姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
……気が付いたら、あの部屋だった。
2人で手を繋いで魔法陣の真ん中に立っていた。
傍には川上さん夫婦もいる。
そして、次の瞬間。
双方の夫婦の妻が泣きだした。
顔を手で覆って、声を上げて。
そんなふうにパートナーが先に泣いてくれたからか。
ちょっとだけ冷静になって
俺は涙を流さなくて済んだけど。
俺の心にも、凄まじい寂しさと悲しさがあったんだ。
これでもう、俺たちは二度と親には会えないんだな。
それを思い知らされた。
もう何年も会っていなかったけど。
それで平気だったけど。
……要らない感覚を呼び覚ましてしまったようだった。
そんな空気を読まずに
「やぁやぁ。夢の世界の住人達に大好評のチャレンジでした」
……蛇人間のマスタファがそう、上機嫌で語り掛けてくる。
正直、イラっとしたけど。
「……そいつはどうも」
そう返す。
どうなんだ……?
指輪、くれるのか?
そう思い、続く言葉を待った。
すると
「約束通り、これをお渡しします」
スッと。
竜と虎、2つのデザインの指輪を2セット。
ドッペルゲンガーでもコピーできない指輪。
無双の指輪。
それを差し出してくれたんだ。
「ウチは虎のリングを貰う。良いよねオニイ?」
「じゃあウチは竜だな」
川上さん夫婦は虎のリング。
俺たち夫婦は竜のリングを貰った。
……指輪。
ちょっとゴテゴテしてる気がするけど。
「紗耶香、左手を出して」
……ようやく、指輪をあげられるチャンスが巡って来た。
さっきまで沈んでいたけど紗耶香は俺の言葉に
嬉しそうにしてくれた。
俺も嬉しかった。
紗耶香の繊細な左手を取り、その薬指に指輪を嵌めた。
そうしてあげると、紗耶香は
「……今度は私があなたに嵌めてあげます」
そう言ってくれたので。
俺はもうひとつの指輪を差し出した。
そして俺は紗耶香の手で左手薬指に指輪を嵌めてもらった。
……紗耶香との繋がりが強化された気がした。
『さー、はじまりました水曜日の魔界都市。最初のプレゼンターはこちらの方です』
……俺たちの寝室のパソコンのモニタの中で。
毛むくじゃらの猿人が喋っていた。
目が小さくて、大きな口と唇が特徴的な獣人。
どうやらこいつがMCらしい。
で、プレゼンターだというゴブリンが
『家族が家にいる状況で近親相姦しても意外にバレない説』
をあげてきて。
説立証のために、近親相姦チャレンジを提案してくる。
……正直、どうでも良かった。
化け物たちが、俺たちの愛し合う様を見てゲームを楽しむのは。
どうでも良かった。
……マスタファが記念にと、夢の世界とかいう場所で放送された問題の番組のVTRが録画されたDVDをくれたんだ。
それを家でふたりで見ていた。
VTRの中では、様々な近親相姦カップルがチャレンジに参加していて。
俺たちと川上兄妹もその中に含まれていた。
俺たちがこのVTRを見ていたのは、どうしても見たいものがあったから。
それは……
『山本姉弟ペアは、浴室セックスを終えた後、急に大人しくなり、全く点数稼ぎを行わなくなった。それまではトップ争いをしていたのに。……これは油断だろうか?』
そんなコメントと一緒に、リビングで寛ぐ俺たちと、お父さんとお母さんが映っていた。
ああ……動いてる絵があった。
嬉しい……
巻き戻す。
何度も見る。
紗耶香も一緒に見ていた。
そして俺たちはそっと抱き合った。
……ただ、抱き合ったんだ。
そして互いのその左手薬指には。
同じ、竜のデザインの指輪が光っていた。