姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
まあ、色々準備した。
赤ちゃんの産着だとか。
おむつだとか。
あと、粉ミルク。
……母乳で育てる気があっても、必要なのか。
この辺俺、知らなくて。
紗耶香に
「実は赤ちゃんの体重を増やすにはこっちの方が良いんですよ」
そんなことを言われてさ。
ちょっと、衝撃だったよ。
「赤ちゃんにおっぱいあげるのはそれはそれで大切だとは思うんですけどね」
母乳だと免疫が上がったり、成人病のリスクが下がったり。
健康面のメリットがあって……
色々説明してくれた。
で……
不謹慎だけど、説明してくれる紗耶香の胸に視線が行った。
今まで、俺が舐めたり吸ったりしていた、あのおっぱい。
そこから、そんな良いものが出る。
……いやまあ、本来は赤ちゃんのものなんだが。
飲み残した分なら、俺は飲ませて貰えるのかな……?
思わず、生唾を飲み込んで。
また、興奮してしまった。
そして運命のとき。
それは唐突に来た。
家の廊下を歩いていた紗耶香が
「ア……アタタタタ!」
急に痛みに苦しみだして。
急病か?
そう思って慌てたが
紗耶香が蹲りながら
「じ、陣痛です……産まれます」
そう言って俺を見るんだ。
どうしよう……?
そう思ったけど
……いや、俺しかいないだろ!
紗耶香を孕ませて、子供を産ませようとしたのは俺だ!
彼女の夫として、責任ある行動を取らないと!
「だ、大丈夫だ紗耶香! 予定通り浴室で産むんだよな!」
立てるか?
そう言いながら、俺は彼女の手を取った。
彼女は辛そうだけど、俺が手を貸したらなんとか自力移動は出来て
俺は妻を浴室に連れていく。
出産って確か、何時間も掛かるんだよな?
陣痛が始まったからといって、すぐ産まれるわけじゃない。
そんなことをユニットバスにぬるいお湯を注ぎながら考えた。
水中出産って本当は専用の浴槽を使うらしいけど。
どれがそうなのか分からないし。
そうなると、これしかないんだ。
無いよりマシ。
なんと不安になる言葉。
……どうか、無事に母子ともに健康に産まれますように。
俺は神に祈った。
こういうときのために神様という存在が設定されているのか。
それを身をもって思い知る。
だけど
突如、紗耶香が
「ああっ!」
下着を脱いで、出産準備に入ったときに
パシャ、と股からなんか生臭い水を出したんだ。
……破水だ。
嘘だろ……?
紗耶香、初産なのに
紗耶香は浴室の床にへたり込みながら
「うう……産まれる……赤ちゃん……私たちの……子供……!」
うわ言のように眉根を寄せて、苦しむ紗耶香。
俺は彼女の股を見た。
……もう、赤ん坊の頭が見えていた。
少しグロい……
そう思ったけど、ここで引くのは絶対に違う。
彼女にこうしてもらってるのは俺なんだ!
少しの変化も見逃さない。
その思いで見守る。
「ウ……ぎいいいいい!」
すると彼女が聞いたこともないような声を上げ。
同時に
ずるりと彼女の膣から俺たちの子供が出て来て
おぎゃああああああああ!
産声。
……産まれたんだ。
俺たちの愛の結晶が。
……男の子だった。
俺たちの第一子。
へその緒で、まだ母親と繋がっている俺の息子……
女の子だったら、
男の子だったら、
名前は2人で事前に決めていた。
だから……
「ありがとう来斗。生まれてくれて」
俺は息子を取り上げながらそう言った。
血に塗れ、汚れている俺たちの子供……
洗ってやらないといけないんだよな。
上手くやらないと。
いや、その前にへその緒か?
そう思いながら
俺は床で脱力している妻を見た。
生みの苦しみで涙とか涎とかで。
美人なのに、散々なことになってる俺の妻。
……彼女に言うことは、ひとつだ
「ありがとう。よく頑張ったな紗耶香」
……頑張ってくれたんだから。