※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

195 / 202
第195話 絶望的な言葉

「申し訳ありません創造神様」

 

「本意ではありませんでした」

 

 土下座したヒューマンたちが口々に謝罪をはじめる。

 彼らが俺たちの命を狙ったことは許しがたい行為だ。

 

 だが俺は、それを理由にして彼らを皆殺しにしようとは思わなかった。

 まずは理由を確かめないと。

 

「……理由を言え」

 

 俺は沈黙を許さないチカラを込めて言い放つ。

 俺の言葉に、ヒューマンたちは震え上がった。

 

 すると

 

「……デミス王子が」

 

「デミス王子のせいです!」

 

 アスターとジールの愛の結晶が。

 デミスの名がヒューマンたちの口から上がったんだ。

 

 

 

 俺と紗耶香は無言で2人、粘土を捏ねていた。

 

 その間に、ヒューマンたちが自分たちの王夫婦の王子を捕えて来ていた。

 王子は猿轡を嵌められ、手足を縄で拘束され。

 

 粘土を捏ねる俺たちの前に引きずり出されてきた。

 

 俺たちは多分無表情だった。

 怒りは特に無かったな。

 

 何故か。

 

 ……落ち着いていた。

 

 引きずり出されてきた王子……デミスは俺たちをすごい憎悪の目で睨みつけている。

 デミスは両親同様黒髪の男で、父親よりは意志の強そうな顔つきをしていて。

 体格も父親を上回っていた。

 

 俺はそんなデミスの目に何も言わず。

 

「他者の心を完全に見通し」

 

「私たちに服従する生き物を」

 

 ……紗耶香とふたり、新しい幻獣を創造したんだ。

 

 その名も……

 

「お前の名はサトリだ」

 

 俺たちが命を吹き込んだ粘土の人形は、大きさ2メートルくらいの、直立した黒い猿のような怪物になる。

 一般の猿と違うのは、顔がなんか猿より人間に似てることと。

 あと、耳が異様に大きいことだった。

 

「……この子は他者の心を読める。嘘は無意味よ……さあ、言いなさい」

 

 そう言って紗耶香は厳しい目を向けた。

 決して怒りの目では無かったけど。

 

 ……デミスに。

 

 

 

「全てはこの世界を俺たちヒューマンのものにするためだ!」

 

 猿轡を外されたデミスは、開口一番そう言い放った。

 

 魔法を使用してくる可能性を少し考えたが、そうはしなかった。

 無論、そんな真似をしたら即座に射殺する用意はあったけど……それを向こうも理解してたのかね。

 

 デミスは続けた。

 

「俺たちは不老不死で、幻獣種を除くあらゆる獣よりも強い身体を持ち、世界の理を操作するワザ……魔法を行使する力もある! お前たち神とほとんど変わらない!」

 

 その目の憎悪は本物で……

 

「創造主サマ。コイツホント言ッテル」

 

 ……サトリのお墨付きだった。

 

「……だから私たちを殺そうとしたの?」

 

 紗耶香の言葉には、理解できないという響きがあった。

 そりゃそうだ。

 

 自分がトップに立てないから、上の存在の命を狙う。

 理解不能だ。

 

 人間だったときから、俺たちはそんな心境になったことは無かったし。

 

 だけど

 

「その通りだ! 何故お前たちに俺たちが縛られないといけないんだ! お前たちは最早不要なんだ!」

 

 ……デミスは自分のそんな異常な考えに、全く疑問を持っていないようだった。

 デミスは続けた。

 

「最初は、俺の幼馴染のカイルがお前たちに処刑判決を出されたことだった!」

 

 ……カイル。

 

 殺人の罪で、俺が死刑判決を出したヒューマンが確かそんな名前だったな。

 俺はデミスの言葉でそれを思い出した。

 

 ……重大犯罪が起きると、彼らヒューマンは麗香に祈りを捧げ、俺たちの降臨を要請して裁判の開廷を要求してくるんだ。

 彼らは神裁判って呼んでいるんだけど。

 

 盗みくらいなら彼らの間で解決するんだけどね。

 重大犯罪だから、対象は殺人や強姦だ。

 

 カイルは……

 自分と一緒に俺たち創造神に捧げものをしたアビゲイルを殺したんだ。

 

 その理由は

 

「アビゲイルの捧げた農作物なんて、勝手にニョキニョキ土から生えてくるもの。美味い猪の肉を捧げた俺と同じ祝福を受けるなんて間違ってる。俺は必死で逃げる猪を狩って来たんだぞ」

 

 ……俺たち夫婦は、捧げものを出してきた彼ら2人に祝福を与えたんだよ。

 だがカイルはそれが気に入らず、アビゲイルに受けた祝福を辞退するように創造神に言えと迫った。

 だけどアビゲイルはそれを拒否して……

 

 結果、激昂したカイルがアビゲイルを殺したんだ。

 

 その神裁判で。

 被告人に同情する余地が全くないと感じたので、殺人には殺人で当たるしかないと思った俺は、カイルに死刑を命じた。

 

 ……それが理由だと?

 

 困惑。

 理解できない。

 

 だが……

 

 デミスは一切の躊躇なく、堂々とさらに続けて来たんだ。

 

「カイルは俺の親友だったんだ! アイツの命が薄気味悪いアビゲイルのクソ野郎と同じ価値なわけがない!」

 

 ……こいつ。

 俺は、いや多分俺たちは

 

 デミスのそんな言葉に……絶望した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。