クラスから追放されたけどこちらは元気に温泉ハーレムやってます 作:姫ノ木あく
※R-18描写多めです。苦手な方はブラウザバック推奨
※ノクターンノベルズに同時投稿しています
「雪夜さん、大変です!」
新入りの心晴と翠にもたっぷりとセックスしてさっぱりして温泉を出てくると、カナが慌てた様子でやって来た。
「チーム〈いのちをだいじに〉に次の仕合がセッティングされました!」
「なに!?」
チーム〈いのちをだいじに〉のメンバーは細江みのり、三木蒼、佐々木翠、堀江心晴、鴨江満春、
だが代表者である細江みのりと、大平雫の2名は天藤たちの方に捕まっている状態だ。
他のメンバーが出ることは可能だが、代表者の細江みのりが出場できないとなるとどうしても不戦敗になってしまう。
罰則分のヴァロは徴収されるし、試合出場経験もつかなくなってしまう。
「さすがに仕合に出場はさせてくれると思いますけど……」
と翠が困ったように言ったが、その言葉のニュアンスがすべてを物語っていた。
細江みのりの不出場の可能性。それがどうしても頭をちらついてしまう。
※ ※ ※
チーム〈ちきゅう〉とチーム〈いのちをだいじに〉の反乱の際のことだ。
細江みのりは鴨江満春と大平雫に指示を出して、とにかく他のメンバーをチーム〈シルヴァ〉と合流させることを選んだ。
鴨江の超広範囲を暗闇に包みこむ〈ミッドナイト・アンブレラ〉で周囲を暗くした上で、空中をキャンバスに見立てて絵を描くことができる大平の〈エア・キャンバス〉で迷い道を大量に描かせた。
その上で、手のひらに光の玉を作り出してそれを自在に動かすみのりのアーケン〈ウィル・オ・ウィスプス〉で天藤派の動きを最後まで誘導し続けたのだ。
その結果、鴨江はなんとか逃げてくることができたが、足の遅い大平雫と最後まで相手を誘導していた細江みのりは捕まってしまった。
チーム〈ちきゅう〉の方は戦闘力のない女子3名、仁科芽衣子、小笠原美雪、海野光、は先に逃がし、戦闘力の高い男子3名、安曇野万丈、刈谷原竹重、小岩井新、でまい先生と体力回復能力で天藤組の要となっている宮本ゆかりを救出しに行った。
だが、実は天藤組から密命を受けていた小笠原新にハメられ、安曇野も刈谷原も捕縛されてしまったという状況だった。
「どういうつもりだ!」
〈スーパーマーケット〉で取りだした竹刀で床を叩きつける天藤義一郎。
目の前には捕縛された細江みのり、大平雫、安曇野万丈、刈谷原竹重の4名がいた。
そこには小岩井新もいたが、天藤の後ろに縛られることもなく立っている。
「小岩井! おまえが裏切り者だったとは!」
「裏切ったのはそっちだろ! 俺ははじめから天藤くんの言うとおりに動いてただけだぜ!」
「小岩井には感謝してる。小岩井の話がなければ、まい先生も〈シルヴァ〉側に捉えられて。完全にクラスが分断するところだった」
「私たちがここにいる時点でクラスはもう分断してるわよ! 分断させてるのはアンタだわ、天藤義一郎くん!」
「なんだと!?」
怖れ知らずの細江みのりの台詞に、天藤は再び竹刀を地面に叩きつけた。
「それだよそれ」
と刈谷原。
「ここは野球部でも運動部でもねえんだ。ただでさえストレスやプレッシャーで押し潰されてるヤツらが多いのに、どんどん高圧的、暴力的になっていくおまえのやり方についていけなくなったんだよ!」
「こんな状態でこんな人数をまとめなくちゃいけないんだ! 多少の強引さがなければなにも動かないだろうが!」
天藤の怒りは止まらない。
「それにまい先生だって未だに俺にこの状況を任せてる。俺がこのクラスの指導者であることが認められている証拠だ!」
細江みのりが言った。
「それで最初にやったことが自分が気に入らないクラスメイトの追放とは恐れ入るわね」
「貴様!」
さすがに竹刀は使わなかったが、天藤は捕縛されている細江みのりを思いっきり引っぱたいた。
まさかの行動に、周囲の人たちはみんな息を呑む。
捕縛されてる者たちはもちろん、小岩井や天藤派の者たちもだ。
だが、それは天藤自身もだったようで、みのりの頬を叩いた手を握りしめると、「おまえたちの言いたいことはわかった。尋問はこれで終りだ」と言って部屋を出ていった。
「みのり、大丈夫?」
雫は叩かれたみのりを心配して言った。
「こんなの平気よ」
唇を舐めると少し血が出ているのがわかった。
「……正直、私もヒステリックになっていたのは否めないわね。多分天藤くんが一番気にしてるだろうことを思いっきり言っちゃったから」
それはクラスメイトたちが少なからず気がついていたことだった。
天藤が雪夜を嫌っているのはわかっていたが、天藤に対して、「悪いものは悪い」を面と向かっている人物は雪夜しかいなかったのだ。
雪夜がいなくなったことで、天藤をまじめに止められるものがいなくなった。
それが天藤自身のストレスの元になっている。
面と向かって文句を言える雪夜こそが、天藤にとってのストレス解消役だったのだ。
