姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
「多分番人が居るよね」
由宇の言葉に俺は頷く。
居ないはずが無いよな。
ここ、童話のキャラクターが魔物になってる階層だから。
何が来るだろう……?
シンデレラ?
赤ずきん?
それとも茨姫?
「ねぇ、サーチできないの? 狩人がサブなんでしょ?」
そんなことを由宇に言われるけど
「オーラサーチは達人位階だから無理だ」
痛いところを突かれた。
敢えて外した能力だからな……
覚悟の上だけど、辛いわな。
そこでさらに修司さんから
「バラバラで部屋の探索をするのは危険だと思う」
そんな言葉が
修司さんの意見はもっともだ。
何が来るのか分からないのに、バラけるのは危なすぎる。
「あなた……」
紗耶香が心配そうな目を向けてくる。
俺の悩んでいる様子で心配させてしまったらしい。
紗耶香は俺に、自分の力で助力出来ないことを情けなく思ってるのかな?
……思いそうな気がする。
長年、頼られる立場の女だったわけだし。
沈黙が訪れ、硬直する。
動けないから。
だけど……
そのとき、周囲に立ちはだかる壁の中から、ひょっこりと誰かの上半身が出て来たんだ。
こんにちは、っていう感じで。
それはこんな人影だった。
顔は猫。
ただし耳が無い。
色は青色。
体格はほぼ人。
だけどすごく太っている。
頭にプロペラが生えていた。
……まさか、あれで飛べるのだろうか?
腹部に、カンガルーを彷彿とさせる袋がついていた。
……人間サイズの耳なしプロペラありの青いデブ猫……?
それって……
「……チェシャキャット」
だけど紗耶香の言葉。
驚きと共に出たその言葉。
あ……チェシャキャットって言うのか。
ドライマンとかトンチャもんとかじゃないんだ?
そっか……
まぁ、手強そうだよな。
「紗耶香、チェシャキャットの能力の詳細を頼む」
確認しないと。
油断なく相手を見張りながら
すると
「……手から空気弾を放つ能力……」
紗耶香は説明をしてくれた。
チェシャキャットの保有能力……それは
空気弾。
空気の弾を手から打ち出す能力。
鉄板を撃ち抜く威力がある。透明なので見えない。
物質透過。
物質を通り抜ける能力。
今使ってるヤツか。
瞬間移動。
読んで字の如く。
空間歪曲。
目の前の空間を歪めて、飛来物の軌道を変えて避ける能力。
飛行能力。
頭のプロペラで自由自在に飛行する。
計5つ。
どれもヤベーな。
流石と言うか……
あっちも冷静に考えると戦闘能力高いしな。多分。
そんな風に、俺がチェシャキャットの能力に戦慄しているときだった。
「グフフフ! 良く来たねぇ!」
……饅頭が潰れたような声で、チェシャキャットが話し掛けて来たんだ。
俺たちは何も返せない。
そんな俺たちを無視して、勝手に話を続けるチェシャキャット。
「僕チェシャキャットです。時空王の杖は、僕を倒さない限り手に入らないよぉ」
……よし、絶対に倒すぞ!
その言葉を聞いて。
俺は硬く決意を固めた。