※この作品はR-18です。

ゴールデンマッドドッグ イン プリズン   作:神剣狩刃

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9-06 姉は競泳水着、妹はスクール水着

 とある日、俺はゲームの宣伝について教えてほしいと頼まれてラーレに呼ばれた。何でも売り上げが芳しくなく、節約生活を強いられるほどらしい。一時的に青藍島観光大使を務めていた俺を選ぶのは悪くないが、暫く離れているからどこまでできるか分からない。とりあえず思いついた課題点を挙げていくとしよう。

 

「そもそもR-18ゲームの広告なんて容易くできるものじゃない。本島では規制がバリバリかかるし、青藍島で広めようとしても競合が多くて難しい」

 

 エロで構成されているような青藍島でエロコンテンツを広めるなら、相当なクオリティーか突出した要素が必要だ。ラーレの作品は設定こそ面白いがエロ要素がやや薄く、エロでやる必要あった? という疑問が拭えない。そこはラーレの全員が薄っすらとは思ってるようで、いい案はないかと考えあぐねている。

 

「だとしたら比較的規制のゆるいネット広告に力を入れるか?」

「悪くはないと思うますけど、あの狭いスペース広告で人を釣るのは難しいと思うます」

「ぶ、文章敷き詰めただけじゃ確実に飛ばされる、しな……」

「あたしの絵でもそうそう上手くいかないしな。数字で見れるってのは時に残酷だねえ」

「だとしたらどこかの動画配信者にでも頼んでみます? 幸い、青藍島にはR-18ゲーム専門の配信者『鬼頭アイブ』さんがいるらしいですし」

「ぶふぅ!」

 

 紅林ちゃんが出したその名前に思わず吹き出してしまった。鬼頭アイブ。みんなに癒しを与えるために配信を始めた、見た目は金髪ポニーテールの黒ギャルだが声は優しそうな男性、水色でタレ目気味の大きな目、右目尻にある泣き黒子がチャームポイント、身長180㎝、体重70kg、スリーサイズは上から95・66・97、普段の衣装は着崩したセーラー服、差分は芋ジャージとバニーとメイド服、見た目に反して性格は丁寧で丸い、話し方は穏やかでゆるいが見た目通りの青藍島語が飛び出す、あまりにもな属性過多さで僅か半月でチャンネル登録者数69万人を達成した大物配信者だ。

 

「そういえば鬼頭アイブのガワを描いているのって精さんでしたね」

 

 一応こんじきわんこ先生名義で描いてはいるが、大体の人はあの『金色の狂犬』が関わっていると理解している。

 

「そ、そうだな……だから頼むのは止めた方がいいと思う……」

「確かに『金色の狂犬』の知名度で売れた、何て評判になったらお互いによくありませんもんね」

 

 それもそうだが、何を隠そう鬼頭アイブの魂は俺の息子セレンなのだ。樋口さんに折角だから『やりたいようにやる』でやってみなよと背中を押され、ならお父さんにガワを作ってもらいたいと言ってきて、そんな面白い事やるしかないと俺が本気を出してしまったのだ。なので家族やSHOの人間はとっくに気付いており、NLNSを始めとする近所の人ももしや……? と怪しんでいる始末だ。

 

「夢を見るなら『平等院スザク』ちゃんに取り上げてもらいたいですね。最近の私のハマりです」

 

 俺の心配はつゆ知らずに宣伝会議は進んでいく。とりあえずネット方面で広告を出そうということになり、いつの日か鬼頭アイブが自主的に取り上げる日も遠くないなと、俺は一種の諦めに近い何かを感じて笑った。

 

 

 ともかくゆっくりやっていけばいいと紅林ちゃんが笑った所で、聞きなじみのある冷たい声が割って入ってきた。

 

「……いや、全然よくないよ」

 

 フクシアピンクのディープ・スリーブシャツに白色のサスペンダー付きスカートを合わせたソフィーヤ・シコレンコ元看守長だ。懲戒免職の後、何とか失業保険で食いつないできたが限界が見え、とりあえず妹のいる青藍島にやってきたのだ。

 

「お前達は大団円を迎えたかもしれないが、私は仕事を探さなきゃいけないんだよ……!」

「じゃあSHOの治安管理委員会で働いてみます? 俺、委員長だから推薦状も書けますよ?」

 

 俺はプリズンで彼女に何かと迷惑をかけたのだ、青藍島でその恩を返さなければ『金色の狂犬』の名が廃る。彼女はガシリと俺の肩を掴んで迫ってきた。

 

「いいのか!?」

「何だったら近い内にSHO本部で面接しましょうよ。会場とか時間とか決まったら連絡しますので」

「やっぱりお前は良い奴だなあ……! あの時お前を信じてよかったよ……!」

 

