クラスから追放されたけどこちらは元気に温泉ハーレムやってます 作:姫ノ木あく
※R-18描写多めです。苦手な方はブラウザバック推奨
※ノクターンノベルズに同時投稿しています
◇ ◇ ◇
闘技者の遺体安置所はコロッセオの地下深くにあった。
俺が走って階段を下りていると聞き慣れた声が聞こえてくる。
「雪夜さん!? なんで仕合出てないんです!? なにかありました!?」
「翠か! もし可能なら手伝ってくれ、コロッセオの遺体安置所が荒らされてるらしいんだ!」
「遺体安置所が?」
「そこには〈シルヴァ〉の前リーダー、フィーナも眠っているんだ! 〈シルヴァ〉は今、フィーナ復活のために戦っている! フィーナの遺体になにかあったら困るんだよ!」
「わかった! 雪夜さんの居場所はこちらはいつでもわかるから、そっちはそのまま現場に向かって! こっちもすぐに追いかけます!」
「ありがとう! 助かる!」
アウエリアの鎧を身に纏いつつ、必死に階段を駆け下りていく。
本当に体力がついたものだ。
こんな鎧を身に付けたまま未だに余裕で走って行ける。
下の方から金属と金属がぶつかり合う激しい音が聞こえてきた。
なにかが狂っているのだろうか。
数多のゴレムがお互いを不法侵入者と認識しているのか、そんな警告音を発しながら殴り合っていた。
一応、建造物が破損しないようにしているのか、ゴレム同士の戦いはその激しさのわりには周りは壊されていなかったが、やはり無傷とは行かず、いくつかの墓がひっくり返され、吹き飛ばされていた。
「やめろ! 破壊行為をしているのはおまえたちだ!」
雪夜の声に何体かゴレムが反応する。
金属の触手のようなパンチが俺の方に飛んできたが、アウエリアの手甲それを受け流してくれる。
3~4発同じような攻撃を受けると、慣れてきて、こちらからの攻撃の余裕ができてきた。
元々パンチ力なんか大してなかったはずなんだが、これも鎧の力なのかゴレムの中心部にボディブローを決めると、ゴウンッと音がしてゴレムの動きがあからさまに遅くなった。
1体ならなんとかなる。
だが、遺体安置所のゴレムはざっと見て8体はいる。
「雪夜さん!」
あまりにも早かった翠のその声にホッとしつつ振り返ると、魔法の杖に乗って空を飛ぶ正真正銘の魔法少女がそこにいた。
「ありがとう、翠! ゴレムが暴走してる! なんとかして止めたい!」
「わかりました! 〈サウザンド・ロッド!〉」
「周りを破壊する行為はやめてくれよ!?」
「そんなのわかってます! 〈シャドウ・ミラージュ〉」
翠がその呪文を唱えると〈サウザンド・ロッド〉によって無数に作られた杖から、人影のような黒いものが伸びたってきた。
あまりのその数に墓もゴレムもなにも見えなくなってしまう。
「雪夜さん! 『因果の糸』に祈りを込めてください! 私のことを強く想って!」
「『因果の糸』……あれか!?」
あの時小指に結んだ赤い糸。今は翠との連絡に使っている糸のことだ。
「翠……!」
「大丈夫。因果の糸が結ぶのは想いだけではありません。私の視覚を通じて、〈シャドウ・ミラージュ〉で隠されている影も透過して見えるはずです」
翠の言うとおり、だんだん〈シャドウ・ミラージュ〉の黒が透けて見えてきた。
逆にゴレムたちはおそらく自分たちの存在を感じとりつつ、完全視覚が封じられた状態だ。
「翠、〈シャドウ・ミラージュ〉はどれくらい持つ!?」
「あと2分半と言うところです」
「倒すしかないか!」
俺は一体目と同じように、ゴレムに強烈なボディブロウを喰らわせると、そのすべてを行動不能に陥らせていった。
「ちぃっ!」
「男の舌打ち声!?」
翠もその声に気がつき、すぐにその魔法を唱えた。
「〈フラッシュ・グローヴ〉!」
『セントラル・サン』より強力かと思うほどの光が辺りを覆うと、あからさまに怪しい男がその光に苦しみ、そしてすぐにそこから逃げ出そうとする。
「そうは問屋が卸さないよ!」
虹色の壁を走って心晴が現れ、その男の頭を想いきり蹴り飛ばした。
「はぁ、やっと追いついた。でも、美味しいところ持っていけたんじゃない? 僕」
