クラスから追放されたけどこちらは元気に温泉ハーレムやってます 作:姫ノ木あく
※R-18描写多めです。苦手な方はブラウザバック推奨
※ノクターンノベルズに同時投稿しています
「それでは今日はお休みさせていただきますね。緊急事態があった場合には他の子が連絡に来ると思いますので」
「うん、カナ、ゆっくり休んでね」
「あの~ご指示通りにしておきましたけど、本当にあれでよかったんですか?」
「大丈夫大丈夫。わたしのプレコグニションも上手く行くと言っていますから」
「それなら安心ですね。それではおいとまいたします~」
案内役には定期的に休暇が与えられている。
こういうところからも、案内役がアガルタに雇われているちゃんとした職業だという事がわかる。
こんなコロッセオだらけの街でもやはり社会は成りたっていて、そこに住む人たちもまた生活を成りたたせているのだろう。
俺たちのような闘技者は、どちらかというと古代ローマの奴隷闘技者に近い気がするが。
「あれー? 色々と資材が足りなくないか? 特に食材が結構足りない気がする」
俺の声を聞きつけて、ファータがとことことやって来る。
そしてキョロキョロと辺りを確認する。
「?」
「実はですね、今回はわざとなんです」
「わざと?」
「いつもならカナさんの休日前に買っておいてもらうものを、キャンセルさせていただきました」
「ほう、なんでまた」
「今日はテラリアさんも呑みのお約束あるそうで、わたしと雪夜さんとシャリアスさんしかいないんですよ」
「ふむ。そしてわたしは少々代表者としての手続きがあるので、いったん出かけることにします」
「出かけることにします?」
「ですので、時間がかかちゃってもいいので、雪夜さんとシャリアスさんにお買い物をしてきてもらいたいのです」
「買い物くらいなら別に俺1人でも――」
「ダメです」
ファータには珍しい有無を言わせぬ拒否の言葉だった。
「実はこのチャンスに、雪夜さんとシャリアスさんで『買い物』と称したデートをしてきてほしいんですよ」
「で、でーと……」
「シャリアスさんに『普通』を教えるんですよね? 『幸せ』がなにかわからせるんですよね?」
「むむむむ」
「というわけで、わざとゆっくり買い物したり、あえて違う道を行ってみたり、2人で街の中を探索気分でお出かけしてきてもらいたいんです。ちなみにちゃんと買うべきものは買ってきてくださいね。こちらが買い物リストです」
「ふむふむ、ここに書いてあるのは? 必要ではありませんが、その時間になったらちょっと立ち寄ってみてください。わたしの〈プレコグニション〉でいいことがあるかもって出ていますので」
「ファータは本当にいい子だなぁ」
「こう見えてもわたし、チーム〈シルヴァ〉の代表者ですから」
えっへんと両手を腰にやったファータが、あまりにもかわいかったのでたっぷりナデナデしてから、唇に唇をゆっくり重ねた。
「う、嬉しいですけど、今日はシャリアスさんの日ですからね。他の女の子に手を出したりしないようにしてくださいね!」
「はーい」
俺、よっぽど浮気性に思われてるのかな……。
3人いっぺんに付き合うことになったのは、俺のせいじゃない気がするんだけど……。
まあ、カナのことは後からしちゃったけど……。
「シャリアス~、いるか~?」
「はい、雪夜様。ただいま参ります」
名前を呼ぶとシャリアスはパタパタと急いで俺の元に寄ってくる。
「なんか色々あって、本日我々に代表者から指令が下った」
「ファータ様から指令が」
「うむ、そういうわけで2人で買い物に行こう」
「買い物、ですか?」
「いつもはカナが用意してくれてたものがないらしくてね。今日一日使っていいから2人で買い物に行ってきてくれってさ」
「わかりました。買い物に行きましょう」
「うーん……」
「何か問題がありましたか?」
「シャリアスって他に服って持ってないんだっけ?」
「服ですか? いえ、ファータ様やテラリア様から何着もいただいていますが」
「あんまり他の服、着てるの見たことないなって思って。せっかくだからオシャレしてみない? 残念ながら俺は制服しか持ってないんだけどさ」
「オシャレ……ですか。憧れはあるんですけど、汚してしまったらもったいないという気持ちがわいてしまって」
「俺、オシャレしたシャリアスと2人でお出かけしたいな」
「す、すぐに着替えてきます!」
自分の部屋に戻るシャリアスの背を見てうんうんと頷く俺。
やはりデートといえばオシャレは大事だろう。俺は制服だが。
「ごめんなさい、雪夜様! 無理です!」
数分したら部屋の方からシャリアスの泣きそうな声が聞こえてきた。
慌ててシャリアスの部屋に行くとたくさんの服が散りばめられ、その中央でシャリアスがしゃがみこんで半泣き顔になっていた。
「私! オシャレがわかりません!」
「!!」
俺もわからない!
まてまてまて、俺にもわからないぞ!?
だがオシャレしてこいと言ったのは確かに俺だ。
俺が! シャリアスのオシャレを決めなければならない! この俺がだ!
