※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第130話 結子ちゃんへの贈り物

 なんかあげたいな。

 結子ちゃんに。

 正直、そう思った。

 

 とはいえ、この子が何を欲しがってるのか、俺には分からんわけだから、贈り物はしづらいんだが。

 

 だったら

 

「川上のお母さん」

 

「なんすか?」

 

 由宇が反応してくれる。

 子供の前で川上妹氏はちょっと言いにくい。

 

「結子ちゃんはアガサ・クリスティーしか読まないの?」

 

 訊くと

 由宇は思い出す仕草をしながら

 

「最近はそうだね。コナン・ドイルをちょっと前まで読んでたけど」

 

 ……海外の推理小説メインか。

 

 俺はこのときは漫画しか読んでなかった気がするな。

 中学でラノベを読むようになったけど。

 

 でも多分それ、結子ちゃんに相応しく無いよなぁ……

 

 そう思って悩んでいたら。

 

 紗耶香が

 

「結子ちゃんは古典SFは読むの?」

 

 ……そんなことを訊いてくれたんだ。

 

 

 

「SFなら宇宙戦争は読みました」

 

 返って来た答えがそれで。

 

「面白かった?」

 

「火星人の強さに人間軍が必死で戦うけど、負けてしまうのが絶望的でしたね。一矢報うシーンもあるんですけど」

 

 軍艦で火星人ロボを1機倒すことに成功するところ。

 まぁ、特攻なんですけど。

 

 あそこはかっこいいんですけど、絶望感は変わらないんですよね。

 

 ……ああ、全く分からんが。

 ちゃんと読んでる人の感想だな。

 

 そのまま宇宙戦争で面白かったところを結子ちゃんが語り。

 紗耶香が笑顔でそれを聞いて。

 

 続いて、こう訊いたんだ。

 

「トリフィド時代は読んだことある?」

 

「それはちょっと知らないですね」

 

「彷徨う都市宇宙船は?」

 

「それも知らないです」

 

 ……この2つの答えを引き出したとき。

 何か紗耶香が酷く嬉しそうだったのが印象的だった。

 

「宇宙戦争がそこまで語れるほど読めるなら、この2つもおススメよ。面白いから」

 

「ありがとうございます」

 

 ……ああ。

 なんかすごく妻が羨ましかった。

 

 紗耶香はそのまま結子ちゃんを抱っこして頭を撫でた。

 

 ……ああいうのは女性はわりとずっとやれるんよな。

 イメージ的に。

 

 そこもまあ、得な部分かな。

 

「ウチの子も結子ちゃんくらい賢くなって欲しいわ」

 

「来斗くんは賢いと思いますよ。明日香ちゃんを見る手伝いをしてくれてますし。優実(ゆうみ)とも喧嘩したりもしないし」

 

 優実ちゃん5才じゃん……年上なんだからさ。

 その場合、褒めるべきは優実ちゃんなんじゃないのかな。

 

 

 

「今日はありがとうな」

 

「何がですか?」

 

 迷宮を出て。

 夕食の材料を取りに、道中のスーパーに寄ったとき。

 

 食材確保しながら紗耶香にそうお礼を言った。

 俺が出来なかった結子ちゃんへの贈り物をやってくれたことに。

 

 そのことを説明すると

 

「ああ、まあ自分があのくらいのときに読んでた本を紹介しただけですから」

 

 そうなんだ……

 

「それがたまたま、結子ちゃんの好みに合っただけです」

 

 うん。

 そこは良かったよね。

 

 でも、だからといってそれが紗耶香の手柄では無いことでは無いと俺は思うぞ。

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