姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
「で、取りに行く方法は? 俺たち先に進めなくて困ってるんだよ」
特別な方法で迷宮を進む。
もしくは宝箱の中から出てくるのを待つ。
……とりあえず脳内で、この2つの方法を考えた。
このどっちかだろ。
するとマスタファは
「やってくださるのなら、これを」
そう言いつつ、L字型の棒を2つ。
……どこかで見たことあるぞ。
確か水脈を探すやつだ。
これを渡して来ながら、マスタファはこんなことを言う。
「これを使って反応がある扉を選び続けていると、いずれ辿り着けます」
……反応。
どういうの?
「反応って」
そう訊こうとすると
「平行状態で構えていた棒が左右に開くことじゃないか?」
……修司さんからそんな言葉が。
「ええ。その通りです」
マスタファの肯定。
なるほど……
では、よろしくお願いします。
そう言われてL字棒セットを手渡され。
その日はお開きになった。
今日は何戦もしたので消耗してる。
1回帰って回復しよう。
そういうことだ。
家に帰る俺たち。
地下2階のタマミさんの店に預けていた子供たちを引き取って、ぞろぞろ歩く。
子供たちは一緒に預けられるのに慣れて来て、全員打ち解けている。
それに関して嬉しくもあったけど……
子供を預けてることに負い目も感じる。
特にさ……美香を預けているのはな。
いくら迷宮内の安全が確保されているとはいえ。
俺たちはそうじゃないから、咄嗟に連れていくことが出来ない場合が考えられるからね。
大事をとると、預ける1択だわ。
でも、お母さんから引き剥がすのは可哀想だなぁ。
そんなことを、紗耶香に抱っこされて喜んでいる美香を見て思った。
そして……
「あのさ……」
出口までの道中。
突如……紗耶香同様、彼女の息子を抱っこしている由宇が口を開いたんだ。
そしてこんなことを言いだした。
「……時空王の杖さ……マスタファに差し出す前に1回使わせて欲しいんだけど……良いかな?」
……え?
何か変えたい過去でもあるわけ?
そう訊きたかったけどさ
……その辺、プライバシーだしな。
だからこう訊いたよ。
紗耶香に。
「なぁママ……時空王の杖って使用回数制限ってあるのかな?」
「無いですよ。パパ」
美香を抱え上げつつ、紗耶香は即答。
ああ、そか。
だったら、何も問題ないな。
だから
「俺は良いよ」
「私も構いません」
……俺たち夫婦はそう返した。
由宇は本当に嬉しそうに
「ありがとう!」
俺たちに礼を言ってきた。
ダンジョン出口を抜けて、川上さん一家とお別れした。
……賑やかなのが減って、少し寂しさを感じるが。
俺たちは夕食の材料を手に入れるために、家に帰る前にスーパーに寄り、材料を調達する。
今日はお好み焼きでも作るかね。
最近、俺も作れるようになったんだよ。
……ひょっとしたら誰でもできるのかもしれないけど。
でもさ。
紗耶香の負担を少しでも減らしてあげたいし。
やれることはやりたいわな。
なので俺は、小麦粉やら出汁やら、豚肉やらを籠に入れていく。
その間、来斗と明日香はその辺を走り回っていた。
家より広いので、楽しいらしい。
その場には俺と紗耶香と、紗耶香に抱っこされている美香だけ。
その状況で
「ねぇ、あなた」
紗耶香が俺に言ってきたんだ。
……こんなことを
「私も時空王の杖……使いたいんです」
その言葉に、思わず俺は固まった。
……え?