姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
この先俺はどうしたら良いんだ……?
そう思い、動けなくなっていたら
牧師さんが両手を差し出してきた。
……指輪を渡せということか?
俺は紗耶香の方を見る。
彼女も俺を見ていた。
多分、そういうことだよな……?
俺は頷き、なるべく上品に見えるように指輪を外し……
紗耶香と一緒に、牧師に渡した。
すると牧師はそれを左右の手で握ったまま、額に近づけ祈りを捧げ。
その後、俺たちに返した。
……ここから文字通り、指輪の交換……
さっきまで自分の左手薬指に嵌められていた指輪を。
俺は右手で受け取って。
紗耶香の左手を手に取り、薬指に嵌め直した。
……ピッタリだった。
俺の指に嵌っていた指輪なのに。
指の太さは問わないんだな。
迷宮のアイテムなだけに。
指輪を嵌めた後。
今度は紗耶香が俺の左手を手に取り
俺の左手に嵌めてくれた。
胸が高鳴る。
嬉しい。
「では、誓いのキスを」
牧師の言葉。
……ドキドキしてきた。
ベールで顔を覆った紗耶香と向き合う。
このとき。
ふとゲストの席が気になった。
視線を投げたんだ。
何気なく。
そしたら
……両親が居た。
本物じゃないと思う。
何故って喜びの視線を向けてくれているから。
ありえない。
それぐらい分かるから。
……偽物。
でも、喜びがあったんだ。
あり得ないことだけど。
錯覚だけど。
紗耶香と結婚することを認めてもらったような。
……紗耶香も気づいたみたいで。
泣いていた。
……そうだよな。
真実じゃないって分かってても嬉しいよな……
気持ちの一致を感じて。
俺は心で寄り添えたと感じ。
……紗耶香のベールを上げたんだ。
そして、口づけをする。
偽物だけど、両親が祝福してくれている。
その目の前でする、愛の証明。
少し長めに口づけをし、離れる。
紗耶香の目は潤んでいた。
「たった今、この一組の姉弟が大宇宙の意志の下、姉弟を超えて夫婦となり、創造神への道を上り詰める準備を完全に整えました。それを宣言いたします」
牧師の言葉。
嬉しかった。
皆に認めて貰った気がした。
本来は道ならない愛なのに。
……ここでふと、隣で同じように結婚式を挙げていた川上夫婦の様子を盗み見る。
2人も、俺たちと同じか、それ以上に喜んでいる。
由宇が参列者に手を振って「ありがとう」を連呼していた。
由宇らしいと思った。
そして
……そこでまた、意識が途切れたんだ。
気が付くと、俺たちの格好はまた、迷宮装備に変わっていて。
俺たちは戸惑い、周囲を見回す。
円形の部屋。
扉が2つ。
片方が開け放たれていて。
もう片方が閉じている。
すると
『……満足したか?』
天からの声がする。
これまで、試練の部屋でずっとしていた声。
「ああ、ありがとう」
「ありがとうございます……」
「嬉しかった」
「感謝する」
全員、別の言葉を吐いたけど。
その意味するところに大差は無い気がした。
叶えたい願いを可能な限り忠実に叶えてくれたんだ。
感謝しか無いよ。
そんな俺たちに、天からの声は
『……ならば進め。もはや乗り越える壁はたった1つ。お前たちの未来、それぞれの伴侶と力を合わせて掴み取るのだ』
そう、語り掛けて。
固く閉じられていたもうひとつの扉を開いたのだ。
……この先にあるのか……
最下層への階段が。