クラスから追放されたけどこちらは元気に温泉ハーレムやってます 作:姫ノ木あく
※R-18描写多めです。苦手な方はブラウザバック推奨
※ノクターンノベルズに同時投稿しています
ファータが言った。
「テラリアさん、そろそろ傭兵を控えて体力温存に切り替えませんか?」
「ん? なんでだ? 復活代のヴァロまでまだ届いてないよな?」
「そうなんですけど、ここのところチーム〈シルヴァ〉自体の対戦が多くなりそうなんですよ」
「〈プレコグニション〉か?」
「それでも出てますし、雪夜さんも」
「俺が興行主なら、届くか届かないかって仕合を組むかなって。特に強敵相手に2~3戦、一戦負けたらはい終り、みたいの」
「ああ、なるほど。でもなぁ、『女王様コース』のおかげで体調万全なんだよなぁ」
そこに小さなノックが聞こえて会議室にカナが入って来た。
「次のチーム〈シルヴァ〉の対戦相手が決まりました。チーム〈アスモデス〉になります。仕合開始は24時間後になりますのでお気をつけください」
「〈アスモデス〉か。中堅クラスでも上の方だな。最近調子もいい」
「やっぱりって言うところですね」
「特に疲れてるとかじゃねえんだが、また24時間後か。正直、時間はもう少しほしいところだな」
「いや、うちにとってはポジティブ要素だぞ、それ」
「なんでだ?」
「うちには俺の〈カタログ〉情報とファータの〈プレコグニション〉があるからな。他のチームより短時間で相手チームへの対策が立てやすい」
「なるほどな。ただ体調の調整がしにくいんだよな」
「それは回復系のアーケンを持ってるチームとかが有利になったりするかもな」
「確かにな。そんで今度の〈アスモデス〉ってチームはどんなチームなんだ?」
「いつも通り戦力差はあるな。それに厄介なのが飛び道具で――」
などと作戦会議をしてると、会議室扉をノックするものがあった。
「どーぞー」
ドアが開くと挿入ってきたのは堀江心晴と佐々木翠だ。
「今度仕合があるって聞いたんだけど」
と心晴。
「ああ、今度っていうかもう1日ないな」
「チームの枠、まだ空いてるなら僕を傭兵に入れてみない?」
「私もです! 私が魔法をもっとちゃんと使えれば、クラスの騒動の時ももう少し上手くできたと思うんです!」
「2人も傭兵に入ってくれるのか!?」
「それは助かる!」
みんなが今度はファータの方を見る。
「こちらはもちろんOKです! 大歓迎です!」
「でも、メンバーが増える分オッズは下がっちゃいますけど、それは大丈夫ですか?」
カナの説明にメンバーの視線が集中した。
「チーム〈シルヴァ〉は現在メンバーが足りていませんが、その分、オッズが稼ぎやすくなっています。例えば〈グレナディア〉戦は稀にみる高オッズの3.5倍となりましたが、その分35ヴァロという高額の報奨金が取得出来ました」
「なるほど、オッズはチームの強さの予想から立てられるから、メンバーが揃えばその分下がっちゃうわけか。そうすると簡単に傭兵に加えてくれとはいえないか。このチーム、4人でも余裕で勝っちゃいそうだし」
心晴ががっかりしたように言う。
「いや、2人が加わってくれるなら加わってもらった方がいい。少なくとも今回に限っては間違いなく」
「なんでです?」
と翠。
「2人とも仕合未経験者だからだよ。オッズが下がるとしても、そこまで下がるとは思えない。だったら勝率を上げる方がいい」
「私もそう思います。是非、2人のお申し出を承りましょう。――あ」
「ん?」
ファータの気づきに反応すると、彼女は苦笑いをして両手を振った。
「えーと、ですね。今の選択で、はっきりとした〈プレコグニション〉が見えました」
「おお、それで?」
「大圧勝のヴィジョンが見えてしまったので、逆にみなさん気を引きしめていきましょう。いつも通り、戦力分析と作戦の発案を雪夜さんにお願いします。どれくらいあればいいですか?」
「ものにもよるけど1時間後くらいでどうだろう」
「それではみなさん、解散して1時間後に再びここに集まってください。わたしも〈プレコグニション〉で仕合の流れを予想しておきますね」
