※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第187話 アタシの誓い

 そのままアタシの妊娠は特に問題なく進んだ。

 アタシとしては4回目の妊娠だから、不安に思うことは特になくて

 

「アンタ、初産なのに不安になることは無いの?」

 

 ……そんなことをサポートしてくれた母さんに言われた。

 まぁ、本当のことを言うわけにはいかないし。

 

「ここに至るまでに、何度もイメージトレーニングを重ねたから、そのせいじゃない?」

 

 ……そんなことを言っておいた。

 

 

 

 そして出産の日がやってきた。

 

 ……向こうの次元では、出産は自宅のお風呂でしたんだよね……

 山本さんちもそうだったみたいなんだけど。

 

 で、お産の時間は10分から15分で終わったんだよね……

 

 破格の短さ。

 それでも痛かったけど。

 

 しかし、こっちだと……

 

 分娩室で。

 

「アアアッ!」

 

「川上さん! 落ち着いて!」

 

 産婦人科の人たちのサポートはあるけど。

 代わりに時間がメッチャ掛かって

 

 その間ずっと苦しかった。

 

 ……これは正直、舐めてたなぁ。

 向こうだと、産婦人科が無いという不利な環境を、運営に下駄履かせてもらって誤魔化してただけだったんだなぁ……

 

 なので

 

 おぎゃああああああ!

 

 やっと生まれたとき。

 向こう以上に嬉しかった気がする。

 

「川上さん! おめでとうございます!」

 

 もっともそれは……

 

「元気な女の子ですよ!」

 

 ……この言葉が大きかったけどね。

 

 

 

「出産に立ち会えなくてゴメン、か……」

 

 旦那の、修司からのメールをスマホで確認しながら。

 アタシは病室のベッドでポツリと独り言。

 

 修司は警察官の仕事が忙しくて。

 どうしても抜けられなかったらしい。

 

 なので返事に

 

 喜んで。女の子だった!

 

 ……こう打ち込んで送り返しておいた。

 

 とりあえず、アタシたち夫婦が夢を見る環境は崩れなかった。

 産まれてきた子には生涯言うつもりは無いけど。

 

 アタシたち夫婦は、結子の産まれ直しだと思ってあの子を育てる。

 もし違ったら申し訳ない面があるけど。

 

 言わないから許して欲しいな……。

 

 そんなことを思いつつ、待った。

 

「川上さん。お待たせしました」

 

 ……アタシたちの第一子が運ばれてくるのを。

 

 

 

 病院スタッフの人に連れられて来た我が子は、すっかり綺麗にしてもらって。

 産着を着せてもらってた。

 

 アタシは受け取り

 

「首に気をつけてください」

 

 ……そんな、知ってることを言われる。

 まぁ、向こうは新米ママだと思ってるだろうからしょうがないんだけど。

 

 ……ああ、小さい。

 

 これからまた、よろしくね。

 結子……

 

 アタシに赤ちゃんを託した後。

 スタッフの人が出て行って。

 

 アタシたち親子は2人きりになる。

 

 静かな病室……

 

 個人部屋だからね。

 ここ。

 

 そんなことを頭の片隅で考えつつ、我が子を見つめていたら

 

「……やっぱり母さんだ。ねぇ、何で私、また赤ちゃんになってるの?」

 

 ……突然、アタシの腕の中の0才児の我が子が話し始めた。

 目つきがなんか、頭良さそうだなって思ってたけど。

 

 これは本気で予想外。

 当たり前だけどさ……

 

 なので、アタシの目は点になった。

 

 しばらく動けなかった。

 

 えっと……

 

「ひょっとして、結子?」

 

「うん」

 

 ……首が座ってない関係か。

 頷きはしなかったけど、普通にそう返して来る。

 

 そして

 

「ねぇ母さん、どうしてこんなことになったの? 優実は? 修一は?」

 

 結子から、怒涛の質問が飛んできたんだ……

 

 

 

「そっか。母さんは最終決戦でラスボスに負けてしまったんだね……」

 

 少し残念そうな声音で結子。

 結子には

 

 ……最終ボスの「カオス」という化け物が強過ぎて。

 山本さん夫婦と一緒に突撃し、どっちか片方がカオスを倒し、もう片方がカオスにやられる……

 

 そんな作戦しか立てられず、実行して、母さんたちがやられた。

 

 そんな話をした。

 まさかホントの話なんてできないし。

 

 ……我ながら、鮮やかな作り話だったと思う。

 

「でも、最終決戦まで行った特別対応で、死んでも別の次元で元の生活をさせて貰えることになってたみたいでね」

 

 こうして、結子を産み直すことができたのよ。

 そう、笑顔で言った。

 

 ……これに関しては嘘は言ってない。

 

 そして結子はアタシの話を聞き

 

 一言、こう言ったんだ。

 

「そっか……もう山本のおじさんおばさんにも会えないし、来斗君にも会えないのか……」

 

 その声が本当に寂しそうで。

 アタシは胸を締め付けられた。

 

「そうだね……」

 

 そこでしばし、沈黙が下り。

 

 そして

 

「……ねえ母さん」

 

「何? 結子?」

 

 娘の言葉に応えるアタシ。

 続く娘の言葉は

 

「……優実と修一くんも、早くお腹の中から出してあげて。きっと順番を待ってるから……」

 

 そんな内容で。

 アタシは

 

「分かった。善処する」

 

 ……本気の笑顔でそう返す。

 

 

 アタシは思う。

 

 敗北者なのに、ヒトとしてはどう考えてもこっちが当たりくじ。

 最初は後ろめたくてどうしようもなかったけど……

 

 アタシは誓うよ。

 負けて正解だったって胸を張って言える人生を送ることを。

 

 あの次元の黒幕の意志があるから、きっとアンタには2度と会うことは叶わないと思うけどさ。

 

 拓斗……アンタはアンタで頑張ってね!

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