姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
「……何を言ってるんだ?」
不死は大事だ。
相互理解が鍵であると俺たちは考えていたからさ。
戦争を起こさない状況を考えるならば。
不死ならば、1回相手との関係を築き上げてしまえば、その相手を勝手に悪魔化して問答無用で殲滅しようなんて心境にはならないはず。
そう思っていたからだ。
不死の効能は種族が少数でも絶滅しづらい。
それだけじゃ無いんだよ。
なのに……
アスターとジールは心底情けない声で哀願してくる。
「死なないということは、永久に今を維持しなければならない義務が付き纏います!」
「私たちは終われるという祝福をいただきたいのです!」
……あ。
彼ら2人の願いの本質が分かってしまった。
今が最高の状態であるならば。
その最高をずっと維持しなければならない苦しみ。
時間の経過で、自分が成りたくない自分に変化してしまう恐怖。
生きていればそれでいいじゃないか。
俺はそう思っていたけれど。
使命感を持って生きているアスターとジールには、それは耐えがたい苦痛だったのか。
だから俺は
「分かった」
2人の願いを聞き入れる。
そして訊いた。
「……変えて欲しいのは不死だけか?」
「過ぎたチカラも抑えて下さい。思い上がりの素です」
「分かった……」
俺たちが彼らに与えたものは、苦しみの素だったんだな。
俺がその要望を受け入れると
他のヒューマンから悲鳴が上がる。
「嫌だ死にたくない!」
「俺たちから不死とチカラを取り上げないでくれ!」
……だけど
「これだけのことをしでかしておいてふざけるな!」
すかさずアスターの叱責の声が飛ぶ。
けれども
「寿命と能力低下が欲しいならお前らだけしたらいいだろ!」
「そうだそうだ! 冗談じゃない!」
「大体全部お前たち夫婦が悪いんじゃないの!? 私たちは一切何の責任もない!」
……他責。
自分たちは恐怖に負けただけだ。
仕方なかったんだ。
俺たちは悪く無いんだ。
悪いのはデミスであり、デミスを産んだアスターとジールなんだ。
……俺たち夫婦は、その醜さに絶望したんだ。
彼らの中に1人でも
「私たち全員に責任がある。アスターとジール、果てはデミスだけに責任を押し付けるのは違う」
「命を賭けてデミスを排除すれば良かった。死を覚悟して行動したら、デミスを拘束することは出来たのに」
……こう言い出す者がいたらこうはならなかったよ。
だから俺は、紗耶香を見て。
嫁さんも頷いたので
言ったよ。
「黙れヒューマンたち! もはやこれは決定事項! お前たちの王に俺たちが任命したのはアスターでありジールだ! お前たち民に種族の意志を決める権限はない!」
……有無を言わせない。
「王たちの意志に逆らうことは許さない! それは創造神への反逆であると心得なさい!」
そして紗耶香も同じことを考えていたみたいだった。
……こうして。
ヒューマンを改変することが決まったんだ。