「あ、心晴さんといたときだったんで、心晴さんには事情を話しておいたんですよ」
ホッと一息つく俺。
「2人のおかげで助かった。とりあえず、その男はどこかに縛りつけでもして、お墓の様子を確認しよう。これでフィーナの遺体がなくなってたら大変だからな。あ、ちなみにフィーナの顔はこんな感じ」
「!! 雪夜さんから画像のイメージが! もう『因果の糸』の使い方を覚えたんですね!」
「それ、心晴にも見せてあげられる?」
「はい、ばっちりです!」
そうして俺たちは遺体安置所の整理をはじめた。
◇ ◇ ◇
仕合の方は雪夜の不在でかなり混沌とした状況になっていた。
さすがに戦闘経験の差があったのかテラリアは加治田を倒していたが、それ以外がどこも悪い状況だった。
フォーフォリアと当たった天藤は、フォーフォリアのロングボウに対して〈スーパーマーケット〉でタワーシールドを召喚してバリケードを作って応戦。
タワーシールドの隙間からショートソードの連射でフォーフォリアを苦しめている。
俺という壁がいなくなったファータは、持ち前の〈プレコグニション〉で相手の攻撃を避けながらショートボウで攻撃していた。
だが、〈プレコグニション〉を回避に使ってる分、必殺の〈プレコグニションアロー〉をなかなか放つことができず、ようやく〈ファイア・バング〉の難波に致命傷を与えたというところ。
もう一人追ってきている〈オクトパス・ボール〉の上井の攻撃には苦しめられていた。
「ファータ! アタシがそっちに行く! それまで耐えろ!」
「わかりました!」
上井は『ドリブルの魔術師』と呼ばれるバスケ部のスタメンで、ドリブル中にバスケットボールを分身させて投げつけるという〈オクトパス・ボール〉というアーケンを使っている。
ファータはショートボウで対応しているが、バスケットボールが攻撃にも防御にも使われる上、自在に分身し、上井自身のドリブルにも惑わされている状況だ。
一方、〈ジャスティス・ブレイド〉の安曇野とシャリアスは互角の戦いを繰り広げていた。
やはり闘いの相手としては少女過ぎるシャリアスに剣筋が鈍る安曇野だが、シャリアスの攻撃には十分対応できており、シャリアス一方の攻勢ともいっていないのだ。
そして、猫型対決と思われたプライムと〈ワイルド・パンサー〉の新納の闘いが最も意外な展開を迎えていた。
動体視力と肉体の反応速度をあげる〈ワイルド・パンサー〉というアーケンが覚醒進化し〈ワイルド・ニンジャ〉となったのだ。
〈ワイルド・パンサー〉の状態ならプライムも十分にその動きについていけていたし、むしろ攻撃する余裕もあったのだが、〈ワイルド・ニンジャ〉に進化して一転、その攻勢は新納のものとなった。
「〈忍法カマイタチ!〉」
「くっ、〈ストリーム・クロウ〉!」
真空の刃が空中で激突し、キィィィンとした空気の振動が巻き起こる。
「さすがでござるな!」
「ナンデ言葉遣いまでニンジャになってるんすか!」
「なりきるところから忍術でござる! ニンニン!」
「なりきりで野生の猫に敵うと思わないでほしいっす! 〈ストリーム・クロウ・ハーデスト〉!」
ズバッと音が鳴って新納の右肩の布が千切れ飛んだ!
「ちっ! 浅いっ! だけど、まだまだぁ!」
プライムは硬化した〈ストリーム・クロウ〉を連続で何度も十字に斬り刻んだ。
新納の服が飛び散り、血しぶきが舞いあがり、右手が突き出た。
「待った! 参ったでござる! 拙者戦闘不能にござる!」
「はぁはぁはぁっ、戦闘不能? マジで……?」
『チーム〈アース1〉、新納朝陽戦闘不能』
コロッセオのアナウンスも鳴り響く。
「強かった……あんた中々やるっすね」
「そっちこそ。おれにはもっと訓練が必要だ」
「さて休んでる場合じゃないっすね。シャリアス! 加勢に行くっす!」
「私は大丈夫です。ファータ様の方へ」
シャリアスははっきりした声でそう返した。
「舐めるな! 手加減しているところをいい気になりおって!」
「いってください」
「わかった!」
「もう少女の姿には惑わされん! 本気で行くぞ!」