クラスから追放されたけどこちらは元気に温泉ハーレムやってます 作:姫ノ木あく
※R-18描写多めです。苦手な方はブラウザバック推奨
※ノクターンノベルズに同時投稿しています
と、思ったんだけど
「…………どういうつもりだファータ」
『クーフラリルルルワイゼラ(クーフ)』、チーム〈シルヴァ〉の主戦力の長剣使いだ。
「人間の……しかも男の人を連れてくるなんて、あり得ない……」
『タラルヴィシュルルレンシア(タラル)』、ロングボウの達人。男性恐怖症なところがあるらしいからこの対応もわかる。
「それにどう見ても普通の人だわ。仕合に出てもすぐ死んじゃうだけよ」
『ティークルルルワイゼラ(ティーク)』、クーフの妹でファータより若いが注目されているショートソードの使い手だ。
「………………」
そして、右のソファにはもう一人、さらに小さく見える少女が寝ていた。
我関せずと言った様子だが、彼女は戦士の中では有名人の一人に数えられている成人の"ドワーフ"、『テラリア』だ。
神妙な雰囲気の中ファータが真剣な表情でもう一度言った。
「この方がお師匠様がおっしゃっていた次の指導者に間違いありません。わたしの『アーケン』もそう言っています」
「ふざけるな!! フィーナ師のことは私も尊敬し心底信頼しているが、この男が次の指導者などと言うことだけは絶対にあり得ない! だいたいフィーナ師とおまえの予言じゃその精度が違いすぎるだろう!」とクーフは俺を睨みつける。
実際多田の高校2年生だしなぁ……。
まあ、黙っていよう。
と思っていたら、俺のスマホについてるアクリルキーホルダーが気になったのか、ソファに横になったままテラリアがちょいちょいとキーホルダーを弄りはじめた。
中一くらいの女の子にしか見えないけど成人のドワーフなんだよな?
でもかわいいな。
俺がスマホを取りだしてキーホルダーをチラチラと揺らすと、構ってもらえたのが嬉しいのかテラリアも仔猫のようにキーホルダーに飛びついてくる。
「ふざけるなと言ってる!」
「お師匠様の遺言に間違いがあろうはずがありません! それにわたしはわたし自身の直感にも今回ばかりは間違いはないと思っています! まだ未熟とは言え、これでもフィーナの弟子です。自分が"必ず"だと思った予言は"必ず"的中いたします!」
だが俺たちがそんなことをしている間にも口論はますますヒートアップしていた。
「チーム〈シルヴァ〉の代表者はおまえだファータ。おまえが決めるがいい」
クーフはファータに背を向ける。
「だが、本当にこの男を参入させるというなら、私はこのチームから抜けさせてもらう。それで、いいな?」
「……これは我が師フィーナの遺言を実現させるものです。この方にはチーム〈シルヴァ〉に入ってもらいます」
ファータは真剣な表情のまま、半分涙を浮かべそれを言い切った。
「だそうだ。私は抜ける。タラル、ティーク、おまえたちも好きにしろ。ファータ、私の分の『ヴァロ』は分けてもらって構わないな? 私とてフィーナ師を生き返らせたいのだ」
そう言ってクーフが部屋を出ていくと、タラルは一瞬だけ困った顔をしてクーフを追いかけた。
残ったティークの方も「ごめんねファータ」と言い残して、続いて部屋を出ていく。
「はぁ……代表者はわたしだけど、追放されたのはむしろわたしの方かぁ……」
ファータは机に顔を突っ伏した。
「ハハハ、それでもあそこまできっぱりと言い切ったんだ。アタシは自分の信念に忠実なやつが好きだ。こっちに残ることにして正解だったと思ったね」
「テラリアさんも向こうに行ってもよかったのに……」
「アタシはフィーナに頼まれてこのチームにいる。特にファータのことをよろしく頼むってな。その契約を破るつもりはねえぜ」
そういってテラリアはカラカラと笑った。
その豪胆さはさすが成人越えのドワーフと言ったところか。
「ところで兄ちゃん」
「雪夜でいい」
「んじゃ、雪夜。おまえの方はいいのかよ。突然連れてこられてチームに入れだの、そのチームは分裂だの」
「そうです! 雪夜さんのご意向も聞かずに下りました! 申し訳ありません!」
「いや、謝る必要はないよ。どの道俺もどっかしらのチームには入れてもらわなくちゃいけなかったんだ」
「ええ?」「なんかワケありかい?」
俺はクラスから出てきた経緯を洗いざらい話しだす。
それは俺たちのクラスがいつも通りの授業を行っている最中のことだった。
突然震度5~6はあろうかという地震に見舞われたのだ。
だが、それが単なる地震でないことはすぐにわかった。
教室の外に広がっていたのは古代ローマ風の建物の数々で、巨石を積んで作られたアーケードや巨大なコロッセオが見えていたからだ。
その上、そこに身長30センチ前後の妖精たちが現れた。
頬をつねっても目は覚めない。
どうやらここは本当に異世界のようだった。
妖精たちに案内されて連れてこられたのは、教室の窓からも見えていた巨大なコロッセオ。
そこでは、重厚な鎧を身に纏った戦士が、飛び跳ねる様な動きをする巨大な斧と戦っていた。
よく見れば、飛び跳ねる巨大な斧は長く青い髪を2つに結んだ小さな女の子が振り回していて、鎧の戦士と互角以上の闘いを見せていた。
斧の少女が叫ぶ!
