※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第178話 返って来た日常

(……あ、またか)

 

 アタシは満員近い電車の中で移動しづらかったけど。

 立っている場所を移動した。

 

 ……痴漢の気配を感じたので。

 

 アタシは向こうで10年以上、魔物相手に殺し合いをする生活をしていたせいか。

 こっちに戻って来た現在、こういう気配を感じる感覚が研ぎ澄まされていた。

 

 昔はたまに触られて。

 ものすごく嫌な思いをしていたものだけど。

 

 ……もし間違いだったら相手男性の人生が終わるから。

 あのときはよほど露骨でない限り、泣き寝入りしていたけどさ。

 今はこうして自分で察して逃げられる。

 

 ありがたやありがたや。

 

 

 

 

「次の文章を川上、読んでくれるか?」

 

「はい」

 

 高校での英語の授業中。

 アタシは先生に指名されたので、立ち上がって教科書を開いた。

 

 そして

 

「With so many women like this, men will run away」

 

 言われた文章を読み上げる。

 先生は頷きながら、真顔で訊いて来た。

 

 こんなことを

 

「良い発音だ。何か急に良くなったな。練習したのか?」

 

 ……この先生、正直。

 その言い方だとまるで前は悪かったみたいじゃん。

 

 アタシは苦笑する。

 

 まあ、事実なんだけどさ。

 だってアタシ、10年以上高校の勉強をしてたもの。

 ……強迫観念があったから。

 

 次元移動をした後、アタシは学校に行かなくて良くなった。

 でも

 

 だからといって、勉強を投げ捨てて「もう勉強から解放された」って言うの。

 それ、堕落のはじまり。

 

 それをすると、アタシはきっとダメになる。

 そういう想いがあった。

 

 修司もそれは同感だったみたいで。

 

 毎日一定時間、勉強を続けたんだ。

 書店から参考書を貰って来たり、修司に教えてもらいながら。

 

 修司は高校は男子校だったけど、県内一の高校行ってたし。

 そこでの成績も良かったから、家庭教師としても最高だった。

 

 ……楽しかったなぁ。

 最愛の人に、勉強を見てもらうの。

 褒めてもらいたいから、一生懸命やったよ。

 

 それが今、こうして実を結んでいる。

 

「苦手科目を克服するために頑張りました」

 

 アタシはニコリと微笑んで。

 先生のそんな言葉に返した。

 

 

 

 10年以上のブランクで、またクソ暑い防具を着けて部活。

 ……あまり言うほど勝ててない。

 

 昔とトントンかな。

 メッチャ弱いってわけじゃないけど、スゴイ強いってわけでもない。

 

 ……10年以上リアルファイトの殺し合いしてきたのに。

 何か理不尽。

 

 休憩中、面を外して汗を拭いていたら

 

「川上さん、前よりずっと反応良くなったね。コソ練したの?」

 

 部活の友達にそんなことを言われた。

 まあ、攻撃が来ることを察知する能力は高くなったけどさ。

 

 それが言うほど勝率に繋がって無いのね。

 ……何でかなぁ?

 

 少し考えて、気が付いた。

 

 攻めることにトラウマが出来てるのかも。

 あのとき、待ちの拓斗に突撃して、返り討ちに遭っちゃったしな。

 

 積極的に攻めてない気がする。

 そんなことを思いながら

 

「まあ、そんなところ」

 

 ……アタシは友達にそう答えた。

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