クラスから追放されたけどこちらは元気に温泉ハーレムやってます 作:姫ノ木あく
※R-18描写多めです。苦手な方はブラウザバック推奨
※ノクターンノベルズに同時投稿しています
◇ ◇ ◇
「いったいなにが起きたの!?」
まい先生の問いに天藤義一郎は自分の拳でコンコンコンと額を突いた。
「端的に言うと反乱です」
「反乱!?」
「チーム〈いのちをだいじに〉とチーム(ちきゅう〉が反乱を起こし、事実上、アースチームの敵になりました」
「チームの約半分にあたる7名、仁科芽衣子、小笠原美雪、海野光、三木蒼、佐々木翠、堀江心晴、鴨江満春がうちから離脱し、チーム〈シルヴァ〉の元に行ったと思われます」
「あ、三薗くんのところなら別に敵ってわけじゃ――」
「その混乱に乗じて彼らが画策してたのが、まい先生と宮本ゆかりの強奪です」
「へ? わたし? 宮本さんはともかくとして……わたし?」
「おい、あいつらを出せ」
天藤の指示に従って、束縛された状態で出てきたのは鉈尾山正隆と加治田一誠だった。
「今回の事件はひとえにこいつらのせいです。こいつらが立てていた計画をチーム〈いのちをだいじに〉が入手、その計画を阻止するためにチーム〈ちきゅう〉と連絡を取りあって今回の反乱計画が起きました。……そうだな? 鉈尾山」
「いや計画とかじゃなくて、あれはただの与太話で――」
「そうなのか? 加治田?」
「まあ、ただの与太話と言えないことも……」
すると天藤の右手に竹刀が現れた。天藤のアーケン〈スーパーマーケット〉だ。
天藤はその竹刀で、容赦なく鉈尾山と加治田を打ちすえた。
「やめて、天藤くん! 暴力はダメよ!」
まい先生が天藤を止めるが天藤の怒りはまだ収まっていないようだった。
「暴力はダメだとよ! おまえらの与太話とやら聞かせてもらおうじゃないか!」
「それはっ、そのっ」
「速く言え!」
天藤が地面に竹刀を叩きつけると、竹刀はメシリと曲がり、そのままになってしまった。
「お、俺たちがそのまい先生を……まい先生を……」
「……まい先生をレイプして、リタイヤさせ天藤くんを事実上のトップにって」
「わ、わたしをレイプ……」
さすがに想定していなかったのか、まい先生は頭をふらつかせ宮本ゆかりがなんとかそれを支えた。
「それでなんだって? 俺がトップに立てばやりたい放題できるだと? 気に入った女生徒にオチンチンを舐めさせたいんだってなぁ!」
「サイアク……」
さすがのゆかりも吐き捨てるように言う。
「たとえそれが本当に単なる与太話だったとしてもだ、おまえらはなんだ? チーム〈アース1〉所属の俺の両腕じゃなかったのか!? そんなヤツらが言っていい話じゃないだろうがよ!」
「お、俺が悪かった! 天藤くん、許してくれ!」
「俺も謝る! 鉈尾山の発案とはいえ飛びついたのは俺だ」
「てめぇ、さりげなく俺のせいにしてんじゃねえよ!」
「事実だろうが!」
「黙らせろ」
天藤の命令で鉈尾山と加治田のくちにガムテープが巻かれる。
「そう言うわけです先生。あいつらを重宝に使ってた俺が一番悪い。申し訳ありませんでした」
「待って、待ってよ天藤くん。そう言うことなら反乱なんてことまでにはなってないんじゃないかな。ちゃんと誰の責任かをはっきりさせて謝罪させればそれで――」
「無理ですね」
その言葉を出したのはチーム〈ちきゅう〉に所属していた小岩井新だった。
「あれ、小岩井くんは〈ちきゅう〉の……」
「作戦会議を聞いて、このままじゃクラスがめちゃくちゃになると思って天藤くんに対処してくれるよう頼んだんです。〈ちきゅう〉と〈いのち〉の天藤くんへの偏見はものすごくて……。あれはどの道、なにかのチャンスがあればいつでも反乱を起こすと思います。僕はその空気に付いていけなかったんです」
「……天藤くんは結局どうするつもりなの?」
「とりあえず、捕縛した〈ちきゅう〉と〈いのち〉の連中には事情を話してみるつもりです。それと、鉈尾山と加治田に関してもしばらく監禁ですね」
「そう……ね。そうするしかないかもね」
「でも、残りが雪夜のところにいったなら、説得されて戻ってくるかもよ。雪夜だって、元々クラスのことを考えて1人で出ていったんだし、クラスが分断することは望んでないと思う」