「ファータ! 急げ! すまねえがこっちは間に合いそうにねえ!」
それを受けてか、鎧の戦士の横をショートボウを構えた金髪の少女が駆け抜けていった。
その方向にはなぜか巨大な氷柱がそびえ立っており、30代くらいに見える金髪の美女が磔になっている。
そのそばには筋肉の塊の様な大男が
「お師匠様!!」
無情にも金髪の少女がその言葉を叫んだときには、もう遅かった。
強大な剣は美女ごと氷柱を貫いていたのだ。
「チーム〈シルヴァ〉の代表者、フィーヌアトラシルルファレンシアの死亡を確認しました。この仕合はチーム〈バザンギア〉の勝利で――」
他にも褒賞がどうとか言っていたが、俺も気分が悪くなってここまでしか耳にしていない。
「いやぁ、凄まじい仕合でしたねぇ! どちらもここまで無敗で来ていた強豪チームだったんですよ! ここ最近でも最高の激戦だったのではと!」
「うるせえよ! 誰が異世界プロレスを見せてくれって頼んだんだよ! なにがどうなってんのか説明すんのが先だろ!」
自分たちを案内役と称していたうちの1人の妖精を
よほど怒っていたのだろうか、その羽根の付いた小さな体をギュッと締めあげる。
天藤義一郎という男は先生たちの前では優等生、野球部ではキャプテン、隠しきれないオレ様気質がいつもハナに着く。
今回ばかりは俺も止める気にはならなかった。
だが、俺の腕掴んで震えていた幼なじみ
「ダメだよ、止めて。それじゃ説明も聞かせてもらえない」
「天藤、そこまでだ。おまえが怒るのもわかるが、まずは話を聞かせてもらえないとな」
「……ちっ」
天藤が妖精を離すと彼女は宙に浮きながら咳き込んだ。
「あ、あの、すみませんでした。みなさんの立場も考えずに興奮しちゃって……」
他の案内役も揃って、5人で頭を下げる。
右からプランタン・ラビュー、チャイム・スマイル、ガーネット・ノア、ドルリエン……そしてまだ首を押さえているのがフライグ。
身長は25~35センチ、外見年齢もまちまちだが、羽根が生えていて自在に空を飛べる。
もっとも天藤のように多少運動神経がよければ捕まえることはできそうだ。
「えーと、説明もせずにコロッセオに連れてきてしまったのは、今の仕合がもう始まってしまいそうだったからなんです。実際、着いたときにはもう始まっていましたが……端的に説明すると、あなた方にもあのような仕合を行ってほしいのです」
「はぁっ!? どういうことですか、それは! 私はこの子たちの担任の教師です。生徒にそんな危険な真似はさせられません」
今度はプランタンに
プランタンは5人の案内役のうちで一番大きいがそれでも35センチ程度だろうか。
「生徒たちだけではありませんよ? 清水まい先生、あなたも立派な闘技者の1人です!」
「闘技者……?」
「この世界〈アガルタ〉にやってきた異世界の戦士のことをそう呼びます。闘技者はアーケンと呼ばれる個々に違った不思議な力が使えるんですよ?」
「アーケン……? これのことか!」
プランタンの言葉が終わるか終わらないかの間に、天藤と同じ野球部に所属してる
なるほど、あれがアーケン。
ああいう特殊な能力が俺にもあるって言うことか。
「やめなさい加治田くん! これはなんだか危険な気がします! 私にもそのアーケンというのがあるということなら、まずは私が試します!」
いつもは気が小さいまい先生も、こういうところではちゃんと引率の先生をやっているな。
まい先生はブルブルしてる時よりも、勇気を振り絞ってるときがかわいいんだ。
それはそれとして。
「少し開けた場所がほしいわ。私のアーケンはそういう力な気がするの」
とまい先生は自分の周りから生徒たちを引き離した。
だいたい半径5メートルから10メートルもないくらいの円状だろうか。
まい先生はゴクリと喉をならして右手をかざした。
真剣な表情だ。
「私にだってどうなるかわからないわ。みんな! 私がどうなるか、どんな力が出るのかをしっかり見ていて! いい? 行くわよ!?」
そして、改めて口を開く。
「〈ギガンテス〉!」
その瞬間、まい先生の身体が一瞬にして巨大化した。
身長にして今までの5倍の大きさはあるだろうか。
確かに生徒たちを離しておいたのは正解だった。
「やった! ほんとうにできたわ! 私、夢を見た時みたいに大きくなれてる! それもすっごく!」
先生は自らのアーケンの発動に喜んでいた。
大概の女子たちは目を丸く見開いているか、きゃーと悲鳴をあげていた。
男子生徒たちは先生の言いつけを守って、その光景をしっかり見ていた。
それはもう、じっくりと見ていた。
そして俺はその中でも、かなりいいポジションで見てしまっていた。
ぶっちゃけ最高だった。