※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第26話 2つの宝珠

「あなた素敵!」

 

 ……コボルトロードの死骸が消滅した瞬間。

 紗耶香が俺に抱きついてきた。

 

 俺にキラキラした目を向けながら

 

「私、あなたの奥さんであることが本当に誇らしい! 大好き! 心から愛してる! 素敵すぎる旦那様!」

 

 俺の方も、そんな嬉しいことを言ってくれる最高の妻を抱きしめたくなったけど……

 

 身体がロードたちの返り血でドロドロなのに気づき、躊躇った。

 

「紗耶香、その言葉はすごく嬉しいけど……その……汚れる」

 

「あ、そっか」

 

 俺の言葉にやっとそこに気づいたのか、結構あっさり紗耶香は俺から離れた。

 その対応が、ちょっとだけ残念だった。

 

 まあ、それよりも。

 今はロードたちがドロップしたゴッドの回収と、宝珠の取得だ。

 

 そのためにこの部屋に来たんだから。

 

 

 

 俺たちは床に散らばったゴッドを2人で拾い集めて、ゴッド運搬用に用意しているトランクに収納した。

 ゴッドは金貨だから、嵩張(かさば)るんだ。

 

 なんとかならんのかねぇ?

 

 で、宝珠なんだけど……

 

「台座、2つありますね」

 

 紗耶香が見たままだけど、そう言った。

 

 そう。

 

 宝珠の台座は2つ、壁際に拵えられていて。

 うち片方は、空になっていた。

 

 ……宝珠は2つあった?

 

 残り1個は普通にあるから、別に困りはしないんだけど。

 気にはなるよな。

 

 すりばち状の台座の上に安置されている宝珠は、金色に輝く水晶玉で。

 まさしく「宝珠」って感じのアイテムだった。

 

「……罠とか掛かってないですよね?」

 

 俺にそこを確認してくる紗耶香。

 まあ、忍者はそういうのもできるけど……

 

 明らかに、盗賊には劣るんよ。

 

 盗賊というクラスは、観察力と技術力に特化したクラスで……

 忍者でやる罠チェックと、盗賊の罠チェック。

 天地の開きを感じたんだよな。

 

 なんというか……

 

 盗賊でやると、見えないものは何もない、みたいな。

 こと罠における全能感があったんだけど。

 

 忍者で同じことをしたら、自分の目が曇ってるなと感じてしまう。

 それぐらい、違うんだよ。

 

 でもまあ、ロードには盗賊では勝てないし。

 しょうがない。

 

「見た感じ罠は無いと思うけど……念のため離れてて」

 

「分かりました」

 

 紗耶香はそう俺に返し、部屋の入り口付近にまで下がってくれた。

 よし。

 

「やってみるか」

 

 そう言いつつ。

 俺は両手で宝珠を掴み。

 

 台座から持ち上げる。

 

 ……別に何も起きなかった。

 

 ホッとした。

 

 

 

「来斗、多分あなたにもう少しで弟か妹ができるわよ」

 

 紗耶香がベビーカーを押しながら、そんなことを息子に。

 上機嫌だ。

 

 息子の方はキャッキャと喜んでいる。

 ……意味わかってるのかなぁ?

 

 この子、赤ちゃん返りとかするんだろうか?

 一人っ子の座を追われたとき、第一子は最初の関門に立たされるんだよな。

 注目される側から、注目する側へと。

 そこで兄や姉への脱皮が要求されるんだ。

 

 ……子供が生まれるというときに、簡単な心理学の本で勉強した事実の受け売りだけどさ。

 

 とりあえず宝珠を取得した俺たちは、いったん帰ろうという話になった。

 さすがに疲れたのもあるけど……

 

 ちょっとだけ、期待もあったんだ。

 あんだけ強力な魔物を倒したんだから……

 

 クラスのランク、上昇してないかな?

 

 ……と。

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