姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
「さて、予定通りヒューマンを創ろうか」
「ええ。そうしましょうかあなた」
紗耶香に了解を取り、生物創造の条件を整える。
……神の生物創造は2種類あって。
一括で動植物を創る方法。
個別で望みの生き物を創る方法。
2種類がある。
普通の動植物……狼や豚や猿、杉の木やタンポポ……そういう普通の生き物を創るのは「一括創造」を選択した。
ただそのためには、専門の神を生む必要があるんだ。
だから明斗と光香に動植物の神になって貰った。
……でないといちいち動植物をひとつひとつ創造していたら、俺たちそのうち発狂するわ。
テンプレ生物群、大事。
個別創造はこれまで何度かやった。
主に自分たちのため。
いくら肉を取っても死なない、再生する不死の生き物……
見た目は球形の大きな肉の塊。
身体から野菜や穀物を生やす不死の生き物……オオゲツ。
見た目は同じく、球形の肉の塊。
神になった後、俺たちは喉も乾かず、腹も減らなくなったけどさ。
気分的に食事は要るわけよ。
なのでそのために創った。
食材を取るために。
……あとま、話は少し横道に逸れるけどさ。
衣装もさ、変えたんだ。
俺たち神様一家は、揃いの衣装を創ったんだよね。
男は黒い燕尾服風衣装。女は白いドレス風衣装。
この世界に来たときの格好で、神を名乗るのは無理がある。
最初考えたのは、日本古来の神様の格好なんだけど。
……なんかうまくいかなくてさ。
あと、着ていると違和感があったんだわ。
なのでボツにした。
ではギリシャ神話系のヒラヒラしたのはどうだろう?
これもボツ。
理由は嫁さんに着せると俺がムラムラしてどうしようもない。
世界創造そっちのけで一日中セックスしかねない。
なので、こうなった。
……話を戻す。
こういう感じで、神が個別で作った生物群を俺たちは「幻獣」と呼ぶことにしていた。
だからこれから創るヒューマンは、分類でいえば幻獣に含まれるんだろうね。
個別創造は基本的に制限がない。
なので、視肉やオオゲツみたいなメチャクチャな生物を創れたんだけど。
だからといって「戦争をしない不老不死の知的生物を」なんて創り方をするわけにはいかない。
そんな方法で理想を達成しても意味が無いし。
……多分、本能的に戦争をする発想が無い生物は、世界の観測者や堪能者である人間種族としては適当じゃ無いのではないかと思うんだ。
これは紗耶香との共通の見解だけど。
あくまで「深い相互理解」の末に「戦争を起こすという結論に達しない」生き物を創りたいんだよ。
俺たちは。
俺と紗耶香は、粘土をこねて、人形を創った。
男と女の姿を象った人形を。
そして2人で手を繋ぎ、創ろうとする生き物のことを2人で唱えた。
人形2つに手を翳しながら。
「姿は俺たちとそう変わらない」
「寿命を持たず、老化しない」
「力はあらゆる生き物を上回り」
「高い魔力を持っている最強の生き物」
「知性を持ち、深い愛情と向上心、悩み怒る普通の精神を持っている」
「子供を作るときは男女双方の高いレベルの合意が要求される」
……口々に、事前に話し合って決めたヒューマンという生き物の特徴を唱えていった。
そして最後に、俺たちが口づけをすると。
……2つの人形が生命を得た。
ただの
そんな、人間そっくりの生き物に変わったんだ。
創り出された2体の全裸の男女は、地面から起き上がり、立ち上がって。
手を見つめ、空を見つめ、そして最後に俺たちを見つめて。
……ポカンとした表情で俺たちを見つめていた。
これが……
俺たちが創った知的生物「ヒューマン」の誕生だった。