 彼女が安堵の息を漏らしながら俺にもたれかかってくる。真面目な性格をしている彼女だから、職がない期間はとても辛いものだっただろう。俺も『金色の狂犬』を見失っていた時期はとても辛かったからよく分かる。なので数日後、ソフィーヤ元看守長の面接の日を迎えたので、スーツ姿の彼女と一緒にSHO本部に向かう。流石にオフィシャルな場に行くので、俺もスーツ姿だ。

 

「俺の推薦状があるので面接は免除です。なので技能試験を行ってもらいます。具体的には射撃訓練と組手ですね」

「少し現場を離れていたから不安があるな……だが、お前がくれたチャンスを無駄にするわけにはいかないな」

 

 彼女の決心を見見ている内に試験会場である射撃訓練場に辿り着き、担当試験官である人物と対面する。

 

「本日は採用試験を受けに来てくださって誠にありがとうございます。担当の冷泉院桐香です」

 

 相変わらず服を着れているのか分からないが様になっている姿の桐香様だ。俺直々の推薦ということもあって、是非とも担当したいと願って出てくれた。

 

「ソフィーヤ・シコレンコです。本日はよろしくお願いします」

「……なるほど。委員長が推薦状を出した理由がよく分かりました」

 

 水乃月学園時代から長を務めていただけあり、一目で彼女の人の良さを見抜いたようだ。

 

「ですが、人格者であるというだけでは治安管理は務まりません。早速訓練を行いますので、あちらの更衣室でお着換え下さい」

 

 指された更衣室へ彼女が入り、程なくしてガードマンの制服に身を包んで現れた。刑務官姿を見た時から思っていたが、彼女は厳格な姿がよく似合う美人だ。青藍島には美男美女が多いが、その中でも間違いなく美しいと言われるだろう。見惚れるのも程々にして彼女に俺のハンドガンを渡す。流石に銃の扱いを分かっているようで、初めて触った時の俺のように引き金に指をかけることはしなかった。

 

「では、お手並み拝見といきましょうか」

 

 掛け声とともに彼女は銃を両手で構え────スッと銃を下ろした。

 

「……この銃では撃てません。これは土口委員長の銃です。専用のカスタムが施されていて、私が撃ったら腕を負傷する可能性があります」

 

 彼女は初見殺しの一発失格を見事に避けた。意地悪ですよと会長にたしなめられたので、SHOガードマンに配布される普通のハンドガンを渡す。

 

「ここで落ちた人が何人かいるっていうのに、よく避けましたね」

「……あなたならやりかねない、とだけ言っておきます」

 

 試験中ということもあって敬語を使われ、悪くないなとちょっとだけ愉悦に浸りつつ彼女を見守る。看守長を務めていただけの実力はしっかりあり、6発中5発が10点、1発が丁度10点と9点の境だった。59.5点、試験時の点数としては俺に次いでの歴代2位のスコアだ。

 

「見事な腕前ですね。では、このまま組手に移りますので……土口委員長、お願いします」

 

 まさかの相手に彼女の目が少しだけ大きくなる。

 

「……実はこのために推薦状を出した、なんて言ったら怒りますか?」

 

 プリズンでのボクシング大会はお互いに不完全な状態での対峙で、本気でぶつかっていたとは言えなかった。俺の中ではいつか本気で彼女に挑みたいという欲望があり、彼女が仕事を探してしると聞いた時にはここしかないと思った。自身の人生の進退がかかる一瞬を下らない欲望の発散にあてがわれたと知った時、人間はどのような反応をするのだろうか。

 

「……いえ。逆に私も期待していた、と言ったら怒りますか?」

 

 人生の修羅場を潜り抜けてきた人間に対して、ただ一言"人間"と括るのは不適切だったようだ。彼女は静かに、それでも確かに笑みを浮かべて返した。

 

「……本来制限時間は10分ですが……この場に限っては無制限とします。戦いの中でこそ見える人間性もありますからね」

「お気遣いありがとうございます桐香様……それでは心置きなく戦いましょうか、ソフィーヤ・シコレンコ」

 

 スーツを脱いで上裸になる。正直、彼女との戦いで加減している余裕はない。本当はズボンも脱ぎたい所だが、流石に本島の女性に対してそれは失礼────

 

「その胸を借りさせて頂きますので、全力で来てください土口委員長。私は性犯罪者と関わってきたので、肌の露出ぐらいでは動じません」

 

 どうやら俺の余計な気遣いの方が失礼だったようだ。ならば遠慮なくとズボンも脱いで、金のトランクスパンツを露にする。

 

「俺にとっても勝負だったので勝負下着ですよ」

「…………そうですか」

 

