※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第171話 創造神のルール

「ちょっと待て。なんで災害の神なんか生まれて来てんだ?」

 

 俺たちは神を生もうなんてカケラも思って無いんだが?

 どういう理屈だ?

 

 すると、赤毛の美女の姿をした自称神が

 

「ああ、ご存じないんですね創造神様。御二柱方が何かを決断すると神が生まれるのです」

 

 ……え?

 

 そうなの……?

 

 俺は紗耶香を見た。

 

 紗耶香は……顔を青くしていた。

 

 そして俺に

 

「あなた、古事記の内容を思い出してください。特に、火之迦具土(ヒノカグツチ)が生まれたあたりの話を」

 

 そんなことを。

 ……ええと。

 

 確か、伊邪那美(イザナミ)が炎の神の火之迦具土(ヒノカグツチ)を産んで、膣を火傷して。

 その傷が元で死んでしまう話だよな。

 

 そのときは……

 

 死に瀕した伊邪那美(イザナミ)のゲロや糞便から神が生まれ。

 その後、愛妻が死んでしまったことで怒り狂った伊邪那岐(イザナギ)に、火之迦具土(ヒノカグツチ)が斬殺され。

 その死体からまた神が生まれた。

 

 ……確かそんな話だった。

 

 で、納得してしまった。

 

 ……なるほど。

 十分ありえるな。

 

 この女の邪神が言うことは……

 

 邪神。

 俺は災害の神を自称するこいつらを、暫定的に邪神と呼ぶことにした。

 

 なので

 

「おい、邪神ども」

 

 こいつらを倒す。

 そう、決断しようとしたとき。

 

 ハッとして、気づいてしまったんだよな。

 

 ……こいつらを殺したら、多分またその死体から新しい災害の神……邪神が生まれる。

 

 詰みじゃん。

 生まれた時点で。

 

 俺は戦慄し、紗耶香を見た。

 ……俺の嫁さんもそこに気づいたみたいだった。

 

 こいつら、俺らには脅威では無いけど、厄介過ぎる、と。

 

 俺たちのリアクションから、俺たちの思考を読んだのか、女の邪神は

 

「さて創造主様。我々に名前を下さいませんか?」

 

 そんなことを言い出してきた……

 ムカツクことに、ニヤニヤしながら

 

 

 

「誰が名付けるか!」

 

「あなたたちに名前なんてつけないわ!」

 

 俺たち夫婦は全力で拒否した。

 だけど……

 

「あら、だったら私たちはこの世界の神の一員になれませんので、この世界の存続に関わるルールに従う必要はありませんよね?」

 

「ならば我々は好きに暴れるとしようか。名無しの神として」

 

 パオオオオ!

 

「オオオ……全部焼き尽くス……」

 

 ……こいつら、不穏なことを言い出した。

 ええと……

 

「ひょっとしてお前たち、名前を貰えれば好き勝手動けなくなるのか?」

 

 確認する。

 そう言う風に受け取れる言葉だったので。

 すると

 

「ええ。災害を起こすのに手順が要るようになりますね。名前をいただけなければ、その手順を守る義理がなくなるわけですけど」

 

 女の邪神の笑顔の返答。

 ということは、つまり……

 

「あなたたちは名前を得ることで、この世界を支える神の一員になり、そのせいで無制限には災害を起こせなくなるのね?」

 

「ええ」

 

 女の邪神の満面の勝利の笑み。

 ムカツク。

 

 ……腹に据えかねるけど。

 そういうことならしょうがない。

 

 博識な紗耶香に、名前を考えて貰ったわ。

 

「あなたはティアマト」

 

 女の邪神に。

 

「あなたはパズズ」

 

 有翼の髑髏顔の邪神に。

 

「お前はギリメカラ」

 

 単眼の象の邪神に。

 

「そしてお前はスルトよ」

 

 燃え盛る巨人の邪神に。

 

 ……全員に名前を付け終えた。

 悔しかったけど。

 

 彼らは

 

「おおお……我らに素敵な名前、ありがとうございます造物主」

 

「これからは世界の維持に気を配りながら、適度な災害を引き起こす仕事をこなしていきますわ!」

 

 ……やかましい。

 俺たちはお前らなんかに名前をつけたくなかったよ!

 

 黙れ。

 俺たちの前から姿を消せ!

 

 そんなことを思いながら、俺たち夫婦は去っていく邪神たちのその後ろ姿を見送ったんだ……!

 畜生。

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