姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
息子の来斗は全く何の問題もなく成長している。
首座るのも早かったし。
ハイハイもすぐにやり出して。
半年で掴まり立ちをはじめた。
……ちょっと早すぎないか?
そう思うくらい。
まぁ、妻に言わせれば
「何でも例外はあるものだし」
だって。
まあ、紗耶香が言うならそういうこともあるのかな。
それに手が掛からないならそれは有難い以外無いし。
こちとら育児初心者だ。
それにこの分だと、育児の余裕が出来るのはわりと早いかもしれない。
そうなったら、2人目だ。
もうそれについては、妻の同意を取っている。
3人……いや、5人は作ろうって。
27才で第一子を出産したから。
第二子が29才。
第三子が31才。
第四子が33才。
第五子が35才。
……35才以降は子供ができにくくなるはずだから、そこまでに産めるだけ産んでおく。
状況的に育てるのは可能だから、子供の数は多い方が良い。
もし他の生き残りに遭遇したとき、その人たちのメリットが大きくなるから。
で。
……正直、2人目は女の子が欲しい。
多分、そっちの方がもっと可愛いんじゃないのかなぁ、と思うんだよな。
いや、来斗は無論大事だけどさ。
紗耶香だって、そっちの方が嬉しかったりしないか?
そんなことを日々考えつつ、俺は家族3人で幸せに過ごしていた。
日々成長していく我が子を見守る喜び。
ある日
「見てあなた!」
紗耶香が大騒ぎして俺を呼んだので
やり掛けていた洗濯を中断し、見に行ったら
なんと……
「来斗がついに1人で立ったわ!」
……なんと。
まだ1年経ってないのに。
1才の誕生日、来週の月曜日なのに。
息子が1人で立っていて。
「まま、まま」
……そして発語。
早すぎる……!
「来斗偉い! すごいわ! さすが拓斗さんの息子よ!」
紗耶香が息子をべた褒めしている。
ええと……俺の記憶が確かなら……
発語って確かに1才くらいかららしいんだけど
「ままは、まじゅつし、ちゆし、がくしゃ」
「ぱぱは、にんじゃ、とうぞく、かりうど」
……複数の単語を組み合わせて発言できるようになるのって、絶対もっと先だよなぁ?
まぁ、言葉の意味が良く分からないから、これを持って
「来斗は天才! さすが紗耶香が産んだ子だ!」
っていうのは、早計かもしれない。
しかし、学者とか、忍者とか。
どこでそんな言葉を覚えたんだろうか?
紗耶香、絵本の読み聞かせでそんなものが出る作品でも読んだのかな?
「パパ、行ってらっしゃい」
「行ってくるよ。ママ」
そう言葉を交わし。
俺は来斗を抱っこした紗耶香と軽く唇を合わせた。
今日は来斗の1才の誕生日なので、ちょっと自宅から離れたところにあるケーキ屋さんに行ってきて、誕生日ケーキになりそうなものを貰ってくるんだ。
良いのがあればいいんだけど。
自転車で行くとすぐの距離だけどさ。
自転車じゃケーキを積めないからな。
歩きで行くしかない。
家を出て、手を振って見送ってくれる紗耶香に手を振り返し。
俺はケーキ屋に向かって歩き出した。
そして
……このときは。
俺は、まさかあんなことが起きるなんて露ほども想像していなかったんだよな。