姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
え? え?
俺は戸惑い、周囲を見回す。
そこは教会みたいに見えた。
みたい、だ。
……ちょっと違ったね。
牧師が2人居たんだよ。
それ以外は、人がたくさん座っているゲストの席があったり。
何だか良く分からない御神体みたいなものが正面にあったり。
御神体から考えて、キリスト教では無いけれど……何か良く分からない宗教の教会。
そこで行われる結婚式。
この状況は、そう見えた。
「え? アタシのこの格好……それにオニイ?」
「由宇? 俺の格好も……」
で、2人居る牧師のその前に。
それぞれカプがいるわけよ。
1つが川上さん夫婦で。
由宇が純白のウエディングドレスを着てベールをしてて。
その隣に純白のタキシードの修司さんが居た。
2人とも慌てている。
嫌では無いけど、状況が分かんないんだね。
そしてもう1人の牧師の前。
つまりこっち。
「え、私……これは……!」
俺の隣には紗耶香が居て。
由宇同様、純白のウエディングドレスを着ていた。
ベールも無論してる。
……流石に分かる。
この状況、俺たちに結婚式を挙げろと言ってるのか。
でも、何のために……?
意味が分からない。
これが試練なのか……?
そのときだ
「落ち着きなさい」
戸惑い、混乱する俺たちを。
牧師2人がシンクロした声で一喝してきた。
その表情には、何か意志を感じた。
この状況に合わせた人形では無いような。
「これから二組の夫婦の結婚式をはじめます」
シンクロした声で、牧師2人。
俺たちはその声で、混乱を収めた。
意図は分からないけど……従わないのは変だよな。
それに意味なく拒否したいことでもないし。
俺は出来ることなら紗耶香と結婚式を挙げたいと思っていた。
……紗耶香の方も、そうなんだろうか?
ちらりと盗み見る。
すると彼女は。
落ち着きを取り戻して、前を向いていたんだ。
川上さんたちも同じように振舞ったみたいで。
牧師は頷くと
そしてこう……俺たちに定番の質問を発した。
「新郎山本拓斗さん。あなたはここにいる実姉・山本紗耶香を病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
無論、答えは決まってる。
この質問が罠である。
そういう意識は、まるで湧いてこなかった。
「はい、誓います」
これ以外無い。
牧師は満足そうに頷くと、次は視線を紗耶香に向けた。
そしてこう言った。
「新婦山本紗耶香さん。あなたはここにいる実弟・山本拓斗を病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「はい、誓います」
……迷いが無かった。
俺はとてつもなく嬉しかったよ。
紗耶香の答えにも満足そうに牧師は頷き。
そして
「では、指輪の交換を」
次の重要イベント。
指輪の交換。
……俺は何か薄手の白い手袋……グローブをしていたので、まずそれを外す。
グローブって花嫁だけの装備だったんじゃないのかね?
まぁ、これはキリスト教式じゃ無いのは間違いないので、そこでツッコむのは違うのかもしれんけど。
外し方のルールは良く分からん。
だが分からんなりになるべく結婚式を台無しにしないように気を遣って、できるだけ上品に外した。
左手のグローブを外すと……
無双の指輪を嵌めた俺の左手。
……指輪の交換。
ドラマでは、牧師さんから受け取って無かったっけ?
互いに嵌めているのを外して、じゃなかった気がするんだけど。
これを交換しろってこと?
紗耶香を盗み見ると。
紗耶香も戸惑ってるみたいだった。
俺と同じように、外したグローブを右手に、左手の指輪を見つめている。
不安げな表情で。