姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
「紗耶香、10か月間ありがとう。生まれたのは女の子だぞ」
現在お尻を上げた姿勢でへたり込んでいる、美香を産んでくれた妻に、俺は礼を言った。
まだ母体と美香がへその緒でつながったままだけど。
ここから先は忙しいから、労えないからな。
今のタイミングで労わないと、適切じゃない。
おぎゃあああ! おぎゃあああ!
美香……
良く泣いてくれるのは良いのだけど。
まあ色々処理しなきゃな。
へその緒もだけど。
産湯もさ。
クランプとかいう洗濯ばさみみたいなものでへその緒を摘まみ、事前に煮沸消毒しておいた医療用のハサミを使って切断する。
……最初の出産のとき、事前に病院から確保してきたアイテムだ。
この辺紗耶香は抜かりない。
流石だと感じたね。あのときは。
で、適温のお湯を入れたタライで美香を洗ってあげているとき。
「んあああっ」
ずるり、と。
紗耶香の膣から、胎盤が排出された。
今、お産が終わったんだ。
美香と紗耶香を繋げていた組織……
胎盤を排出して。
紗耶香は狭い浴室内で窮屈だけど横倒しになる。
その表情は本当に辛そうで。
このお産のために全身の体力を使い果たした。
そのことが一瞬で見て取れた。
俺はそれに深く感謝すると同時に。
……非常にゾクゾクした。
紗耶香がここまでの状態になったってことは
俺の子供を産むことに、そこまでの価値があったってことだから。
彼女への愛しさが増すことがあっても、減ることは無い。
むしろ、天井知らずで跳ね上がる。
そして跳ね上がった分は、俺と紗耶香の間では、下がることが無いんだ。
このお産で、また俺は紗耶香が大切になった。
愛しくなった。
美香の産湯が終わって、産着を着せて。
一段落した後。
俺は紗耶香を抱き上げて、夫婦の寝室に連れて行ったよ。
……正直、産後の妻にメチャクチャ欲情したけど、必死に耐えた。
こんな状態の妻と交わるのは流石に酷過ぎる。
紗耶香は玩具じゃないんだからな。
でもさ……
俺のためにここまで献身してくれた事実は、そのまま愛情に繋がって。
愛情はそのまま欲情に繋がるからさ。
ムラムラするのは正常だと思いたい。
「……ありがとう。もう1回言うけど」
裸のままの妻をベッドに運びつつ、もう1度労った。
すると紗耶香は
「……嬉しいです。拓斗さんは優しい……私はそんなあなたの妻で幸せです……」
しんどいだろうに、それなのに微笑んで。
俺の顔に手を当ててくる紗耶香。
「……次の子供は男の子が良いですね」
そして出産のダメージもまだ回復していないのにそんなことを言う。
まあ、男の子は来斗だけで、女の子2人だから。
もう1人男の子は欲しいけどさぁ。
その話、別に今じゃ無くて良いだろ。
「その話はまた今度な。……落ち着いたらさっさと回復魔法を掛けるんだ。そのための治癒士なんだし」
そう一言言って、その話はそこでおしまいにした。
夫婦の寝室に着き、紗耶香をダブルベッドに寝かせた。
素裸のままで。
一応、出産に伴う汚れは風呂場で流して、拭いてから来たけどさ。
何か着るもの持ってこないとな。
……ああ、でもその前に。
おぎゃあああ!
……先に運び込んでおいた美香を、ベビーベッドの中から取り出して。
紗耶香に抱かせた。
これはしとかないと駄目だろ。
傷つき疲労した身体でだるそうだったけど。
紗耶香は身を起こして美香を抱いた。
「……私たちの3人目……3回目の愛の結晶……」
そう、感慨深げに言い、涙を零す紗耶香。
その美しさに、俺は耐えきれず。
そっと近づき、上向かせ。
唇を奪う。
紗耶香は抵抗せずにそれを受け入れてくれて。
俺はそのまま、美香と紗耶香をまるごど2人、抱えるように腕を回したんだ。
……俺は間違いなく、今最高に幸せだ。