ゆかりのその言葉を天藤は目をつぶって聞いていた。
◇ ◇ ◇
「というわけで、まい先生は無事、宮本ゆかりさんも小早川蘭蘭さんと共に無事チーム〈ライオン〉の治療を続けてるようです。捕まった〈ちきゅう〉、〈いのち〉のメンバーは今のところ監禁されてる状態ですね」
カナが俺の肩に座ってこっそりと報告する。
「ありがとう、カナ。悪いな、なんかスパイみたいなことをやらせちゃって」
「その辺は大丈夫です。カナが聞かなくても自分からべらべらしゃべってくれる友人がいるので、カナの責任ではありません」
「案内役、意外と緩いんだな……」
「そうですね、緩いと思います。通常は自分のチームの情報を流したりはしないんですが、妖精は基本的に中立の存在で完全にチームの味方という立場でもないんですよ」
「ルール上そうなってるってことか」
「そうですね。だからもし大切な話があるときは、カナがいないときにした方がいいかもしれませんよ」
「必要なときにはそうさせてもらうけど、俺はカナのことを信じてるよ」
「え~、嬉しいですけど、女は嘘をつくこともあるから気をつけた方がいいですよ~? ふふふふふ」
そんなことを言いつつ、嬉しそうにクスクスと笑うカナ。
「女は嘘をつくこともある」は肝に銘じておきたいところだな。
俺も単純だから抱いた女、みんな信じちゃってるところあるしな。
「思ったより、まともな動きをしてるな、天藤のやつ」
鴨江満春がそう言った。
満春は俺が一番仲のいいクラスメイトだ。
「その辺は、まい先生に何事もなかったのがよかったんだと思う。天藤は確かにオレ様気質があるが、それ以前に優等生って言葉に縛られてる節がある。先生の前ではいい子でいたいってのが天藤の一番いいところであり、ハナにつくところだろう」
「ハナにはつくんだ」
満春が笑いながら言った。
「野球部のキャプテンってだけでクラスまで仕切ってるつもりになってるのはハナにつくだろ」
「だから雪夜は天藤に嫌われるんだよ。そこでおまえ自身がクラスは俺が仕切るって言い出すならともかくさ」
「う、そういうのは面倒くさいのでやりたくない」
正直に言って、満春の言うとおりであるところはあった。
「うちにはサッカー部のキャプテンもいるし、俺が出る幕は特にないだろ」
というのがどうしても頭の中にある。
同じくクラスで仲のいい三木蒼も言ってきた。
「まあメインじゃないから言える反論ってのもあるしな。雪夜の場合、その反論が天藤より的確でわかりやすいのが問題なんだよ」
「難しいことを言ってくるなぁ。俺は言いたいことを言ってるだけなのに。満春も蒼も言いたいことがあれば言えばいいじゃんか」
「や、そういうのは雪夜に任せてるから」
「俺もそういうのは面倒くさいから雪夜に任せておくよ」
「おまえらなぁ」
そんな話をしていたらどこかからクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「やっぱり男の子同士だとそんな話し方になるんですね、雪夜さんも」
ファータだ。どうやら飲み物を持ってきてくれたらしい。
「ありがとう、ファータ」
「いえいえ、おしゃべりに飲み物も用意できないエルフなんてなんのためのエルフですか」
きっとファータのところにはそういう言い方があるんだろう。
「いいねぇ、ファータちゃんかわいいねぇ」
と蒼。
「やだそんな。ありがとうございます。それではみなさん、ごゆっくり」
ファータはさらりと蒼のお世辞を受け流して、部屋を出ていった。
「いやしかし、雪夜が出ていっちゃった時は焦ったけど、クラスよりよっぽど上手くやっててさすがって思ったよ。どうやってチームになったんだ? このロリコン」
「まあその辺は色々あってな。偶然が重なったみたいな感じだよ。それとロリコンでは蒼には負ける」
「あら、蒼さん、ロリコンなんですか?」
蒼はカナにまで突っ込まれた。
「いやっ、それは、なんというか、ちょっと若い子の方が好きっていうだけで」
「それを人はロリコンという」
満春にまで突っ込まれたが、満春だって某ソシャゲのロリキャラをフルコンプしてることを知っている。まあ、あえて言うのはやめておこう。