 彼女の顔がやや引き攣る。思ったよりも刺激的で下心がうずいてしまったのだろうか。俺の伴侶としての隣は開いていないが、仕事のパートナーとしての隣は開いているのでそこで我慢してもらうとしよう。

 

「それでは始めてください」

 

 あっさりとした掛け声とは裏腹に、チューリップ・プリズン最強と青藍島最強がぶつかる、SHO治安管理委員会史上最大の戦いが始まった。

 

 

 一息に彼女との間合いを詰めて両手での連撃を振舞う。

 

「ふっ、はっ!」

 

 流石にここで無呼吸連打をしていては体力が持たないので、しっかりと息を入れながら一発一発を鋭く放つ。

 

「ぐっ……なんて重く速い一撃だ……!」

 

 まだトップスピードではないとはいえ常人なら数発はもらっている速度だが、彼女はきっちりと捌いて受け流している。彼女は女性ながら相応の筋肉をつけている。女性の体は性ホルモンの都合上筋肉がつきにくい。これはいくら男女の権力が平等になった所で覆せない、雄と雌しての生態の違いだ。その上で筋肉をつけているというのはどういう意味を持つか。単純に鍛錬を積んでいるだけでなく、それだけ鍛錬を続けられるほどの精神力を持っているということだ。

 

「だが、密度が足りないな!」

 

 故に受けに徹するという現状維持ではなく、防御から反撃に移るという形勢変化を選択できる。呼吸のために生じたわずかな隙を文字通り掴み、俺の左腕を取って捻り上げようとした。服を着ていればそれを犠牲に避けれたが、今は文字通り体一つで戦っているから避けれない。そのまま腕を決められ────

 

「だから何だって言うんだ?」

 

 ながら彼女の右脇腹に蹴りを入れる。腕がギシリと悲鳴を上げているが、それ以上のダメージを彼女に入れられるのなら構わない。更に自ら左肩を外し拘束を抜け追撃の蹴りを腹部に叩き込む。

 

「かはっ……!?」

「俺はなるべく犠牲を出さない主義だが、全く出さないと言った覚えはない」

 

 そもそも無傷で彼女を倒せるなど、郁子先輩の匂いよりも甘い考えは頭にない。端から腕の一本は傷めるつもりだ。彼女がふらついた隙に肩を嵌め、仕切り直しを図る。

 

「さあ、ここからが本番だ。万全な状態を維持するのは大切だが、万全な状態でなければ戦えないなど話にならないからな」

「ごほっ……これぐらいで諦めるつもりはないさ……何せ、お前はたった今弱点を作ったからな……!」

 

 今度は彼女から踏み込んできて、俺の左側から攻めてきた。

 

「一度外れた肩だ、激しく動かせばまた外れるだろう……!」

 

 彼女の言う通りで下手に防御し続けると、また肩が外れて大きな隙を作りかねない。かと言って右腕で左からの攻撃を防ぐのには限度がある。彼女もそれが分かっており、だからこそ左から攻め続けているのだ。彼女の高い判断力と勝ちへの冷徹さに思わず笑みがこぼれる。

 

「正解だ……!」

 

 俺は単純に後ろに下がって攻撃を避けていった。射撃場という場所もあってスペースは充分にあり、避けていく分には問題ない。しかし、下がっているだけでは防御しかできず、いずれ壁によって避けることができなくなる。いや、それよりも先に来るものがある。

 

「はぁ、はぁ、くっ……!」

 

 俺の体力の限界だ。総合格闘的戦闘は経験や技術が重要になってくるとはいえ、筋力や瞬発力があるに越したことはない。俺よりも10歳は若い彼女は後者において俺に勝っているものもあり、それを前者と精神力で補っているのが現状だ。故に消耗は激しく、衰えつつある心肺機能では回復が間に合わない。

 

「そこだ!」

 

 遂に息継ぎに合わされて彼女の蹴りが俺の左腹側部にめり込む。吸い込んだ空気を無理やり吐き出され、その痛みと苦しみに体が揺れる。その勝機を彼女が逃す理由がなく、一気に彼女との距離が零になる。

 

「これで────」

「終わりだな」

 

 彼女の渾身の右ストレートを左手で引きながら受け止め、右手で彼女の左大腿部を押し込み、彼女の勢いを利用して後ろに倒れる。すると彼女の身体が270度回転しながら地面に着いた。

 

「なっ……!?」

「プリズンどころか青藍島の誰にも見せていない俺の新技、"キルシュブルーテ・ヴァイデ"だ」

 

 何が起きたのか分からない彼女にそのまま覆いかぶさって動きを封じる。こうなっては何所の誰がどう見ても決着だ。

 

