クラスから追放されたけどこちらは元気に温泉ハーレムやってます 作:姫ノ木あく
※R-18描写多めです。苦手な方はブラウザバック推奨
※ノクターンノベルズに同時投稿しています
チーム〈ちきゅう〉の代表者仁科芽衣子はひょんなところで小学校からの腐れ縁である小笠原美雪とであった。
ひょんなところとは、チーム〈アース1〉の代表者天藤義一郎が『生徒会室』と呼ぶ会議室だ。
天藤はここで作業をしていることが多い。
「どうしたんだよ美雪、こんなところで」
「芽衣子こそ」
その後十数秒、焦れたように芽衣子が言った。
「直談判だよ。チームの構成についてさ」
「あら、奇遇ね。私だわ」
「フン……んじゃ一緒に行くか」
「そうしましょう」
コンコン。
「天藤、いるかー?」
しばらくすると、扉が開いた。
開けたのはサッカー部の新納朝陽だ。
「なんの様だ?」
「天藤にチームの構成について提案があってな」
そう聞いて部屋の奥でなにか書き物をしていた天藤がようやく顔をあげた。
「聞こうか。まずは仁科からだ」
えっらそーに。と思いつつ芽衣子が話す。
「あたしのアーケンだが、ようやく仕合での使い道が見つかった。それを活かすためにチームの構成について提案がある」
「なるほど。小笠原の方は?」
「私も自分のアーケンについて真剣に考えたの。三薗くんにも殻が破れる前だって言われていてね。でも今のままじゃ、仕合以外の時だってアーケンの使い道なんてありはしないわ」
「それで?」
「気がついたのよ、私のアーケンがキーボードだってことに」
「ん?」
「私がキーボードを使うときは芽衣子とバンドを組むときだけ。自分の得意なものがアーケンに関係するなら、私のアーケンはピアノになっていたはずだわ」
「美雪、おまえ……。バンドの代打やらせたときはいつも文句ばっかだったじゃねえかよ!」
「文句はしょうがないでしょ! でもみんなで音楽を作っていくのは楽しかったのよ!」
「……っ」
美雪の素直な言葉に真っ赤になって絶句する芽衣子。
「それで、仁科のアーケンの方はどうなんだ? 使い道というのは?」
「あたしのはホントに小さなことさ。この前の仕合の時、最後一瞬ヒヤッとするシーンがあったのは知ってるか?」
「ああ、仁科への敵の接近に加治田が気がついてピンチを脱したヤツだな。それがどうした?」
「あん時あたし、接近する相手に向かって使ったんだよ〈ボーカル・メッセージ〉を!『右から来るぞ気をつけろ』って。そこに加治田の〈ライトニング・バット〉が決まったって流れだったんだ。それがなくても加治田の攻撃は当たってかもしれねぇ。でも、相手の反応から、〈ボーカル・メッセージ〉が誘導に使えてたことは事実なんだ」
「おまえのアーケンは、歌の歌詞とは別に、任意の対象に他の意味を伝えられるということで合っているか?」
「ああ……そうなる」
「それで、そもそも歌を届けるためにアカペラは曲が合った方がいい。だから小笠原と組ませろということか。つまり2人で同じことを言いに来たわけだ」
「言っておくけど偶然だぞ!? ここのドアの前で会った」
「芽衣子の言ってることは事実です」
「ああ、俺もそんな会話がされてるのを耳にしてる」
と入り口にいた新納も証言した。
「いや、いい、わかった。チームの構成については、常に状況によって入れ替えていくつもりだ。次のチーム〈ちきゅう〉の仕合が組まれた際には考慮に入れておこう」
「「やった」」
「ただし、決定じゃない。あくまでも考慮だ。代表者に攻撃力がないチームの調整は本当に難しいんだ」
「考慮に入れてくれるだけでもありがてぇ。また無能力者2人はダメだとか言われるとばかり思ってたぜ」
「戦闘能力がないヤツをチームに複数入れるのが不利なのは事実だ。今回の件、仁科のアーケンに使い道があることがわかったことがでかい。その上で、小笠原のアーケンに関してはまあ希望的観測というヤツだ」
美雪はその言葉にこぶしを握りしめたが、にっこりと笑って退室することにした。
「アーケンの成長か……」
実際、天藤義一郎のアーケン〈スーパーマーケット〉は大きな進化を遂げた。
今戦力になっていないクラスメイトも成長次第で戦力になるかもしれない。
〈ウォリアーズ・カタログ〉……。
今ヤツのアーケンはどうなってる!?