「ロリコンをそんなに否定されなくても大丈夫ですよ。アガルタはアースと比べて結婚適齢期もずいぶん低いですし、人間族と比べて外見年齢が低い種族の方々も多いですからね。ロリコンはむしろアガルタでは大歓迎なのかも知れません」
「でもそれは、平均死亡年齢も低いことを示しているんじゃないのか?」
カナの軽い言葉に俺は重い事実を付け加える。
「……そうですね。そういう部分も確かにあると思います。特に闘技者として召喚された方々は最低一ヶ月に一回は仕合に出場しないといけませんし……」
「そのわりには観客の中の闘技者の割合がそこまで多くないのはなんでなんだ?」
「元々アガルタに住んでいたアガルタ人の末裔の方々が多いと言われています。それと、ご両親が異世界の方でも、アガルタで生まれ育った方とか……。そういった方がアーケンを持たずに生まれたりします。それからヴァロで闘技者を卒業するという手段もありますね」
「なるほどな」
「もちろん、ヴァロで元の世界に帰る方も多いですけれどね」
カナのその言葉に男子たちは一瞬口を閉じた。
「クラスメイト全員元の世界に返す方法はあるのか?」
「この人数の一斉転移は私も初ですのでなにか特別なルールがあるのか調べておきますね。基本的にはヴァロを一所懸命集めて、何人かずつ元の世界に帰すのが通常の方法になると思います」
「何人かずつ、か」
「傭兵として他のチームに潜り込む方法もあるにはありますが……」
「それは正直、難しいだろうな。上手いとこファータのところに入りこめたけど、それだけでチームを分裂に追いこんじまった。テラリアやドワンガンみたいに、傭兵として有名になってるなら入れてくれるチームも多いと思うけど」
「そこに来て、うちのクラスは分裂しちまったときてる。どうすんだこの状況」
蒼が考えまくって無理だったとでも言うように首をぐんにゃりと曲げて元に戻す。
「正直に言うと、クラスの連中にはもう一度ちゃんと集まってもらった方がいいと思う。その上で、トップを決める選挙をして、もう一度戦略に応じたチームの再編ってところだな」
「雪夜もそう思うか……。しかし、今回のことで天藤派閥が分裂してしまった」
満春が腕を組みながら言った。
「選挙って言っても、今監禁されてる連中の選挙権はどうなるんだって言う話もあるしな。明らかに鉈尾山と加治田の2人とちきゅうといのちから捉えられた連中は違うぜ?」
「あと、まい先生の扱いもだな。あくまでもまい先生は選挙で選ばれるリーダーの上にいないと」
「それより、こっちに来た組でクラスに戻る気があるやつがいるのかって話もあるぞ」
「俺はいいぜ」
と満春。
「鉈尾山と加治田をちゃんと監禁したってのは、天藤にはまだクラスをまとめる気があるってことだ。天藤は確かに自己中でボス気取りな面があるが、あいつなりにトップがするべきことってのを考えてる気がする。それなら、リーダー選挙っていう公平な場に参加してもいい」
「雪夜が戻ってきてくれるなら、俺は雪夜に入れるけどな」
蒼はそうはならんだろうとでも言いたげな顔で俺の方を仰ぎ見る。
「そうだな。今の俺はアースチームというよりはチーム〈シルヴァ〉の作戦参謀だ。〈シルヴァ〉を抜けるつもりはない」
「だよなぁ。今の雪夜なら、1人でも元の世界に帰れるヴァロも稼げそうだし」
「元の世界に帰るかどうかもまだ決めてないよ」
「は!?」
「俺の今の優先順位はファータのお師匠様であるフィーナの復活だ。その後のヴァロの使い方は、おまえたちクラスメイトの帰還に宛がうつもりだ。蒼が言ったとおり、最後に俺だけが残ったとしても、元の世界に帰れるだけのヴァロは稼げるつもりだしな」
その言葉には嘘が含まれていた。作戦参謀の俺自身には対した攻撃力はない。その上、クラスメイトを全員帰還させたら、今度は俺がアースの代表者ということになってしまう。だから、本当に決まっているのは最初に言ったフィーナの復活という部分だけだった。
「ふぅ、天藤派閥の大きな動きもないみたいだし、今日のところはここまでにしておくか。ちょっと考えすぎて眠くなってきちまったよ」
「アガルタは常昼だから時間感覚狂いがちだよな」
蒼と満春がそう言い、この話し合いはとりあえずお開きになった。