「状況が状況だとしても、義一郎はあそこまで高圧的なヤツじゃなかったはずだ。少なくとも縛られてる女の子を殴るなんて考えられない」
「やっぱり雪夜を追放したのがあいつのタブーだったんじゃないか?」
「嫌っているヤツを都合のいい理屈をつけて追い出したんだからな」
「そもそもチームメンバーは余っていてもよかったんだ。あの時、義一郎以外の誰かがそれにさえ気付いていれば、ここまでのことにはなってなかったかもしれない」
「だがそれに今さら気がついてもな」
「この状況で天藤が雪夜に頭を下げると思えないし。雪夜には天藤に歩みよる理由が特にないしな……」
というのが、天藤派に捕縛された組の一連の流れだった。
※ ※ ※
「みんな、いったんクラスに戻った方がいい」
チーム〈いのちをだいじに〉の仕合を聞いた直後、みんなのいる前で俺はそう言った。
「みんなって……〈いのちをだいじに〉だけじゃなく、〈ちきゅう〉もってことか?」
チーム〈ちきゅう〉の代表者仁科芽衣子がそう尋ねる。
「そうだ」
「あたしたちが邪魔だって言うのかよ!」
「それは違う。体力はあっても回復力がない〈シルヴァ〉はいつでも人手不足だ。チーム〈シルヴァ〉として考えるなら、このまま天藤派やクラスのみんなが分断しても何のデメリットもない。いや、使えそうなヤツを個人単位でスカウトできるだけメリットしかないかも知れないな」
「じゃあなんで……」
「天藤の今の目的はクラスを一つにまとめることだからだ」
「え、じゃあ雪夜さんもお戻りに……?」
「それも考えたが、やっぱりそれは違うと思う。天藤のトラウマは、俺を追放したことでクラスが瓦解したと思われてる可能性が高いってとこだ。だから、俺を追放したままクラスをまとめないと天藤自身の気が済まない」
「面倒くさい野郎だな」
と三木蒼。
「クラスに戻るとして、俺たちはどうすりゃいいんだ? 『ごめんなさい、僕たちが間違ってました』って言って頭を下げるのか?」
この提案の一番いやな部分を親友の鴨江満春が指摘する。
さすが俺の親友をやってるだけはあると思う。
「済まないがそれしかないと思う」
「あんなヤツに頭を下げろっていうのもな」
元々天藤に反対気味だった〈ちきゅう〉の代表者仁科は不満げに言う。
「みんなにももう一度考えて欲しい。今、一番大切なことはアースのヴァロを少しでも下げないことだ。二番目にクラス全員を仕合に出場させること。タイムリミットも迫ってきてるしな。その上で戦闘力が高かったはずの〈ライオン〉が敗れてる状況はかなりヤバイ。不戦敗は避けたい。というのが俺の意見だ」
「〈いのち〉が戻ったとしてさ、こっちが負ける可能性は?」
「相手チームの情報も俺のアーケンで見たが、翠と心晴がいれば負けることはないと思う。それはさっきの戦闘でも痛感した」
チーム〈いのちをだいじに〉のとチーム〈ちきゅう〉の面々はひとしきり悩んでいた。
当たり前だ。せっかく必死の思いをしてチーム〈シルヴァ〉に来たのに、自らの意志でまた戻らなくてはならないのだ。
謝罪をするというのも頭に大きくのし掛かっていた。
なぜ謝罪をしなくてはならないのか。
自分たちが本当に悪い側なのか。
だが、そこから真っ先に追放されたはずの男が、そこで一言言った。
「天藤は敵じゃない。クラスメイトだ」
その言葉に最初に答えたのは心晴だった。
「うん……うん、確かにそうだ、僕は納得したよ。天藤のところに戻って謝罪する。本当はもっと一緒に雪夜と戦いたかったけどね」
「傭兵は時間が空いてればまたできるよ」
「うん」
「私もチーム〈いのちをだいじに〉に戻ることにいたします。みのりさんを放ってはおけませんし」
「ありがとう、翠」
「その代わりと行ってはなんですが、また雪夜さんの元に戻ってこられるように、ちょっとしたおまじないをかけさせてもらってもいいですか?」
「構わないよ」
「では失礼して、左手の小指を出していただけますか?」
「ん? こうか?」
翠は細い細い赤い糸を取りだして、俺と自分の左手の小指を結びつけた。
「これは結んだ相手同士の縁を結びつけて、連絡をつけられるようにする魔法です。赤い糸は、すぐに透明になって見えなくなりますよ? あ、ほらもう消えてきました」
「翠とすぐ連絡を取れるのはいいな! こんな便利なものがあるなら早く言ってくれよ」
「まあ少々事情がありまして、これでもおいそれと使うわけにはいかない非常に貴重な魔法なんですよ」
「そう聞くと、今度は逆に今使っていいのか? って気になるな」
「今がその時だと判断いたしました。きっと役に立つと思います。よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしく」
あまりの丁寧さに俺も思わず丁寧に応じてしまう。
「〈いのち〉の2人が帰ることを決めたなら、こっちも従うしかないな」
「俺もそうなるな。当然」
と三木と鴨江。
「ふぅ、納得したわけじゃねぇが、雪夜の提案に従うよ、あたしは」
チーム〈ちきゅう〉の代表者仁科芽衣子だ。
同じ〈ちきゅう〉の小笠原美雪と海野光もそれに同意して頷いた。