〈シルヴァ〉の連勝は本当にあいつのおかげなのか?
それともさらにアーケンとして成長しているのか?
だいたい、今俺がやってる作業だって、ヤツの〈カタログ〉があればもう少し簡単に整理できたんじゃないのか?
「天藤。海野さんの料理、本人が料理が上達してるのかアーケンが成長してるのか知らないけど、最近すごく美味くなってるよな。作るスピードも上がってるし、一部では体力が一瞬で回復したなんて言ってたヤツもいるみたいだぜ?」
「海野の〈クッキング・テーブル〉なら使用頻度も高いし、本人も食べてもらえて嬉しいらしいしアーケンがその分成長してもおかしくないかもな」
天藤はまた書き物に戻る。
そこにはびっしりとクラス一人一人の情報が書き記されてた。
◇ ◇ ◇
チーム〈ライオン〉のホスピタムにはサッカーができそうな広さの訓練場がある。
チーム〈ライオン〉のみならず運動部のクラスメイトは、各自ここで練習等を行っていた。
その訓練場を見渡せる一番端には、明らかにそこにあるには違和感があるオレンジ色のパラソルが開かれていた。
その下にはどこから出してきたのか、豪奢なティーテーブルやティースタンドがあり、かわいらしく装飾された椅子にはオレンジを基調としたドレスを着たお嬢様が座っていた。
しっかりメイド服を着たメイドも左右に侍らせている。
彼女の名は伊集院みかん。
もう一人のお嬢様小笠原美雪と違ってふわふわ系と言えばいいのだろうか。
異世界だからと言って、真っ先に制服からドレスに着替えてしまったお嬢様中のお嬢様だ。
アーケンは〈オレンジ・タイム〉。
会話術や洗脳に属する能力で、このアーケンの元でみかんとおしゃべりするとほわほわな気分で気持ちよく会話できるが、いつの間にか会話の主導権をみかんに握られ結論を出されてしまうというものである。
ちなみに、『チーム〈ライオン〉』というチーム名にいつの間にか決まっていたのは、このアーケンの力によるものだ。
「三薗雪夜さん、ずいぶん素敵な方になられていましたわね」
「はい、まさかあのドワンガン様の一撃を受けとめるとは思いませんでした」
メイドの1人種子島結菜だ。
「ええ、ええ。爆発の衝撃に耐えてすぐにドワンガン様の一撃受ける気になっていないと、いくら硬い鎧を身に着けていても、吹き飛ばされずにすみませんでした。よほどテラリア様の教育が良いのでしょうね」
そして手にしたオペラグラスで訓練場を眺め見る。
「島津さん、新納さん、上井さんの3人をここに呼んでください」
「かしこまりました」
種子島結菜と同じメイド服を着たもう1人のメイド、大友莉子が頭を下げてから3人を呼びにいった。
「集まりました!」
「ご苦労様です。練習の成果も出ているようでなによりです」
「「「はい」」」
「これからはアーケンを徹底的に鍛えていきましょう。島津さんは多少地形を壊しても構いません。シューティングスター・ショットをとにかくアーケンの限界まで撃ち続けてください」
「地形を破壊してでも、ですか?」
「知りませんでしたか? 大抵の地形は『ゴレム』が修復してくれますよ」
「知りませんでした! では山一つ切り崩すつもりで参ります」
島津はみかんに一礼してさっそく去って行った。
「新納さんと上井さんはセットで練習することにしましょう。上井さんのオクトパス・ボールを新納さんのワイルド・パンサーですべて止めてください。そちらのゴールが空いているのでそちらでやるのがよいかと思います」
「「かしこまりました」」
2人も一礼をしてゴールに向かっていく。
「お嬢様のオレンジ・タイムの力もずいぶん強まっているようで」
「いやだわ、それではわたくしが無理矢理訓練をさせているみたい。わたくしはただ、あの方たちのコーチを買って出ているだけですわ」