※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第131話 指輪が欲しいな

「イザナギは黄泉の国に死んだ妻を迎えに行きました。まだ国造りが終わっていないと。ですがそれは既に遅かったのです。イザナミは既に黄泉の国の物を食べてしまっていたのでした」

 

 ……紗耶香が子供の寝室で、家に在った子供向けの古事記の一節を読んでいた。

 何でも、自分もしてもらったからしてあげたいんだ、だってさ。

 

 正直、3才児に難しくないかと思ったけど。

 紗耶香は

 

「よゆーですよ。私がイケたし、拓斗さんだってグリム童話の原作に近いやつ読んで貰ってたじゃないですか」

 

 ……確かに。

 

 おかげで俺の白雪姫は最初から焼けた鉄の靴。

 まあ、その知識が地下7階では役に立たなかったけどな!

 

「……なんで食べ物を食べると駄目なの?」

 

 布団に入って、傍で本を読んで貰っている来斗からそんな質問が。

 ……なかなか賢いな。俺の息子。

 

 脇で見ててちょっと感心した。

 

「それは黄泉の食べ物を食べると黄泉の国の住人になってしまうからよ」

 

「どうして?」

 

「そういうものなのよ」

 

 ……まあ、それしか言えんよな。

 そういうものなんだ、って。

 

 俺は苦笑して……

 

 ふと、紗耶香の本を持つ手を見た。

 左手だけど……

 

 指輪、嵌めてない。

 

 買ってないからね。

 買えないから。

 

 ……でも

 

 寂しいよな。

 あげたいよ。

 

 

 

「このダンジョンの宝箱から、指輪、出ませんね」

 

「そうだな……」

 

 次の日。

 地下8階を探索しながらついついボソリと言ってしまった。

 

 そしたら修司さんに同意された。

 

 ……そういや修司さんも悩んでたっけ。

 奥さんに装飾品をあげられないの。

 

「さっき倒したホッケーマスクも、武器しか宝箱に入ってなかったですし」

 

 ホッケーマスク……

 アイスホッケーのマスクを被った人型モンスターで。

 チェーンソーを振るって襲ってきた。

 

 ……元ネタはチェーンソー使ったことなかったんだったっけ?

 まあ、元ネタを見たことは無いんだけど。

 

「普通、ダンジョンRPGの装飾品装備で……指輪は付き物なんだがな」

 

 ちょっと愚痴るように。

 修司さん。

 

 気持ちは凄く分かる。

 お金を稼いで妻に装飾品を買うのが出来ない以上、唯一稼げる迷宮貨幣のゴッドで購入する手しか残ってないわけだ。

 なのに、タマミさんの店でも無いし、宝箱でも出ない。

 

 ……迷宮の性格上の問題で、そう言う装備が無いのかもしれないな。

 ここに挑むのは、道ならない関係に陥った血の繋がった男女だけなわけだから。

 

 安易に装飾品を出さないのかも。

 願いはそうそう叶わせないぞ、と。

 

 そしてどのくらい悩みながら歩いていただろうか?

 

 また、出会ってしまった。

 

「やあやあ。また会いましたね」

 

 ……赤ローブの蛇人間……

 

 マスタファに。

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