姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
俺たちの足元から吹き出した闇。
闇の中から異形の生物が出現していく。
……4本の腕と、山羊の頭を持ち、山羊の後ろ足で直立する赤い怪物。
ねじくれた角と鱗に覆われたとても大きな身体を持ち、皮の翼で飛行する青白い化け物。
とても大きな捩じれた角を生やした美形の巨漢、美女……。
ギャッギャッギャッ
メエエエエエエエ!!
見るからに化け物である赤い怪物と青白い怪物が耳障りな鳴き声をあげて宙を舞ったり、地上で猛る。
呆然とする俺たち夫婦に、捩じれた角を生やした男たち、女たちが名乗りを上げた。
「我ら悪魔を生んで下さりありがとうございます創造主」
「あなたたちの嘆きに応え、腐ったヒューマンどもを苦しめて差し上げます」
……俺たちの感じたヒューマンたちの態度への嘆きで、悪魔という新種族が生み出されてしまったのだ。
比較的ヒトに近い姿の、おそらく上級の悪魔たち……彼らは手の中に大鎌を出現させ、構え
手近なヒューマンたちに襲い掛かろうとした。
だが
「待ちなさい!」
直前に発した紗耶香の一喝で、彼らは動きを止めた。
そして
「……これからあなたたちには地の底に魔界という住処を用意するわ。あなたたちはそこから出てはいけない。……良いわね?」
強張った表情で、紗耶香は命じたんだ。
悪魔たちは
「……了解致しました。創造主」
全てが地上に平伏し、従ったのだ。
俺たちはその後、宣言通り地の底に魔界という世界を創った。
そしてそこへの転送を可能にする魔法を創り、彼ら悪魔を全て転送した。
そのときに、彼らの王として、俺たちの代理人の……
魔王という幻獣を創った。
俺たちが悪魔の誕生に関わったことに責任を持っている証だ。
魔王がいる限り、彼らが俺たちへの一定の敬意を持ち続けてくれると信じたい。
そして悪魔の魔界転送が全て済んだとき。
……今度はさらに悪いことが起きたんだ。
空中に、チカラが集まる。
これは……
神が誕生する前兆。
一番恐れていたことだ。
俺たちがこの一連の出来事で下した決断……。
特にデミスに激しく怒り、撃ち殺した決断……
これに反応し、神が生まれること。
それが起きてしまった。
空中に出現する。
8枚の黒い翼と、サソリの尾を持つ漆黒の成人男性……
服は黒いズボン以外身に着けておらず、眼鏡を掛けている男。
その顔つきは整っているけど、眼光に凶悪な光があった。
「我は悪意の神! あなたたちのヒューマンたちへ抱いた絶望と、あなたたちに裁かれたヒューマンたちの創造主への憎悪から生まれた!」
宙を舞いつつ名乗りを上げる悪意の神。
彼はそのまま
「さあ、我に名前をつけるがいい創造神たちよ!」
……悪意の邪神。
こんな邪神、生みたくなかった。
だけど……
「……デミウルゴス」
紗耶香が命名する。
生みたくなくても、生まれた以上名付けないといけない。
そうしないと野放しになる。
新たに出現した邪神デミウルゴスは
「ハッハッハッハ! ではこの世界の神の一員として、世界に災いを撒くとしよう!」
そう喜びの声を上げ。
「……オイ!」
視線を投げた。
倒れ伏している2つの亡骸……
双神器を握っている、最初に俺が射殺した、俺たちの命を狙ったヒューマン2人の亡骸に。
同時にその2つの死体が黒く輝き……
起き上がる。
起き上がり、変形していく。
黒装束を身に着けて、嗤ったような目隠し仮面を被った長身の男と。
髑髏の仮面を被った屈強な半裸の男に。
「……お前たちは我の手足。バルログとアブソリュートと名付ける」
……こいつ。
不完全ながら、創造のチカラを持ってるのか。
デミウルゴスのチカラの行使を俺たちは、暗澹たる気持ちで見つめていた。
「ホッホッホ。創り直していただきありがとうございますデミウルゴス様」
「……誠心誠意お仕え致します」
自分たちの創造主に深々と礼をする2体……。
ヒューマンの死体から創り直され、誕生したデミウルゴスの幻獣2体。
こいつらはデミウルゴスの手足だという……
……ここで俺たちは
あることを決断したんだ。