※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第123話 杖を使ってみた話

 時空王の杖は、チェシャキャットを討伐した後。

 俺たちの目の前に出現した。

 

 ……大きな時計がくっついた、長さ1メートルちょいの赤い杖。

 それが空中に出現し、ゆっくりと降下してきた。

 

 それを見て

 

「……これが時空王の杖ですね」

 

 紗耶香のお墨付き。

 ならば、間違いは無いな。

 

「じゃあ、持って行ってくれ」

 

 俺は川上さん夫婦にそう言って促した。

 すると2人は顔を見合わせ

 

「……いいの?」

 

 由宇が、そんなことを言ってきた。

 俺は頷き

 

「討伐成功の功労者はそっちだし」

 

「ですね」

 

 ……俺たち夫婦の共通意見。

 

 川上さん夫婦は嬉しそうだ。

 

「ありがとう!」

 

 これでアタシの初体験が理想通りにできるよ!

 

 ちゃんとお兄ちゃんに求められて結ばれたかったんだ!

 

 ……由宇の言葉がなんか、胸に来た。

 良かったな、としか言えないな。

 

 おめでとう。

 

 

 

「……今頃、川上さんのところの歴史が書き換わってるのかね」

 

 家の夫婦の寝室で。

 

 俺はベッドに腰掛けて、鏡台に向かっている紗耶香の後姿を見つめながらそう呟く。

 

 紗耶香は髪にブラシを掛けながら

 

「そうですね。明日、使い心地を聞いてみましょう」

 

 ニコリとしつつそう答えた。

 

 ……正直俺は。

 

 紗耶香が俺しか知らない女になるのに、文句なんて無いけどさ。

 むしろ嬉しいさ。

 

 実のところ、紗耶香を誘惑して純潔を奪った男には、殺意に近い嫉妬心があるし。

 紗耶香は俺のもんだ、という意識があるからさ。

 

 でも……

 気に入らない歴史も含めて、紗耶香だし。

 お人形じゃ無くて、奥さんなんだから。

 

 そこのところを否定している気がして、気に入らないのよ。

 

 だけども……

 

 他ならない紗耶香が、俺だけしか知らない女になりたいって言ってるんだもんな。

 だったら、そんな些細な拘りは飲み込むのが愛なんじゃないのかな。

 

 俺はそう思うんだ。

 

 俺はベッドから立ち上がり、心の赴くまま後ろから紗耶香を抱きしめた。

 そして耳元で

 

「俺は今のままのお前も大好きなんだけど……」

 

 そう言った。

 

 すると紗耶香は

 

「その気持ちを、17才の私に注いでください。あなた……」

 

 俺の腕に手を触れながら。

 そう返してきた。

 

 ……紗耶香の決意は固い……。

 

 

 

「ありがとう!」

 

 翌日。

 

 タマミさんの店で川上さん夫婦に会った。

 杖を渡してもらうために。

 

 同じテーブルについて杖の使い心地を報告してもらう。

 説明する由宇は本当に嬉しそうだった。

 

「14才でオニイに告白されて、その晩結ばれて、アタシはお嫁さんになったんだ。サイコーに幸せだったよ」

 

 ずっと兄妹だからオニイとは結婚できない、って思い続けていたのに。

 

 オニイもアタシのことを愛してくれていたんだ。女の子として!

 告白してもらったとき、嬉し過ぎて泣いちゃった!

 

 ……でも、これは歴史改編の結果なんだよね?

 アタシの方は良く分からないんだけど、オニイはうっすらと事実関係は知ってるみたいなんだ。

 

 そんなことを、由宇はハイテンションでくっちゃべていた。

 

「……どんな感じなんですか? 修司さん?」

 

「ええと、な……」

 

 ハイテンションの嫁の横で修司さん。

 ちょっと困った様子で、説明してくれた。

 

 まず、由宇は完全に修司さんの元カノの記憶を喪失していた。

 存在すら認識していないらしい。

 

 そして修司さんは……

 

 元カノの記憶が全部消失して……

 初体験は由宇とのセックスに書き換わり。

 

 ……頭の中に、パソコンで言えば「フォルダ名・元カノ」という空フォルダあるような。

 そんな状態らしいんだ。

 

 つまり……

 良くは思い出せないんだけど、自分には改変前の記憶があった。

 そういう自覚だけはある状態。

 

 でも、関係を持った女の記憶は、由宇だけという。

 

 ……なるほど。

 そういう感じなんだな。

 

 だったら……

 

 俺は隣の奥さんを見る。

 

 ……俺が頑張ってあげないとな。

 実行すれば、間違いなく紗耶香の望み通りにはなるみたいだから。

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