する単語の過去分詞形である。いや、そんなことはドイツ語を勉強している奴以外にはどうでもいい事だ。俺は思いついた常識外れの狂案(きょうあん)を告げる。

 

「俺は『金色の狂犬』を捨てます」




 因みに筆者の部屋には礼先輩のタペストリーがあるので、ペットボトルのお茶を咥えながらこのシーンを再現しました。最高でした。そしてCMと違い、あのお茶が私の食事に選ばれることは二度とないでしょう。
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