※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第105話 これが上級職の強さか

『サんダーブラスと……』

 

 俺たちが間合いを詰めると、ブラックドラゴンが背中の翼の先端……手のように見える部分を器用に動かし、こっちに指先を突きつけるような構えを見せた。

 

 そこから魔法名の宣言。その声は異様に低くて恐ろしい響きで。

 同時にそこから迸る雷撃の嵐。

 

 俺たちは散って避ける。

 

「前情報ありがとう! アタシこれから蜻蛉をやる!」

 

「どういたしまして! そしてわかりました!」

 

 由宇の感謝に、紗耶香が応える。

 

 そして紗耶香は手のひらを由宇に向けて

 

「マジックシールド・炎!」

 

 ……治癒士の達人位階の防御魔法「マジックシールド」を使用する。

 

 味方1人に、炎・冷気・雷のいずれか1つに対する完全耐性を付与する魔法。

 耐性を与えられるのは1つだけで、重複はできない。

 

「よっしゃ! アリガト!」

 

 炎無効状態になった由宇は、感謝を述べた後、真っ直ぐにドラゴンフライの群れに向かって駆け出していき

 

 吐き掛けられるドラゴンフライたちの火炎の息を全て無視してドラゴングレイブを振るって打ち倒していく。

 

 ……頼もしい。

 

「インフェルノ!」

 

 そして修司さんは、手のひらをブラックドラゴンに向けて魔法を放っていた。

 

 放ったのは魔術師の達人位階の攻撃魔法「インフェルノ」

 指定の空間に地獄の炎を召喚する魔法で。

 

 グギャアアアア!

 

 業火に飲み込まれたブラックドラゴンの絶叫。

 ミフネは魔術師が要素に混じってるから。

 しっかり、達人位階まで攻撃魔法を使用できるんよな。

 

 魔法を放った後、修司さんは居合腰でブラックドラゴンとの間合いを詰め

 

「セィ!」

 

 居合斬り。

 

 おそらく居合加速と鉄斬を乗せている。

 それで、ブラックドラゴンの前足を1つ斬り落とした。

 

 響き渡る凄まじい悲鳴。

 

 飛び退き間合いを広げつつ、納刀しようとする修司さん。

 実際の居合は、ここから先にさらなる斬撃に繋げるから、抜きつけ斬りを出した後に隙ができるっていう指摘は噴飯モノなんだけどさ。

 居合加速を使った場合はマジでそうなんよね……

 

 なんせ

 納刀するまで、刀が斬れ味を失うの。

 そこが非常に厄介。

 

 ……だけど。

 

 その隙に、俺はブラックドラゴンの背後から忍び寄っていた。

 ブラックドラゴンは自分に大きな痛手を与えた修司さんに注目してて、俺に気づいてない。

 

 この状況だと、盗賊の達人位階の能力「不意打ち」が俺の攻撃に乗る。

 敵の意識外の攻撃の威力を爆上げする能力だからね。

 

 コオオオ!

 

 ブラックドラゴンが身を反らして大きく息を吸い込む。

 修司さんに凍結ブレスを吐く気だ。

 

 今の修司さんには隙があり、攻撃のチャンスと見て取ったか。

 だけど……好都合!

 

 俺は跳躍し、貫手を振りかぶるように大きく構えた。

 そして全身の力を込めて、ブラックドラゴンの後頭部に突き入れる。

 

 俺の指先は容易くブラックドラゴンの頭蓋骨を突き破り、肘まで竜の頭にめり込んだ。

 

 当然、ブラックドラゴンは即死する。

 吐き掛けたブレスを放射することなく、崩れ落ちる。

 

 ズズンと横倒しになる黒い竜。

 俺はそれに巻き込まれる前に、腕を抜き取り着地した。

 

「……お見事」

 

 修司さんからの賞賛。

 なかなかに照れ臭い。

 

 どうも、と言いかける。

 

 だけどそれは、由宇のこの声で中断された。

 

「これでキメるよ……! いくよッ!」

 

 由宇はドラゴンフライをあらかた倒し、残り数匹にまで追い込んでいて。

 その生き残りがまとまった配置になってることをみて、決断したらしい。

 

 長物使いの達人位階の能力「ゲイボルグ」の使用を。

 

 彼女は手に持っているその西洋風薙刀を投擲する姿勢を取り

 

 ……次の瞬間、本当に投げた!

 

 投げられた槍は空中で分裂し、雨となってドラゴンフライの生き残りたちに直撃し。

 

 ギエエエ!

 

 貫き、敵を駆逐していく槍の雨。

 槍の雨が止んだ後。

 

 そこにはもう、生きて動いているドラゴンフライは存在しなかった。

 消滅していき、ゴッド貨幣をその跡に残す。

 

 由宇はこちらを振り返る。

 どうよ? と言いたげな顔で。

 

 ……うん。

 これは正直、スゲエな……!

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