姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
「ほら、ここ」
由宇が地図を指差す。
指差す先にはT字路が記されている。
うん。それで?
「このT字路さ、5回目なのよ……」
5回目?
どゆこと?
「この先に部屋、その後T字路を真っ直ぐ行って、その先に部屋。そして次にこのT字路……この繰り返し」
……あー。確かに。
同じ構造が続いてるな。
で、突き当りが見えないし……
「でさ、さっきがこの下……ここが宝箱部屋だったわけよ」
ふむふむ。
ああ、ちなみに地図の上での下ね。
南と言い換えた方が分かりやすいかな?
「そして部屋は扉が東西南北4つ」
うん。
「南に行くと逆T字路。左に行くとT字路。右に行くと……多分」
言いながら由宇がつかつか歩いて来た道を引き返し、元々宝箱部屋だった部屋に戻り……
由宇の言う「右の扉」を開いた。
すると
「ほらね、やっぱり」
……その先には。
この階のスタート地点。
登り階段と、直通エレベーターがある広場があったんだ。
「……あんだけうろうろしたのに、一瞬で元の場所よ? これはあれでしょ。無限ループよ」
……これでようやく、由宇の言わんとしていることが飲み込めた。
この迷宮、先に進めなくなってるのか。
空間が閉じたみたいになってて。
……まずいな。
どうすればいいんだ?
攻略法の見えない難題。
それを突きつけられて、俺たちは顔を見合わせた。
……皆、解決策は浮かんでいないみたいだ。
どうするか……?
そのときだった。
「……お困りのようですね」
いつもいつも。
困ったときに来るよなぁ。
こいつ。
……毎度おなじみの蛇人間。
赤いローブの緑色爬虫類。
マスタファがそこにいたんだ。
「またアンタか。……何かこの状況を打破する方法知ってるのか?」
3回目ともなれば。
この蛇人間のことが少しは分かるようになる。
……確実に、何か解決方法を持ってるよ。
こいつは。
マスタファは何だか嬉しそうだった。
蛇の表情なんて分かるはずもないのだけど。
何故だか、その辺が読み取れた。
頷く。
「……賢者の羅針盤というアイテムがございます。この階突破に必須のアイテムです」
……なるほど。
で
「……俺たちは何を引き換えに差し出すと、それを交換してもらえるんだ?」
突っ込んだ質問。
すると
「話が早くて助かります。……時空王の杖が欲しいので、取って来てくださいますか?」
時空王の杖ぇ?
エラい大仰な名前だなぁ。
……どんなアイテムなんだろうか?
そう思っていたら
「……気に入らない過去を変える、ご都合主義のマジックアイテムですね」
紗耶香が教えてくれたよ。
どういうアイテムなのか
紗耶香は、皆の注目を浴びながら教えてくれた。
「例えば、高校のときにしなかった文化祭デートを過去改変してやらせてくれるマジックアイテムだと思ってください」
……それはすごいな。
だけど……
「しなかった文化祭デートしたことで現在に影響が出たりしないのか?」
そう。
そこが気になるよな。
バタフライエフェクトってやつだ。
俺のそんな問いに、紗耶香は首を左右に振り
「基本的にしません。その改変した結果から、絶対に現在に辿り着かないと言い切れる理由がない限り。……例えばその文化祭デートで自分が自殺をする、もしくはデートした恋人を殺害してしまうとか」
なるほど……
俺はちらりと視線を蛇人間に送る。
今回のマスタファは、そんなものを要求してるんだな……!