クラスから追放されたけどこちらは元気に温泉ハーレムやってます 作:姫ノ木あく
※R-18描写多めです。苦手な方はブラウザバック推奨
※ノクターンノベルズに同時投稿しています
「雪夜様、テラリア様、申し訳ありません」
安曇野の渾身の一撃を、シャリアスはわざと左腕で受ける。
飛び散る鮮血。吹き飛ぶ少女の左腕。
安曇野は自分のしてしまった攻撃に一瞬目の前が真っ白になる。
ドスッ。
そして、安曇野の横っ腹にシャリアスのショートソードが深々と突き刺さっていた。
「死にはしないと思いますが早いうちに処置を。私の方は心配しないでください」
シャリアスは落ちていた左腕を拾いあげて、自分の左腕にくっつける。
「あなたは決して弱くない。ただここはあなたの世界とは違うだけ」
「ふ、不覚……。俺はここまでだ」
「これだけ綺麗に斬ってもらえると、くっつくのも早いですね。でも、いけない戦い方してしまいました。雪夜様に叱ってもらわなくてはいけません……」
仲間たちが救援に来る中、フォーフォリアは自身の策で天藤攻略を進めていた。
〈ディヴァイン・ブリザード〉で冷却した矢でタワーシールドの一点を集中攻撃しはじめたのだ。
時折連投される刃物を躱しつつ、タワーシールドを一点集中で破壊していく。
「無駄だ!」
天藤はそう言って破壊されたタワーシールドの場所に、また一枚のタワーシールドを召喚した。
それでもしつこくフォーフォリアの冷たい矢の集中攻撃は続き、一枚割っては一枚追加されるという状況になっていた。
「ちっ、そういうことか!」
天藤としてはタワーシールドで綺麗なバリケードを組みたいのだが、フォーフォリアがそれを崩すせいで天藤の動ける場所がどんどん狭まっているのだ。
「ちまちましたことやってんじゃねぇ!」
そしてそこにテラリアが間に合った!
テラリアに10本のショートソードを投擲したが、それはグレート・アックスのひとなぎで躱される。
そして
「そこだ!」
天藤の足元にフォーフォリアの氷結の矢が刺さった。
さらにプライムが追いついてきて爪をかざす。
「早く処置しないと、あなたのお仲間さん、本当に死にますよ?」
血まみれで倒れこむ安曇野の足元に、同じく血まみれになった少女がそこに立っていた。
「くぅ……降参だ」
『ここでチーム〈アース1〉! 降参を認めました! チーム〈シルヴァ〉の勝利となります! オッズは2.8倍。チーム〈シルヴァ〉に対する勝利褒賞は28ヴァロになります!』
◇ ◇ ◇
「よかった。なんとか勝てたようだな」
「チーム〈シルヴァ〉なら天藤くんのチームくらい余裕でしょ」
俺がホッとした様子で言うと心晴が気軽に笑った。
「そんなわけあるか。クラスの中でも選りすぐりのメンバーだぞ」
「そんな中、雪夜さんなしで勝てたんですからホントに立派です」
と翠。
「ともあれ、これでフィーナを復活させることができるってわけだ」
「……フィーナを復活させる……くくくくく」
それは今まで沈黙貫き通していた捕縛した男の声だった。
「なにがおかしい?」
「フィーナは『コズミック・ハンド』に触れた。だから死んだ。もう復活することはないさ……そうさ、復活なんか許されるはずがない」
「どういう意味だ? 『コズミック・ハンド』ってのは一体なんだ!?」
「もう無駄だ!」
男の叫びはそこで消えた。
いや、叫び声と共に、まるで大きなハサミで斬ったかのように上半身が消えていた。
「だが、フィーナの死体はちゃんと見つかった。復活は為されるはずだ」
やがて、俺が壊したゴレムらがゆっくりと動きだした。
また戦闘になるかと思いきや、ゴレムたちは淡々と死体安置所の破損箇所を修復しはじめた。
戦闘にならなくてよかったが、どういうことなんだろう。
フィーナの墓もきっちりと元の位置に戻されたので大丈夫なのだろうが……。
「ふぅ、『セントラル・サン』の光を見てホッとするとはな」
