クラスから追放されたけどこちらは元気に温泉ハーレムやってます 作:姫ノ木あく
※R-18描写多めです。苦手な方はブラウザバック推奨
※ノクターンノベルズに同時投稿しています
「よかった。天藤はもう元に戻ってくれたようだな。もしかしたら、今まで以上に成長してくれたのかもしれない」
「まい先生の身体綺麗でしたね」
「……ファータさん?」
「ふふふ、こんなことで嫉妬したりしませんよ。でも、あんな素敵なものを間近で見せられたら年頃の男の子は大変でしょうね。事件が起きかけた理由も少しだけ納得できます」
ファータはなにか書きつけていたものをやめて、ドアの方を見つめた。
「いやな報告がなにかくるようです」
ファータの言ったとおりやってきたのは案内役のカナだ。
「48時間後シルヴァとシンシルヴァの仕合が組まれました」
「48時間後か。いつもより余裕があるじゃないか。とりあえず、みんなを会議室に集めてくれ」
雪夜の指示通り、チーム〈シルヴァ〉の面々はすぐに会議室に集まった。
「〈シルヴァ〉同士の戦いか。運営はどちらかを潰したいのか?」
とフォーフォリア。
「組まれるとしたら次の仕合だと思ってたよ。今回のだとヴァロがちょっと足りないけどもう一戦こなしてからならフィーナ復活代のヴァロを越せるからな」
「でも、ここで一敗したらかなり厳しい状態になります。それに考えたくありませんが、『全滅ルール』を狙ってる可能性も……」
『全滅ルール』は文字通り、相手を全滅させた場合の取り決めだ。チームが全滅した場合、所持していたヴァロがすべて全滅させた方のチームに行く。
チーム〈シルヴァ〉がヴァロが足りなくても避けてきたルールだ。
「〈シンシルヴァ〉はすでに一敗を喫しています。今盛りあがる組みあわせとも思えません」
「いや、それがそうとも言えないんだ。ここのところのテラリアの傭兵連勝振りは知ってるだろう? 今、ドワンガンとテラリアの闘いは注目されてるよ」
「いやあ、アタシも有名になったもんだねぇ」
「そりゃあんだけ連勝すれば有名にもなりますって!」
「やっぱここの温泉が身体にいいんだろうね、にひひ」
その返答になぜかプライムは背中になにか入ったように硬直する。
「そ、そういうこともあるかもしれないッスよね!」
「まあ、どの道ドワンガンと相対するのはアタシになるだろうさ。それよりフォーフォリア、アンタはどうするんだい?」
「せっかくドワンガンのいるチームとの組みあわせになったんだ。ここはドワンガンを戦闘不能にした上で勝ちたいね」
「バザンギア同士で闘うのかいって意味で聞いたんだけどね、やる気満々で助かるよ」
「バザンギア同士で闘うのはむしろ当たり前さ。だけど不甲斐ない話、私じゃまだ実力に差があると言わざるを得ない。トドメを刺すのは私じゃなくていい。ドワンガンを倒す術を考え出してくれ作戦参謀殿」
「もちろんだ。俺としてもクラスのヤツらが勝てたチームに負けたくないしね」
「それです、雪夜さん。チーム〈アース1〉の勝因はどこにあったのでしょう」
ファータが言った。
「端的に言って相性だな」
「相性……」
「俺の世界アースではゲームが流行っててね、今俺たちがやってるような闘いのシミュレーションを随時してるようなものなんだよ。その中でよく出てくる要素が相性なんだ」
「このまえのアウエリア戦のようなことか?」
「あれは極端なパターンだけどな。俺たちにはさらファータの予知があったけど、アースチームにも同じようなことができるヤツは何人かいるよ」
「アース、平和な世界に見えて結構侮れませんね」
「ゲームだけじゃなくて、世界のどっかじゃ常に戦争が行われてるよ」
やはり他の世界もそう言うものなのだろう。
みな一様に腕を組んで頷いた。
「ところでテラリア、疲労の方はどうだ?」
「まあ、さすがにちょっと疲れちゃいるが『女王様コース』の一回も受けりゃ、あとは寝てりゃ回復するだろ。今度は1日以上あるわけだし」
「『女王様コース』?」
フォーフォリアが疑問の声をあげたが、なぜかプライムがまあまあと抑えた。
「はっきり言って今のテラリアは、数値からみてドワンガンと大差ない。状況、環境、運、それとちょっとしたアーケンの使い方だけで勝敗が決まりそうだ」
「アタシゃドワンガンとの1対1には興味はねぇ。それだけの差だってなら、余裕で戦闘不能にできる目はあるんだろ雪夜」
「ざっと考えただけでもいくつか。ただ、他のメンツも相当レベルが高いし、クーフたちもずいぶん成長してる。俺はできれば全員無傷で勝利させたいからな。時間もあることだし、そこはもうちょっと考えさせてくれ」
「今回みなさんに集まってもらったのは、この6人のチームで正式に登録していいかの確認です。何しろ相手は今まででの一番の強敵になりますから。ただオッズは未だにこちらの方が上の予想です。美味しい仕合と言ってもいいかもしれません」
こうして見るとファータもすっかり代表者らしくなったもんだ。
「俺が見たところ個々の戦闘力の合計はほぼ互角って出てるんだが、〈プレコグニション〉での見通しはどうだ?」
「勝ちの目しかありません」
「しかない?」
「当たり前です。常に同じ攻撃力を持つ『じゃんけん』。先に相手の手を知ってそれに対した手を出す。雪夜さんが、先ほど相性と言っていたものですよね。負けるはずがありません」
しかし、ファータの表情は硬く厳しい。
「ですが、クーフたちの意志は硬いようです。わたしたちの〈シルヴァ〉に戻ってくる未来が見えません。わたしが引き継いだチームは本当に『チーム〈シルヴァ〉』なのでしょうか。それとも……」
「その解決方法はすでにある。世界〈シルヴァ〉が買えるまでヴァロを溜めればいい」
「まあ、ではアースもですか?」
「そうだな、その手伝いはする気だよ。俺はもうファータたちとシルヴァで生活する気だし。後は翠のアエテルナミアもかな。あっちはどうなってるのか知らないけど」
「アースに戻る気はないんですか? それはそれで心配になってしまいますけど」
「絶対にアースに戻りたくないって話じゃなくて、将来の話として、このチームのみんなと暮らしたいって思ってるんだ。だったら、戻るところはアースじゃなくてシルヴァかなって」
「なるほど。ではわたしももう悩む必要はなにもありませんね。雪夜さんと共に過ごす未来こそがわたしのシルヴァです」
みんなのいる前だというのにそう言って俺たちは笑いあった。