姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
「なぁ」
来斗を抱っこしながら話を切り出した。
小さい来斗の手足を押さえ、拘束するゲーム。
一か所だけ隙を用意しておき、来斗が自力で気づいて逃げ出すのを待つ。
……絶対に逃げられないと、心が折れて良くないかもしれないので、隙を用意するのが大事なんだよな。
成功体験にも繋がるし。
来斗が一生懸命俺の拘束から逃げようと頑張ってるのを肌で感じながら、紗耶香に話を切り出したんだ。
美香を抱っこし、明日香に引っ付かれている紗耶香に。
「何ですか? あなた」
美香に涎で服の胸をベトベトにされながら、大切に抱っこ。
妹に抱っこを譲って、代わりにお母さんに引っ付くことを選んだ明日香の頭を撫でながら、俺の呼びかけに返事。
「……世界創造の話なんだけど……何かビジョンある?」
別に俺たち、創造神になりたくて自ら志願したわけじゃないからな。
ただ、実の姉と心から愛し合って実質夫婦みたいになったところで、この次元に呼ばれただけだし。
……そのはずだったはずだ。
何か、変な違和感があるけども。
話を戻す。
だから「こんな世界を創りたい!」ってのが無いんだわ。
紗耶香は俺の言葉を聞いて
こう言った。
「……戦争が無い世界が良いですね」
……うん。
気持ちは分かるな。
俺たちが創る世界は、俺たちの子供同然の存在ではあるわけだし。
その世界が、戦乱で荒れ放題の世紀末世界だなんて、嫌だわな。
戦争が起きない世界を創りたければ、1番良いのは「人間を創らないこと」だけど。
世界を感じて、知性をもって味わう種族が無いとそんなの世界じゃない。
無いのと一緒だ。
でもな……
人間は戦争をするんだよな。
おそらく、数が多くなると。
色々な理由でさ
少人数なら仲良くやってるのに。
俺たちみたいに。
「できれば俺だってそうしたいけど……無理に思える」
これまで、人類は誰も達成できなかったことだぜ?
だから多分、本能なのかもしれないと思うんだ。
そう言おうとしたら
「それで諦めちゃ駄目ですよ。私たちは創造神になるんですから」
俺の弱音を、紗耶香が斬って捨てた。
無理って言ったら駄目なんです。クリエイターは。
……そう、力強く言い切った。
元社会人は言うことが違うなぁ……
「じゃあ、具体的にはどういうのが良いと思う?」
俺の問いに
「……人数を絞るのはどうですか?」
そんな返答が。
人間、理解が無いと争いになりやすい。
良く分からないから、胸中で相手を悪魔化し、大量殺戮が可能になる心理的条件を満たしてしまうんだ。
だから相互理解をしやすいように、人間の数を絞ろう。
……紗耶香の提案はそういうことか。
でもさ
「人数が少ないと災害や飢饉のときにあっさり絶滅だぞ……?」
俺が上げたそんな懸念点に
「不老不死で、とびきり頑健な生物にしたらどうですか? ムチャしても風邪ひとつ引かず、熊や虎相手に素手で勝てる腕力」
魔法がある世界なら、最強の魔力もあったら良いですね。
……不老不死。
それは
「不老不死は良くないって皆言ってるぞ」
生きることに張り合いがなくなるとか。
ダルい、とか。
でもすぐに紗耶香から
「……これまでの歴史上、不老不死になった人間って1人も居ませんよね」
こんな反論が来た。
だからあくまで想像の話なんだ、って。
人間の予想が全部正しいなら、何百年も解かれない数学問題や、発明できない科学技術もないでしょ、って。
まぁ、確かに。
……ボクのかんがえたさいきょうしゅぞく
そんな言葉がちょっと頭を過る。
いいのかなぁ? と思いつつ
「種族名はどうするの? 人間?」
そこを確認した。
不老不死で肉体的にも最強。
……そんなん、人間って呼べるのか?
そう思ったんだ。
すると紗耶香はこう言ったんだ。
「ヒューマンで良く無いですか? 捻りも何も無いですけど」
ツッコむ人もいませんし、って。
……まぁね。