「ねー、地下だしお墓だし、ちょっと怖かったね」
「雪夜さん!!」
「ファータ! よくがんばったな! 勝利おめでとう! 死体安置所の方はゴレム同士が暴れていたがなんとか諫めた。それと犯人らしき男がいたんだが……」
「逃げられちゃいましたか?」
「いや、殺された……」
「え……?」
「その遺体処置もゴレムが綺麗に片づけちまうし、もうなにがなんだかわからねぇよ……」
「それでお師匠様の遺体は……」
「それは大丈夫。安置所自体はだいぶボロボロにされてたけど、なんとかお墓を見つけて遺体も無事なのを確認してる」
「よかった……」
そうして俺たちはさっそく復活の儀式が執りおこなわれる聖堂に集まった。
ゴレムによってフィーナの遺体が運ばれてくる。
「間違いなくこの人がフィーナだよな」
「はい、間違いありません。この方がお師匠様フィーナです」
フィーナの遺体の周りには、俺とファータ、テラリア、シャリアス、翠、心晴、プライム、フォーフォリアが囲んでいた。
来るかと思ったがクーフたち〈シンシルヴァ〉の者たちは来なかった。
「それでは復活の儀式を執りおこないます」
「お願いします」
祈祷が捧げられ眩い光フィーナの遺体を包みこむ。
そして……
「お師匠様……」
フィーナの目が開いた。
「ファータ。よくがんばりましたね。テラリアも雪夜さんも本当にありがとうございました」
「アタシはアンタとの契約を守っただけだよ」
「俺の名も!? いえ、俺は手伝っただけで」
「すべて見ていましたよ。クーフたちのことは残念でしたが、彼女たちは彼女たちの道をまた歩んでいくことでしょう。ファータが雪夜さんとの道を選んだようにね」
全部知られてますね、これ。
「お師匠様……? お師匠様、ヘンです……お師匠様の未来が――」
「カハッ!」
その時、急にフィーナが咳き込み、紫色の液体を吐き出した。
「致死毒です。触らないように」
口元を押さえて冷静に言うフィーナ。
「致死毒!?」
「私が復活すると同時に胃の中で溶けるようにしてあったのでしょう。私はもう一度死に、闘技場のルールによって、消失することになります」
「お師匠様、なんで……!?」
「この闘技場の運営の秘密について知ってしまったからでしょう。コホッ」
「お師匠様……」
「ファータ、こちらへいらっしゃい。致死毒に触れないように、慎重に」
たぶんそれは、俺にしか見えていなかっただろう。
フィーナの身体全体を大きなオーラが包みこんでおり、そのオーラは急激な速度で収束していくと今度はそれを中心にファータの身体を包みこんだのだ。
それはまるで、フィーナのアーケンがファータのアーケンに溶けこんでいくかのようだった。
「ファータ、あなたの視た未来に私はいましたか?」
「……いませんでした」
「でもこれでいいのです。あなたは雪夜さんとの未来を歩んでいきなさい」
「でもわたしにはお師匠様がいなくちゃ…………」
「ファータ、毒が危ない。離れるんだ」
「雪夜さん、ファータは一人前になっても甘えん坊です。たっぷり甘えさせて……あげて……」
「はい、これ以上ないってくら甘えさせます」
「お師匠様……」
「ファータ、離れるんだ」
「でも!」
「…………」
「そんな…………嘘よ……」
§ § §
「フィーナの死を確認しました」
「彼女の〈プレコグニション〉は強すぎた。デウスに近づきすぎたのだよ」
「フィーナの弟子ファータの〈プレコグニション〉は大丈夫なのでしょうか」
「危険は残る。要監視対象だな」
「それよりも三薗雪夜という闘技者が気になる。彼の〈ウォリアーズ・カタログ〉こそ我々が探し求めているものかもしれん」
「すべての闘技者とアーケンを支配するという聖杯か」
「今後もチーム〈シルヴァ〉からは目が離せませんな」
「『コズミック・ハンド』に栄光を」
「『コズミック・ハンド』に栄光を」