「助かる。それじゃあ」
そうして、それぞれ会議室を出ていく。
その時、心晴が俺にだけ聞こえる声で言ってきた。
「えっちだけじゃ雪夜のハーレムじゃないもんね。仕合でも役に立つよ」
そして、トンと俺の胸を突いて自分の部屋の方へ去って行く。
「心晴さんともずいぶん仲よくなれたようですね」
「翠」
「実は私、心晴さんとは結構仲のいい友達なんですよ。実は男装の件も相談を受けてました」
「そうだったんだ」
「コンビネーションもとれると思いますので、作戦にもバンバン使っちゃってくださいね」
「それは助かる。ありがとう」
「では、作戦がんばってくださいね」
翠もそう言って心晴の背中を追いかけていく。
「…………」
「ん? シャリアス、どうした?」
「私は邪魔にはならないですか?」
俺はシャリアスの頭を撫でた。
「人数が増えるっていったとき、テラリアがなにかいったか? シャリアスの戦力はテラリアが充分知ってる。あいつの性格だ。要らなければ要らないって言ってるよ」
ホッとした顔を見せるシャリアス。
実際、〈カタログ〉で見てもシャリアスの各能力値は格段に伸びていた。
特に瞬発力と器用度に優れていて、元から優れていた気配を隠す能力と相まって、だいぶ暗殺者らしい能力が育ってきている感じだ。
シャリアスにはあまり暗殺者じみた真似はさせたくはないのだが、それを仕合という形式で、特技として伸ばしてやるのはいいことのように思えた。
そういう意味では大して戦力として変わってないのは俺だ。
なぜか体力、耐久力、精力は恐ろしいくらいにグングン伸びている。
とはいえ剣が使えるわけでもなし、弓が使えるわけでもない。
今のところ、攻撃を受けないように走りまわりながら指示を出しているような状態だ。
テラリアなりファータなりの授業の成果が、俺にも出てきてくれればいいのだが。
まあ、今ないものをねだっても仕方ない。今ある手の内でなにができるかを考えよう。
「降参! 降参だ!」
チーム〈アスモデス〉の代表者ダイモーン・フェドフィアスの声が響いた。
勝負は一瞬だった。
今回参入の佐々木翠が強すぎた。
翠はエルフとして魔法を使えるのだが、直接攻撃魔法として使えるのは〈フラッシュ・ボルト〉という光の矢を一本放つだけの魔法だった。
攻撃力自体も野球のピッチングマシーンから放たれる一球程度。
だが、翠のアーケン、〈サウザンド・ロッド〉との組みあわせが凶悪すぎた。
無数の杖を出現させた翠は、闘技場の舞台中に〈フラッシュ・ボルト〉を同時に発射、攻撃はもちろんチーム〈シルヴァ〉にも当たったがはじめから威力も知っているチームメンバーは、相手が混乱する中、各自相手の代表者ダイモーンだけを狙い、空中を駆けるアーケン、レインボーロードを持つ心晴がいち早くダイモーンに痛恨のインステップシュート(サッカーボールで)、ダイモーンが倒れたところにいち早く辿り着いたシャリアスが首元にショートソードを突きつけた。
ぶっちゃけ作戦とも呼べない強引な作戦だったが、結局〈アスモデス〉のメンバーは何の攻撃もこちらにすることができないまま降参宣言となったのだった。
「いやぁ、アタシなんにもやることなかったな! アハハ!」
「わたしもです」
とファータ。
「いや、ファータは〈フラッシュ・ボルト〉が当たらない各自のルートを予測してただろ」
「さすがにあの数では何発か当たっちゃってましたし」
「ファータ様のおかげで一発も当たりませんでした。おかげで私、相手を降参させることができました」
「ああ、よくやったなシャリアス!」
ナデナデした俺は走ってる途中で一発当たってコケて、次の瞬間勝利は決まってた。
「空中のルートが確保されてたのも助かったよ。インステップシュートも上手く当てられたし」
「心晴のシュートもすごかったな」
「私も褒めてください~!」
「いやいや、全部翠の魔法とアーケンがなきゃできなかったことだろ。誰が見ても当然すぎて話題に出てなかっただけだよ」
「本当ですかぁ……?」
「ほんとほんと」
みんなで翠をナデナデすると、翠はすぐに機嫌を直してニコニコと笑い出した。