「そこまでです」

 

 こうして俺と彼女の素手での真剣勝負は幕を閉じた。シャワーで汗を流して元の服装に戻り、俺と桐香様で彼女に合否を下す。

 

「文句なしの合格ですね」

「ええ、明日からにでも部隊に入ってほしいぐらいです」

「え……?」

 

 彼女は処女が顔射をくらったような驚きを見せて固まった。

 

「でも……私、負けました……よね……?」

「俺に負たら不合格なんて、SHOガードマン全員クビになっちゃいますよ。それにしても俺が肩を外さざるを得ない状況なんて……治安管理委員会委員長になって初めてですよ」

「これが実戦でしたらあの段階で精さんは作戦から離脱して、治療を受けなければならないですからね」

 

 それでも俺と彼女の戦いたいという意思を桐香様が尊重したから、あそこまでの戦いができたのだ。

 

「実力も伸びしろも十分……これを逃すようでしたらSHO会長失格ですね」

「俺も委員長失格になりますね。なので合格です。採用通知と研修の日程は後日お知らせしますので、心待ちにしてくださいね」

 

 彼女の肩にポンと手を置いてウィンクをする。

 

「やった……やったぞ、ノア……! 私……自分の力で、自分の未来を勝ち取れたぞ……!」

 

 彼女が嬉し涙を流しながら拳を握った。これだけの妹思いの良い姉なのだ、間違いなく治安管理委員会でもうまくやっていくだろう。

 

 

 帰りの船の上、まずは俺と彼女で喜びを分かち合う。

 

「良かったなソフりん。早い段階で再就職できて」

「随分と懐かしい呼び方をしてくれるじゃないか、つくもん?」

「オフでそう呼ぶのはいいが、部隊に所属してからそう呼んだら躊躇なく咎めるからな」

「ふふ、なら気をつけないとな。あと、お前に敬語を使う練習もしないとな」

 

 まだまだ日は高く海面で反射してキラキラと眩しいが、それに負けないほど明るく彼女は笑っている。やっぱり彼女は美人だ。

 

「……思い返せば、私はお前に救われてばかりだったな」

「だな。夕顔の傍若無人、紅林ちゃんとの姉妹喧嘩、我妻の洗脳騒動、水城元所長との最終決戦……炭鉱での落盤事故が懐かしく思えます」

「…………少しぐらいお前に恩返しをしたいが、私にできることはあるか?」

 

 あまりにも残酷な言い方になるが、私生活で俺が彼女に要求したい物は特にない。俺は日常生活に困るような人間でもないし、性活の方に関しても十分間に合っている。しかし、俺はない別人の私生活及び性活には彼女が必要かもしれない。

 

「……紅林ちゃんと一緒に内呂君と付き合ってくれませんか?」

「……は?」

 

 まさかの要求に彼女は驚愕にも近い顔での生返事で返した。なので飲み込んでもらうためにきっちりと説明する。

 

「最近、彼の知人が結婚ラッシュを起こしてましてね……沖奈と伊栖美ちゃん、絵里子さんと俺の息子セレン、御白子と妙花さんって感じで」

「お前はチューリップ・プリズン専属の恋のキューピットか?」

「で、後は彼と紅林ちゃんだけなんですよ。でも、そこが結ばれたとしたらソフりんが独りになってかわいそうじゃないですか」

「人を余り物扱いするな」

「そうなったら紅林ちゃんが黙ってるわけないと思うですよ。お姉ちゃんが寂しそうだから混ぜてあげようよってなるじゃないですか」

「私の妹を何だと思っているんだと言いたいが……ノアなら言いそうだな……」

「だからソフりんから提案すれば丸く収まると思うんですよ」

 

 自分で言っておいてなんだがとてもひどい提案だと思っている。彼女と内呂君は俺の知る限りでもよくて友人ぐらいで、生涯を共にする伴侶に値するほどの関係とは思えない。まして俺ですら正式な交際関係は礼1人だけで、2人同時に交際するなどとても難しいだろう。だから断られて当然────

 

「……悪くない話だな。乗ってやろうじゃないか」

 

 マジかよ。

 

「お前も私とノアもある程度知っているし、あいつ自身もそこまで悪いヤツじゃないからな」

「……公然猥褻はともかく、脱獄は重罪だと思うが」

「そんなこと言ったら幇助した私とお前も重罪だぞ?」

「……それもそうか。それじゃあ、姉妹で内呂君の面倒を見てやってくれ」

 

 こうして内呂君にも遅れて春がやってくることになった。ロシア系ハーフの美女2人が奥さんとか、めちゃ羨ましいといっても過言ではない。今度礼と郁子先輩の2人を同時に抱く3Pをやってみるかな。

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