その時、雷のような閃きが俺の脳裏に走った。
天啓を得たのだ。
「俺にも自信はないが、やれることは最大限やろう」
「はい」
「まずある服を全部見せてくれ」
「はい、こちらです。下着もこちらにあります」
「下着は今のところおいておこう。だが、これだけあるなら似たようなファッションは作れるかもしれないな」
「ファッションを作る……!」
「〈ウォリアーズ・カタログ〉! 収拾してる情報からファッションセンスが優れてる順に闘技者の全身図を表示してくれ!」
思ったとおり、カタログはファッションセンス順(本当にファッションセンス順なのかには自信がないが悪くないのはわかる)に闘技者の全身図を写しだした。
「おっと、これじゃ対象が多すぎるな。条件を絞ろう。対象は人間かエルフの女性。年齢は少女から未成年だ」
「雪夜様、少女はともかく未成年ですが」
「ちょっと歳上を意識した方がおしゃまでいいかなと思ってな」
「おしゃま……なるほど」
「ふんふん、こういう感じか……。〈ウォリアーズ・カタログ〉の出す結果だから戦闘服が多いけど、やっぱり普段着系も結構いるな。助かる」
そうして俺は小一時間ばかり、カタログを参考にしながら、あーでもないこーでもないと、シャリアスを着せ替え人形にして楽しんだ。
「これでどうだ?」
「かわいいと思います! その……おしゃまで!」
実際、ファッションセンスというものを深く考えたことはなかったが、今回のことで色々考えさせられた。
もしかしたら、わずかながらでも俺のファッションセンスは上がったかもしれない。
「♪」
一方シャリアスは本当に気に入ってくれたみたいで、スカートを閃かせたり、袖を調整したりしていた。
「雪夜様のアーケン、こんなことにも使えるんですね。すごいです!」
「俺も今回の閃きはすごいと思ったよ。これもシャリアスのおかげだな」
「そんな……でも、お役に立てたのなら嬉しいです」
「それじゃあ出かけようか、シャリアス」
「はい、雪夜様」
オシャレできたのが嬉しかったのか、いつもより明らかにるんるん気分で俺の前を歩いていくシャリアス。
ヤベえ。かわいい。オシャレに小一時間かけてよかった。
「雪夜様、歩がいつもより遅いようですが、足になにか問題でもありましたか?」
「いや、前を歩くシャリアスがかわいくて、眺めながら歩いてた」
「わ、私、かわいいですか……?」
「かわいいよ、シャリアス。それもすっごくかわいい」
「はぁぅ……嬉しい……」
本当にめちゃくちゃかわいい。
「もうちょっと一緒に歩こうよ。荷物があったら邪魔かもしれないから、買い物は後後」
「私たちは買い物に出たのでは……」
「いいからいいから」
アーケードを抜けると『セントラル・サン』が降り注ぐ少し夏めいた丘が見える。
「あんな景色のところもあるんだな。ちょっと行ってみようぜ」
「雪夜様、お買い物は」
「ハハハ」
「もぉ」
ふくれっ面をして見せつつもシャリアスもご機嫌だ。
そうか、デートか。
女の子と2人で歩くだけでこんなに楽しいものなのか。
「あれ?」
「おや?」
しばらくその丘を歩いていると、緑色だった景色が徐々に白くなりはじめた。
なるほど。ファータはこの時間に花が咲くことを予知してたのか。
「緑の丘が真っ白なお花畑になりました!」
「綺麗な景色だな」
「そう、ですよね……。これが綺麗な景色です……。これが綺麗な景色……はぁ……」
今、シャリアスは綺麗な景色を覚えている。
今まで目に入っても気にもできなかった光景を。
「シャリアス」
「いかがいたしましたか?」
俺はそのままシャリアスの手を握る。
「シャリアスと手を繋いで歩きたいなって思ってさ。いやだった?」
「いやだなんてそんな……。ただなにか甘い痺れのような感覚が身体中に走って……」
「きっとすぐに慣れるよ」
「毒とかじゃないでしょうか?」
「違うって。ほら、もっとこっちによって」
「あ、はい」
シャリアスは寄りすぎて、俺の腕にしっかりとしがみつく。
「おっと。大丈夫?」
「大丈夫……ですけど」
「ですけど?」
「甘い痺れの感覚、なにかに似てるなって考えてて……それがなにかわかってしまいました……」
「お、なんだろう」
「あ、あの」
シャリアスは俺だけに聞かせたいようでピョンピョンと跳ぶ。
俺は少しかがんでシャリアスの口に耳を寄せた。
「雪夜様とえっちしてるときの感覚です。私、こんなことでえっちなこと考えてしまっているんでしょうか」
「そんな感じだったのか。じゃあこれは? ……ちゅっ」
「あんっ……」
唇を奪われて、シャリアスは顔を真っ赤にした。
「やっぱり私、すごくえっちです……」
「俺といるときはもっとえっちでいていいから」
「はい……嬉しいです……」
そう言って抱きついた腕に、シャリアスはさらに顔を寄せてきたのだった。
「おっと、さすがにそろそろ買い物していかないとな」
「そうですね。まずはあっちのお店に参りましょうか」
「了解」