姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
善意……?
そりゃどういうことだ?
最終的にこの扉を潜るのは決まってるんだろ?
で、俺たちは今、ベストコンディション。
これ以上ないパフォーマンスを発揮できる状態。
なのに、帰れ?
しかも警告でなく、善意?
理解できない。
「何で善意なんだ?」
思わず訊いてしまう。
するとだ
『……お前たちが築いた家庭をもう1回、確かめてくるのだ』
家庭を確かめろ……?
子供たちの顔を見てこいってことか?
……ということは
この扉の先に待っている敵は、ほぼ全滅するくらい強いってことか……?
何が何でも勝利を掴む。
その想いが無いと勝てない。
そのためには、それぞれ自分の抱えている家族の価値を再確認するしかない。
そういうことなんだろうか。
「これまでとは段違いの魔物が出る……そういうことなんでしょうね」
紗耶香も同じ結論に達したみたいだ。
見ると、由宇と修司さんも神妙な表情で
「これまでの戦いとはレベルが違うってことね……」
「負ける気がしない。勝つに決まってるという侮りが一片でも入っていてはいけない。そのレベルなのかもしれないな……」
2人もこの扉を潜ることに要求される覚悟のデカさに気づいたらしい。
だったら……
俺は紗耶香と目を合わせ、頷き合い。
川上さん夫婦に向き直って
「……3日後に挑戦しましょう。その間、お互い自分たちが背負っているものを確認するんです」
俺の言葉に
「分かった」
「そうしようか」
……2人も同意してくれた。
「タマミさん、ピルはありますか? 後、妊娠検査薬ください」
タマミの店に子供たちを迎えに行くと。
紗耶香が、タマミにそんなことを言ったんだ。
「あるよ~。魔法のピルは2000ゴッドだよぉ」
タマミはいつもの軽い調子で応えて
説明をしてくれた。
魔法のピル。
飲めば普通のピルと違い、妊娠確率を本当に0%にまで下げられる。
薬の効果時間は3日間。
そんな説明を受ける。
俺は紗耶香のそんな様子に
何でピルが要るんだよ?
俺たち夫婦で、4人目も普通に欲しいだろ!?
そう思ったのだけど
……3日後に待ち受ける戦いの強大さ。
そこに思い当たったとき。
紗耶香の覚悟に気づいた。
……もし試練に俺たちが敗れたら。
そのとき紗耶香が妊娠していたら、お腹の子供も道連れじゃないか。
消える命は少ない方が良い。
だから要るのか。
ピルが。
俺は……
「流石だな。俺の奥さんは」
呟いていた。
思ったままに。
紗耶香は俺のそんな呟きに気づいているのか、いないのか。
由宇にも
現在の妊娠検査と、ピルの購入を勧めていた。